余暇
ダークエルフの住む町アルトに戻ってきた。
町は死んだ者とされていたエルフが現れた事で町中が混乱している。
すでに過去の人物である、エルフやダークエルフが戻ってきた事により、町を管理している者は事情を聞いて慌ててエルフの街や都市にこの事を知らせに走らせた。
この混乱をもたらした者達は、そんな事には見向きもせずに宿の一室でのんびりとしていた。
町に着くなりティーアと別れた直斗達は直ぐに宿を取った。
幸いにも魔物と遭遇する事もなく無事にアルトに着くことが出来た。
やっぱり驚くんだろうな?と思っていると大混乱になっていた。
直斗達はそそくさと宿を確保すると外の騒動を尻目に宿で食事をとってそうそう就寝した。
直斗が目を覚まし、窓の外を見ると混乱からお祭り騒ぎになっていた。
あちこちから帰還を祝う声が聞こえてくる。
もうすぐ、エルフと合同の大模擬戦が控えていた事で町に集まっているダークエルフも普段より多い。
あと、1週間もすると大模擬戦が始まるという。
氷依などはやる気に満ち溢れていた。
(本当に参加していいんだろうか?)
窓の外をぼんやりと眺めていた直斗は部外者である自分達が参加するのに否定的だった。
ティーアの話だと偶然居合わせた他種族が大模擬戦に参加するのはよくある事だと言う。
訓練の一環なので殺してはならない。
それを守ってくれるのならば大歓迎なのだと言っていたが………。
大模擬戦に参加する事は既に伝えてある、今更そんな事を考えてもしょうがないのだがヤル気が起きない。
大模擬戦が始まる日までトルネードは活動を停止して休みとした。
サバイバル試練中にそれはどうかとエリーナが難色を示したが、氷依と魅沙に押しきられた形でそれが実現した。
パーティーで動かない変わりに個人では狩りをしても構わないと言うことでエリーナも渋々それに従った。
そんな訳で約1週間の休みが出来た。
直斗は何をして過ごそうかと考えていると部屋の扉がノックされる。
「はい、どうぞ」
誰だろうと扉を見つめていると。
「あの、直斗さん」
エリーナが顔だけを扉から出して直斗は見つめた。
「ん。エリーナ、どうしたの?」
直斗は部屋に入ってこないエリーナを不思議に思いながら聞く。
「えっとですね。狩りに行きません?」
そう言われて直斗は考える、何もする事がないことも確かだが。
このままずっと部屋にこもっていても良いが、エリーナとの付き合いもまだ短い。
リーダーとして親睦や連携など深めるのも大事かと考えて直斗はそれを了承した。
「いいよ、狩りに行こうかエリーナ」
「本当ですか」
それを聞いたエリーナが直斗の部屋に入ってきた。
このまま狩りにいける程、準備万端だった。
「………用意がいいね?」
「ええ、もしダメでも一人で行こうと思っていましたので」
「氷依達は?」
「氷依さんと魅沙さんは町の中を見て回ってくるそうです。色々と買いたいものがあるそうで」
「そうなんだ、じゃあ僕も準備をして行くからエリーナさんはティーアを呼んできてくれる。待ち合わせは遺跡方面の町の出入り口で」
「はい!分かりました。ではまた」
エリーナは浮き浮きとしてティーアを呼びに行った。
直斗はベッドでまだ寝ている白夜を起こして狩りに行く準備を始めた。
「くぁ~。マスター、狩りに行くんですか?」
「そうだよ。エリーナさんが誘いにきたんだよ」
「う~ん………………何処です?」
まだ眠そうな目をしている白夜がキョロキョロと部屋を見渡す。
「ここに居ないよ、ティーアを呼びに行ってもらっているから」
ハァフ。とアクビをする白夜。
「……………………メンバーは?」
「僕とエリーナさん、白夜にティーアと白雪かな?」
「白華は?」
実は彼女はまだピラミン遺跡にいる。
やり残しがあると言うので遺跡で別れたのだが、まだこの町には来ていないようだった。
この町に宿は2軒しかないので探すのは難しくはない、まだ姿を見せないという事は用事がまだ終わっていないので来ていないと考えられる。
「そのうち来るんじゃないかな?白華は強いから一人でもこの町に来れるしね」
「ふぁ、そうですね。………………顔を洗ってきます………」
ベッドから下りると白夜は洗面所にふらふらと顔を洗いに行った。
スッキリとした白夜を従えて直斗は待ち合わせの場所に向かった。
騒がしい町中を抜けていくとエリーナとティーアの姿が見えた。
「直斗~!」
こちらを見つけたティーアが直斗に手を振る。
「ごめん、遅くなった」
「いえ、そんなに待ってはいませんから」
エリーナとそんな会話をしていると服の裾をティーアが引っ張る。
「直斗!今日は家にきてくれるか?」
家族団欒をしてほしいと直斗達は思い、遠慮していたのだがティーアは直斗達が宿に移るのも不満でぶつぶつと文句を言っていた。
そこをティーアの両親が直斗達の思いを汲み取り、ティーアを抑えてくれたのだが食事は一緒にしたいと言ってだだっ子になったので、直斗達は食事ぐらいならと了承した。
大抵は外食で済ますのだが、ティーアは家で食べてほしいと会うたびに言ってくる。
親に甘えればいいのにと直斗は思うのだかそこら辺の感覚がエルフと直斗達とは違うみたいだった。
町を警備しているダークエルフに言って町の外に出る。
エリーナが探索魔法で森の中を進んでいくと直ぐに白雪がやってきた。
「白雪、今日は宜しくね」
「アグ」
えっ?と直斗の腰を押してくる白雪。
どこかに案内をしたいみたいだったので、直斗達は白雪の後に着いていった。
「お~、凄いぞ白雪!流石なのだ!」
喜ぶティーアの後ろで直斗は苦笑いを浮かべていた。
「これ………白雪が狩ったの?」
直斗が山と積まれた魔物を見て白雪を見る。
白雪は当然とばかりに一声吠えた。
「では、入れていくぞ!」
ティーアが嬉々として魔物を袋に入れていく。
直斗はそれを眺め、エリーナは近くで薬草やキノコなどを取ることに励んでいた。
魔物を詰めおえたティーアが直斗とのところに戻ってくる。
「直斗!大漁だったぞ」
「そうだろうね、ありがとう白雪」
隣にいた白雪の頭を直斗は撫でてやった。
白雪が貯めた魔物も片付き、直斗達は本来の目的でもある魔物を求めて歩きまわった。
サバイバルとしてこの大森林に来た直斗達だが、町を発見した事によりだいぶ意味合いが違ってきたとなとは感じる。
ここを指定した学園はこれも想定内としているだろうと思い直斗達は暫しこの生活を楽しんだ。




