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独唱曲 終

結論から言わせてもらうと、私たちは誘拐犯グループの5人を見つけることはできなかった。


かわりにといっては何だけど、迷子だった私の友人を駅前交番のお巡りさんが見つけてくれたようだ。

その際、駅前交番のお巡りさんにはかなりこっぴどく怒られたけど、お巡りさんも私の友人も何だか嬉しそうな顔をしていたような気がしたような……

まあ、それでもお巡りさんのお説教は長かったなぁ……



あ、そうそう、あの怪しげな情報屋はどうやら私以外のみんな知り合いらしい。

草一郎やのっぽやぽっちゃり、女の子のお兄さんも、そして私の友達までも、ただ単に人の秘密が大好きなヤツ、と言っていたし、気を付けろとも言っていた。

どんな知り合いだよ。


「あー、情報屋ですら行方がつかめないとはね……これじゃあ腹の虫の行き場がありませんよ」


コーヒーをすする草一郎は誘拐犯グループが見つからず、ちょっと不機嫌そうだった。


「俺の妹に手を出したんだから地獄に落ちて当然だ。いや、絶対地獄に落としてやる……」


草一郎の向かい側に座るシスコン兄貴も相変わらずである。


そういえば、草一郎とシスコン兄貴はあれから2人で出かけるほどの仲になっていた。

お互い、似たもの同士で趣味も合ったのだろう。

類は友を呼ぶと言うし。


私の方はと言うとあののっぽとぽっちゃりと友達になった。

彼ら曰わく、仲良くなる過程を経ずにいきなり深い関係になるのは面白くないとのことで、まずはお友達から始めた。

それから私とあれこれしたいらしい。


たまに草一郎も入れて4人でデートでもしたりすると草一郎がデートのたびにのっぽとぽっちゃりに嫉妬して八つ当たりをするようにもなった。

まあ、八つ当たりと言っても私が草一郎にしかしないことを誇らしげに自慢するというかわいいものだったが……




あ、しばらく忘れていたけど、あの私が眼鏡を壊してしまった男性にはちゃんと眼鏡についた私の血を拭い、魔法で元通りにした眼鏡を返しました。

そして、お礼としてその男性に私と草一郎とのっぽとぽっちゃりの似顔絵を描いてもらった。


男性の方は「草一郎だけは二度と描きたくなかったんだけどなぁ」と呟きながらポーズをキメる草一郎を嫌そうに描くから嫌われてるんじゃないかと想ったが、そうでもないらしい。

草一郎の方はその男性のことを「無意識下の救世主」と呼んで大いに称えていた。

そう呼ばれる本人は馬鹿にしていると捉えているが、その男性が「ぽっぽちゃん」の怪我の治療をして、白髪の女の子に似顔絵を描いて、私とぶつかって眼鏡を私が持っていたから助けを呼び、無事に助かることができたらしい。

また、私の友人もその男性のアドバイスにより、偶然ある男性と再開できたと喜んでいた。

恐ろしいことにその男性は特に何の気もなしにやっているため、そんな呼び方をしているのだと言う。


その男性は今もどこかで意識せずに誰かの助けになっているのだろうか?

もしかすると、私や草一郎、私の友達もどこかでそんな無意識のうちに誰かの助けになっているのだろうか?


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