夢6
おはようございます。
皆さんはお元気ですか?
俺ですか?
俺は元気です。
そりゃあ、何故かというと可愛い女の子とひとつ屋根の下で一晩過ごしたんですから。
いやぁ……眠れなかったなぁ……
と、いうことは、俺は最後の最後である行動に出たのだ。
こんなに可愛い女の子が無防備で寝ているのを見て、あろうことか、お姫様抱っこをしてベッドに運び、俺はそのまま、ベッドに潜り込むことも横に寝ることもせず、布団をかけ、寝相が悪い俺はただひたすら朝まで彼女を見守り続けたのだ。
笑いたければ笑えばいい。
俺は甲斐性なしの意気地なしだ。
俺はそんな自分を払拭するように日課の早朝からのラジオ体操をしている。
ラジオ体操を終えると俺は朝飯を作り始めた。
朝飯は毎日、ご飯、味噌汁、焼き魚しか作ってない。
彼女は好き嫌いはなく、何でも食べるらしいから、いつものメニューにした。
味噌汁と焼き魚の良い香りがしてきた頃、彼女がお目覚めになった。
「おはよう……お兄ちゃん……」
さて、彼女は第一声からぶちかましてくれました。
そう、特大の爆弾をね……
「お兄ちゃん……」だと……!?
いくら寝ぼけているとはいえ、その一度は呼ばれてみたい呼ばれ方をされて俺は平常心を保っていられなかった。
「おはよう、我が妹よ」
つい、兄気取りで応えてしまった。
「あっ……!」
そこで、彼女は気づいた。
彼女の顔が真っ赤になる。
「わ、忘れてください……っ! 寝ぼけてたから……その……」
言葉に詰まった彼女は布団に逆走した。
そういえば、昨日、彼女には兄がいたと聞いていた。
その兄は賢くて、格好良くて、優しくて、親切で、頼りになる良い兄だったらしい。
彼女のことを第一に考え、彼女のために無茶をすることもあるようなシスコン兄貴だったようだが、その兄はある事件に巻き込まれて……
まあ、彼女曰わく、俺はその兄にそっくりなんだとか。
俺はそんな完璧超人じゃないよ。
「朝ご飯できたんだけど……いらないのかなぁ?」
俺は意地悪っぽく言うと、彼女は布団の間から顔を出した。
「た、食べます……っ!」
彼女は布団から出てきてソファーの真ん中に座った。
俺は彼女の前に、俺の朝ご飯 (スタンダードタイプ)を用意した。
俺は彼女の向かい側の一人掛け椅子に座り、俺の朝ご飯 (スタンダードタイプ)を用意した。
「「いただきます」」
朝飯を食べ始めると、こうして仲良く飯を食ってると本当に兄妹かのように思えてくる。
「まるで、私たち兄妹みたいですね」
どうやら、彼女も同意見らしい。
以心伝心までとは、ますますそう思えてくる。
「なあ、俺たちって以前、どこかで会ってないか?」
その質問に彼女は驚いて箸を止めた。
「もしかしたら気づいてないだけでどこかで会っているかもしれませんよ」
「そうか。そうかもしれないな……」
しかし、記憶を掘り起こしてみても一応姉のような人はいたが、妹がいたなんて記憶はない。
ましてや、こんなに可愛い年下の女の子と仲良くなったことがない。
しかも、俺はどうしてそんな変なことを聞いたのだろうか?
結局、朝飯の間ずっと考えていたが、気のせい、ということにした。