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宣戦布告

恵とハマスを寝かせている場所から離れる事が出来ずにいる直斗はどうしたものかと頭を悩ませる。


ここで待っていれば氷依達が来てくれるだろうが、向こうも今は戦闘中かもしれない。


せめて白雪が居れば運びやすいのだがと思ってしまう。

白夜は二人を縛っている最中で、そこまでしないでもと口をだそうとしたが万が一を考えて白夜の好きにさせておいた。


ハマスの体も調べてみたが、恵と同じような場所に異物があったので処理をしておいた。


「さて、どうしようか?」


「皆様を待つしかないのでは?」


「だよね」


と頷き直斗はあのメンバーで手の空いてるのはと考えてエリーナにメールでこちらの状況を伝える。


「これで後は待つだけかな?」


「誰をよ?」


「誰って………氷依?」


直斗が声のした方へと視線を向けると仲間たちが此方に来るのが見えた。


「白雪の案内で近くまで来ていたのよ。怪我が無くてなによりだわ」


「メールを読みました、返信するより近くにいるみたいなのでしませんでしたけど」


その二人の横から白雪が少年を背に乗せて直斗の前までやって来る。


「彼は?」


ポイと白雪は少年を直斗の前に投げ捨てる。

それを受け止めて直斗はエリーナに聞く。


「彼は加藤君です。そこにいる恵さんと同じくナイトラウンズのメンバーです」


へぇ、と直斗は気絶している加藤君を見るとあちこちに氷依の攻撃の痕が見える。

1・2・3………………13箇所?。


「氷依………やり過ぎ!」


「エッ?………何が?」


とぼけているのか、本気なのか素知らぬ顔をする氷依、その隣にいる花さんに目を向けると顔を反らされた。


「まぁ、生きているならいいか」


そう結論付けて直斗は彼を見る。

白夜に彼を探らせていると、以外にも軽い症状だったらしく白夜一人で簡単に処理が出来た。


「この後はどうするのですか?」


「考え中です」


「何を考える必要があるのよ!こいつらを連れて殴り込みよ!」


「「「エエッ!!!」」」


魅沙にエリーナとティーアが驚きの声をあげる。


「?、何よ。当たり前じゃない、さっさと蹴りを付けて祭りに参戦しないと」


ツイ、本音が出たなと直斗は思ったが氷依の意見には直斗も賛成だった。


「基本的には氷依の意見に賛成する。放置してまた、おかしくなられても困るしね」


「………………確かにそうだな。そこまで考えていたか直斗」


「そういう事なら賛成です」


「………はい。ありがとうございます」


そうと決まればこの3人を白雪の背に乗せてエルフの街に向かう。

道中、騒がれも困るので白夜が3人に猿ぐつわを噛ませた。


ここからはティーアにエルフの街の場所を聞き進んでいく。


今度は困った事に少なからずエルフと出会い戦闘になってしまった。


「なんで今さらエルフが出てくるのよ!」


エルフの攻撃をかわしながら氷依が叫ぶ。

3人組のエルフの攻撃を前衛組の直斗・氷依・白夜で向かい打つ。


エルフの魔法を白夜が吸収しつつ接近して叩く。

流石に全てを吸収出来なかったが、力が弱まった魔法は魅沙の盾で止められた。


魔法での攻撃が効果が薄いと感じたエルフ達は肉弾戦に切り替えた連携を見せる。


殺傷行為を禁じている大模擬戦のルールを守っている事から、彼等は汚染されていないと確信した直斗は皆にも殺傷力の強い行動はしないように注意した。


「わかっているわよ!」


「了解ですマスター!」


「心得ております御主人様。」


ふと直斗が隣を見ると白華がいつの間にか側にいた。


「白華?皆の護衛は?」


「あちらは白雪さんにお任せです。陰に徹していましたが目立たないと御主人様に忘れられそうで………」


「そんなことは………………」


白華の言葉に動揺してしまう直斗。

確かに白華の言葉に思い当たる事がある。

それに白華が不満を感じていたのかと不安を感じたが彼女は直斗の心中を読んだのか。


「御主人様に不満はありませんよ」


とニッコリと笑みを見せた。


(なんか白華の性能があがっていないか?)


人間らしい笑みを見て直斗はそう思った。

既に氷依と白夜がそれぞれ相手を決めて戦っている。


「ここは私にお任せを!」


そう言うと白華は直斗の前を行くと残るエルフと戦闘に入った。

後ろで3人の戦いを見ることになった直斗は足を止めてその戦闘を見学する。


氷依は剣と魔法で有利な状況を作っている。


白夜はスピードと手数で相手を圧倒している。


圧巻なのは白華だった。

無手の白華はエルフの攻撃を全てを避け、相手の手を捕まえたら即関節技を極めていた。

右肩から外し、流れるように左肩を外した白華は最後に首を打ちすえエルフの意識を飛ばした。


「凄いね白華は」


「ありがとうございます御主人様。ですが相手は手加減しておりましたので懐に入れば当然の結果です」


その懐に入るのが難しいのだがと直斗は思った。

程無くして白夜と氷依の戦いも終わった。


「私も関節技を習おうかしら?」


後から戦闘に突入した白華が先にエルフを戦闘不能にしたのを見て氷依がポツリと呟く。


「そうですか?なら先生に相談してみましょうか?」


「エッ!………………いえやっぱりやめとく」


花さんの一言で氷依は慌てて首を横にふる。

倒れているエルフを見て直斗はこれはどうすればいいのかとティーアに聞いた。


「ああ、倒したエルフはこうするのだ」


倒れているエルフに近づきティーアはポケットから何かを取り出す。

ティーアの背後に近づいてどうするのかと様子を見ていると、赤い墨を取り出してエルフの頬に×印を書いていく。


「2日は取れない特製の墨なのだ。倒した者にはこれを書いて死亡扱いとなる」


へぇ、と頷く直斗はそれ以上何かを言うことを止めた。


「罰ゲームみたいですね」


魅沙の言葉を皆が頷いた。

それからもエルフの街に近づくにつれて、エルフとの戦闘機会も増える。

そろそろ何処かで休憩をしたい所だがと考えてティーアに聞いてみる事にした。


「ティーア、何処かで休憩できないの?」


「ん、そうだな。この近くだと戦闘禁止区画があるのは白百合が咲いている所だぞ」


「わぁ、白百合が咲いているのですか?」


「うん。すぐ近くだからそこに行くか?」


「そうだね。ティーア、案内をお願い」


任せろと言ってティーアはエリーナに方向を指示する。

その後を着いていくと多数咲いている白百合が目に入った。


「この白百合が咲いている場所が戦闘禁止なのだ。だから中にいる分には安全なのだぞ」


「敵が入っても?」


「そうだ。絶対に戦闘はダメだ!この白百合は高品質の回復薬になるから害があれば両エルフから袋叩きにされるのだ」


怯えた目をするティーアに氷依が聞いた。


「もしかして、過去に白百合を傷をつけたエルフがいたの?」


「………居た」


「それで?」


「60年前の事だが………今でもハブられている………」


ゾッとしたのか両腕で体を抱え込むティーア。


「そうなんだ………」


聞いた氷依もこれは聞いてはいけない事だったかと声を落とした。


場の雰囲気を変えるべく、直斗は食事の準備を始める。

それを皆で手伝いその場に美味しそうな匂いが漂つた。


食事をとり、鋭気を養った直斗の前にナイトラウンズのリーダーが現れた。


「よう!」


片手を挙げて白百合の咲く安全地帯に入ってくる。

その姿を見てエリーナに緊張が漂う。


「なんの用だ?」


安全地帯に入ってすぐに足を止めたナイトラウンズのリーダー田所 守は直斗の問いかけに答えた。


「決着をつけよう」


「決着?、君の仲間を解放では無いのか?」


その言葉に田所はチラリと仲間の二人とハマスを見ると首を横に振った。


「もう使い物にならん。そっちで処分をしろ」


「仲間を物扱いとは恐れ入るわ」


田所の言い方が気に入らなかった氷依が噛みつく。

それを一瞬見たが田所は直斗から視線を外さなかった。


「なっ!」


無視をされて更に噛みつくこうと腰をあげる氷依を花さんが抑える。


「わかった。こちらに任せてもらおう。それで決着をつけるとは?」


「俺のパーティーとお前のパーティーで決着をつける!」


「それがお前達の意思か?」


「そうだ。もはや見逃せん!ここで死ね!」


田所から漂う禍々しい気配に顔をしかめる直斗はそれに頷いた。


「わかった。場所は?」


それを聞いて田所はニヤリと笑いある方向へと指をさした。


「向こうに開けた場所がある。そこで待つ」


そう告げると田所は直斗達に背を向けて大森林の中に消えていった。


「直斗さん、本当にやるんですか?」


田所の消えた方を見つめていた直斗にエリーナが心配そうに聞いてきた。


「ああ。もうエリーナさんの問題では無くなった。狙いが僕達に変わったのなら奴等は敵だ!」


「そうね!直斗、敵は潰すわ」


初めて見る直斗の殺気を含む気配にティーアは驚きの目で見つめ、エリーナはそれを複雑な表情で見つめるだけだった。


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