間奏曲
私はコンコンと窓を叩く音で目が覚めた。
目覚まし時計を見ると、午前4時半。
何事かと思い窓の方を見てみると、そこには鳩が窓をつついていた。
「どうして鳩が……?」と思い、よく見てみると鳩は足に軽い怪我をしていた。
私は平和の象徴が傷ついたままいるのは、と思い姉から聞いた応急処置を施してた。
そして、その鳩はややぎこちなく飛びたっていった。
鳩の一件と朝飯を終え、私は日課である散歩に出かけた。
1日の予定はいつもこの散歩の時間にたてている。
それ故にぼーっとしていることが多く、うっかり眼鏡を落としてしまった。
「えーっと、眼鏡、眼鏡……」
私が下を向いて、きょろきょろしていると、ぼやけた視界に小さな人影が映った。
そのぼやけた小さな人影は両手を差し出した。
その上に何かが乗っていたので受け取ると、私の眼鏡だった。
眼鏡をかけると、そこには白髪の女の子がいた。
「ありがとう。見知らぬお嬢さん」
私が礼を言うと、女の子は私のスケッチブックを指差した。
「そうだよ。私は絵を描いているんだよ」
女の子は自分の顔に指を差し、ぴょんぴょん跳ねた。
「分かった。描いてあげるよ」
私は女の子の似顔絵を描いてあげた。
すると女の子は嬉しそうに絵を持って走っていった。
昼前頃、昼飯を買おうとコンビニに寄ると情報屋と遭遇してしまった。
「おやぁ~? 榛谷さんじゃあありませんかぁ~?」
「ああ……情報屋かよ……」
「さっきの、見てましたよ~。あの女の子、すごく嬉しそうにしてたねぇ~」
情報屋はそのあと、うっとおしくまとわりついてきたので、烏丸公園あたりまで逃げた。
その烏丸公園にはいろんな人がいたが、その中に迷子らしき少女がいた。
「あの、もしかして道に迷ったの? それとも、誰かとはぐれたとか?」
私は笑顔で少女に近づいた。
「は、はい……」
少女は深く頷いた。
「そうか、なら、ここから北に行けば、駅前に交番があるから、そこでお巡りさんに相談するといいよ」
「あ、はい……ありがとう、ございます……っ!」
少女は深くお辞儀をしてから、駅前交番に方に向かった。
あと、俺を遠くから見ていた情報屋がにやにやしながら去っていったのを視界の隅にとらえていた。
昼飯を食べてからしばらく駅前をぶらついていたら、探偵とぶつかりそうになった。
「おっと、危ない」
その探偵は私のことを知らなかったようだが連れの刑事の方はどうやら私の熱烈なファンだったので長らく話しをしてから、何枚か絵を描いてあげたらものすごく喜んでいた。
もちろん探偵の方にも2枚ほど似顔絵を描いてあげたが、こちらは単純に私の絵に感心しているようだった。
なにやら探しものをしているようなのでアドバイスをして去ってみた。
私はそろそろ帰る時間になったので、家に向かって歩き出した。
その道中、私は前から全速力で走ってきた女性の胸とぶつかってしまった。
その拍子に一瞬、気を失ってしまったが、特に大きな怪我はなかった。
しかし、女性の話によると私の眼鏡は大破しているらしい。
私は気にしてないのだが、ぶつかった相手の女性は眼鏡を直すなんて言ってどこかへ行ってしまったまま帰ってこなかった。
そのまま、私はふらふらとあまりはっきり見えない状態で、街を歩き回った。
ぼやけた街並みは普段から通っていることが幸いして、なんとか家に帰ることができた。