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闇の中で

光が差さない闇の中に直斗はいた。

何が起きたのかは分かっている。

あの時、田所の姿を見て自分は戦いの最中に動きを止めてしまった。


それによって、奴が自分の闇を使って僕を田所と一緒に取り込んだ。


(意外に動けないもんだな)


ガチガチに固まっている感じはしないが、自由に動けるかといえばそうじゃない。

そして感じる田所の体、まだ呼吸をしているのを感じる。


(あの状態でまだ生きているのか?)


結構、派手に血を吹いていたから生存は絶望ししていたんだが………………。


「私を………殺して………」


「誰?」


闇の中で声が聞こえた。


「私を………殺して………もう………」


「もしかして………田所の精霊?」


「は、い」


とても弱く、儚い声に直斗は白夜の言っていた精霊に何かが汚染されていると言っていたことを思い出す。


「もうダメなのか?」


「………私の、ほぼ全てを侵食され………ました。これ、を最後に私は自我を………保てない、でしょう。お願い、です………私を………殺して」


「その侵食したものはなんだ?」


「………………焦燥と、悪意………人が作り、し災悪………」


「それを人が作ったのか?」


「金の国、ヴィーナハル………」


「金の国?」


「そこ、で私………は………」


「おい!田所の精霊!………」


掠れていく精霊の声は直斗の問いかけにもう答える事は無かった。


(金の国ヴィーナハル?そこに何かが在るのか?)


精霊が言った事を考えていると闇が力を増して直斗の中に入り込もうとした。


(グッ、………これは………)


闇が疑え!殺せ!と語りかけながら直斗に入ろうとしている。


(………これは、酷いな)


悪意が存在していた。

田所の精霊を汚染して侵食。

精霊を乗っ取り悪意に自我が目覚めた?かと直斗は何故か冷静に分析をしてい

た。


(それにしても僕はどうなっている?)


これだけ強い悪精霊の意思の力、それが少しも直斗の中に入る事が出来ないでいる。


(マス………ター、マスタ、ー………)


それを不思議に思っていると白夜の声が聞こえていた。


(白夜?)


(………!、マスター!無事ですか!)


切羽詰まった白夜の声が直斗に問いかける。


(今の所は無事だ。白夜、そっちはどうなっている?)


(それが………)と話し始める白夜。


直斗が闇に捕らわれてすぐに変化があった。

白夜達が相手にしていた者が急に苦しみだして倒れた。


油断なく倒れた者を見ていると、闇が萎み収束すると宿主の体から種みたいな物が落ちると直斗を捕らえた闇に同化したらしい。


憑き物が落ちた様な顔をしたナイトラウンズのメンバーを魅沙とエリーナが介抱している。

メンバー達は肌が爛れ、酷く出血しているため応急措置を施し寝かせている。


一命はとりとめたが、彼等のギフトに精霊は宿ってはいなかった。


現在、直斗を取り込んだ闇は球体となり氷依達の攻撃を跳ね返している。


外の様子を聞いて直斗は氷依達の攻撃の衝撃が来ていないと告げる。

中は締め付けられるような負の感情が満ちた世界で直斗の中に入り込もうとしているが、上手くいかずにいることを白夜に伝えた。


(それはきっと、マスターのスキルの闇のカーテンのせいだと思われます)


(闇のカーテン?)


(はい。たぶんですが、マスターが取り込まれたときに発動して体を覆っているのではないかと)


(………そうなんだ?今まで発動すらしなかったのに………)


内心、首を捻る直斗。

本当にそれが発動しているのかは疑問が残るが実際に、闇の侵入を防いでいるので信じるしかない。


(マスター、そちらから攻撃は可能ですか?)


改めて体を動かしてみるが、腕がなんとか動くぐらいで他は厳しい事を白夜に伝えた。


(わかりました。此方で何とかマスターの救出を続けます)


直斗の無事を確認した白夜はひとまず安心して、直斗の状況を氷依達に伝えた。


これからさてどうしようかと考える。

相変わらず直斗の中に入り込もうとする闇がいつ変化するかわからない中で、直斗は拳を握り細かく前に当てる。


(前に田所がいるのはわかっている。白夜の話だと彼の仲間の闇がこいつの中に吸収されたらしいがそれは田所の体に入ったのか?それとも僕の回りにあるのか?)


白夜を呼び出してからの直斗は自分の力についての理解を深める事が出来た。

氷依と出会い鍛えられ学園に入ったが、どこか自分の力についてはこうなんだろうと使ってきた。


直斗の力、衝撃や魔法を目標物の内部に通す能力。

それがハッキリと認識出来たのは水牙大蛇戦の時だった。

強固な盾や頑丈な体の魔物、魔法障壁だろうと直斗の拳が当たれば必ず通す。


例え最強種のドラゴンでも単身で倒せる可能性を持つ直斗の力。

ただ、直斗の力以上のダメージは与えられない。

打ち付けた衝撃力を通すだけだ。


そこに新に身につけた能力、魔法結晶の力を上乗せできる様になりさらに幅が広がった。


そして今、直斗はその力で闇の内部を探る。

白夜が見せた体の内部を探り異物を見つけた様に、この内部をスキャンをする。


軽く打ち付けた衝撃波が波紋の様に広がり内部の状況を直斗に伝える。

白夜と出会う前ならこんな使い方など想像しなかった。


(何かが5つ、この中を漂っている。これが種?だとするとこれを破壊てきれば………)


ここで直斗は手の出しようがないと苦笑いを浮かべる。

細かく拳は動かせるが、それを破壊できるかといえば無理な事だった。

僅かな隙間では破壊できるほどの力を伝えられない。


このまま防戦一方かと思っていると、外から確かな震動が伝わってくる。


(?、何だ?)


(………マスター、今度はどうですか?)


聞いてくる白夜に直斗は震動があったと答え、どうやったのかを聞いた。


(魔法の効果が無かったので、白華に投げ飛ばしてもらいました)


(………良く無事だったね?)


白夜の小さな体なら白華の力をもってすればそれくらい簡単だが、投げ飛ばされた白夜の負担が大きい。


(無事ではないですが、何とか………)


どこか怪我したのかと訪ねるとそれはまだ大丈夫だと白夜は言う。


(まだ?)


(はい。やはり何回も出来ないです。あれで震動があった程度だと、私の体が………)


(なら無理しないでも………)


(いえ!マスターを救う為です。私の体ぐらい消滅しても構いません!)


(いやいや、それは止めようよ)


悲愴な決意を口にする白夜に直斗はなんとか止めてほしいと願う。


(大丈夫です!ベッドで一晩、天井の染みを数えていてくれれば復活しますから………エヘヘ)


(………………)


(やだな、マスター冗談ですよ………)


焦ったのか早口で訂正する白夜。

仕切り直してどうするかを話し合う。


(こっちは当分大丈夫だと思う)


(そうですか。此方もやるのはいいんですが、何処に攻撃を当てればいいのかと………)


攻撃をするポイントかと直斗は考える。

そいえばと思い出して白夜に先程、探った闇の異物の場所を白夜に教える。


(おっ!これは………マスター、私がこれを打ち砕きますから後はお任せします)


(白夜?)


(マスターはまた同じ様にアレの場所を探ってください。ギフトを通して位置がわかりますので)


そう言うと白夜は会話を切った。

不信に思いながらも直斗は言われた通りに闇の異物を探る。


異物は5つ固まっていた。


(?)


何かをするつもりなのかと警戒する。

すると急に直斗の回りの闇の圧力が高まる。


(何だ?いきなり?)


直斗を押し潰す様に闇の質が変わった。

直斗の闇のカーテンを突破できないと判断して切り替えに直斗は自分が油断をしていたと覚る。


それでも白夜との約束通りに闇の異物を探り続けていると、闇の中から声が聞こえる。


「何故、受け入れない」


「何故、従わない」


「何故、死なない」


「………………何故」


これが今の精霊達の声かと思う直斗の表情が曇る。


(マスター!行きます!)


白夜の声が頭に響くと闇を貫く衝撃が5つ異物を巻き込むように貫いた。


闇に亀裂が走る、光が入り直斗を取り巻く闇の圧力も消えた。

直斗はその中で闇の異物を探す、場所はわかっている。


その場所に踏み込み直斗はそこにひび割れた5つの小さい塊を見つける。


「終わりだよ」


一言呟いて直斗は拳を打ち込む。

その寸線に田所の剣が間に入り直斗の拳を止めた。


ガギン!


直斗の拳と田所の剣がぶつかり5つ異物が消滅した。


「ふう」


完全に闇が消え、直斗は後ろを振り向くと。


「マスター、やりましたね」


「白夜!」


ニッコリと微笑む白夜の姿が直斗の目の前で霞んで消えた。


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