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初会議

直斗が教室に戻ると幼なじみの氷依が、何故か教室にいて男2人を正座させていた。2人共、恐怖に表情が強張っているのが遠目でも直斗にはわかった。


直斗が教室に戻ったのを誰も気づきもしない。

幼なじみの氷依、彼女のメイド兼ボディーガードの花は直斗に背を向けているため気づかない。


直斗は頭をかきながら、どうしようかと氷依の後ろ姿を眺めていると氷依のすぐそばに委員長の頭が見える、どうやら氷依を止めにきたのだろうと直斗は思った。


彼女がいるなら大丈夫かと直斗は安堵して成り行きを見守る。


「申し訳ありませんでした!」


「ごめんなさい」


正座をしていた男2人が氷依に向かい土下座をする。

氷依の後ろ姿を見る限り、直斗には氷依が本当に怒っているようには見えなかった。


彼女とは子供の頃からの付き合いである直斗は彼女の本気の怒りを見た時がある、それに比べれば今の彼女はどこか面白がっている風に直斗の目には映った。


「ふん!謝るぐらいなら陰口なんて言わない事ね。しかも本人が近くにいる所で言うなんて馬鹿じゃないの!死んで出直しなさい」


「ひぃ!「へぁ!」」


そう言うと氷依が男2人を睨みつける。

その氷依の迫力に押されて悲痛な叫びをあげる2人、彼等が何を言ったのかわからないが直斗は何故?、止めにはいったであろう委員長が何も言わないのかが不思議だった。

直斗は改めてクラス中を見渡す。


年齢がバラバラで、直斗とのような少年とは違い、大人もいる。


豊穣学園は年齢制限がない、年1回行われる入学試験を受ければ誰でも学園に入れる為に大人から子供まで一緒のクラスになる。

そうした中で、誰も氷依を止めようとはせずに見ているだけ、直斗は面倒くさげに氷依に近づき声をかける。


「氷依、なんなのこれ?」


直斗は特に力をいれる訳でもなく普通に氷依に話しかける。


「あら?直斗、もう戻ってきたの?」


後ろを振り返りもせずに氷依は直斗に返事をかえす。

氷依の金色の長い髪を見ながら直斗は自分に一瞬、視線を向けた花と視線が交わる。


その顔はもっと早く氷依お嬢様に声をかけなさいという表情をしていた。

直斗は訳がわからずも花に軽く頷く。


「なんの騒ぎだい?」


「あぁ、これ」


なんの感情もはいっていない声で氷依は直斗に答える。


「私を馬鹿にした男達に罰を与えているのよ」


「へぇ、なんて言ったんだ」


直斗の問いに氷依は右手の人指し指を顎の辺りに当てると、少し考えてから直斗に答える。


「北方エリア総督の脳筋姫だったかしら?」


「はあ!!」


床に正座する男2人と委員長が、それを否定するように首を左右に振っているのを直斗は見る。


「本人達は否定してるけど、あながち間違いじゃないじゃ……………」


直斗は氷依に睨まれて最後まで言葉を言えなかった。


「へぇ、あなたもそう思ってたの?覚えておくわ」


ガックリと項垂れる直斗は余計な事を言うもんじゃないなと内心で思う。


「その程度でこの騒ぎ?」


「……………」


氷依はようやく周りを見渡すと自分に集中するクラス中の視線を見てから直斗を見る。


「あなたが居ないから暇潰しよ、もういいわ下がりなさい」


氷依の言葉に呆気に取られるているクラス中の人達、その中でいち早く正座させられていた2人がそそくさと席に戻る。


「さぁ!行くわよ」


氷依は何事も無かったように直斗の腕を掴むと教室から出ようと歩き始める。


「わっ!」


思わぬ氷依の行動に慌てる直斗は手に持っている物を思いだし引っ張る氷依に抗うが、いつの間にか右に氷依と左に花さんの2人に引き摺られるように連れ出される。


「済まない委員長!これを……………」


ボーと立ち尽くしていた委員長は直斗の声で我にかえり直斗に駆け寄ると直斗の手に握られてる依頼表を取ると。


「委員長!あとよろしく」


その声を残し直斗は2人に連れ去られると教室には安堵のため息が漏れる。


「おい!どこに行くんだよ!」


「直斗様、お静かに」


ガシッと直斗の喉元を花が掴む。

直斗はその苦しさから無言で頷いた。教室から離れ、氷依は直斗の腕を放す。

花を従えて氷依は前を歩く、直斗は2人の後ろ黙ってついていく。


「ここなら良いでしょう」


氷依が先頭で歩いて着いたのはAクラスのみ使用可能なパーティー用の個室。

実力主義の聖日本帝国ではトップクラスの成績者には色々と優遇処置がある。

この部屋もその1つだ。

「もう部屋を用意したのか?」


「当たり前でしょ、学年1位の私が3ヶ月も何もしていない訳がないでしょ」


「へぇ」


「へぇ、ってそれだけ?直斗は相変わらずね」


「お嬢様、お茶をいれますのでお席でお待ちを」


部屋の中に入り、鍵を閉めた花は氷依を奥の品のある白の椅子と机に導くと氷依を席に座らせる。

直斗は部屋の中央に置いてある長机の氷依に近い場所に座ると机の上に上半身を投げ出す。


「それで、なんの用だったんだ?」


直斗は氷依を見ずに聞く。

ちらりと直斗に視線を向ける氷依。

その直斗の行動に特にきにする様子もなく答える。

「今日から依頼が受けられるわ」


氷依は花からお茶を受け取りながら言う。


(はぁ~、面倒くさい。優等生すぎるだろ)


直斗の憂鬱オーラを感じたのか花が直斗の後ろから厳しい視線を向ける。

氷依はそんな事には気にせずに続きを話す。


「忘れてはいないでしょ?約束は守ってもらうわ。直斗は戦闘だけすればいい、後は私に任せなさい」

特に気負う訳でもなく氷依が静かに告げる。

後ろに立っている花の上機嫌な雰囲気を背中で感じながら直斗は氷依を見る。


「それで、何時なの?」


「3日後よ、場所はマズウェル。獲物は焔鳥の玉子」


「?……………それだけなの?」


「そうよ。学生にだす依頼だもの大規模な狩猟は卒業してからでしょ。この依頼でも出されている中では最高ランクよ」


「へぇ、それは競争が激しそうだ」


「ええ、私のクラスの人は全員やるはずよ」


「それはまた……………、競争が激しそうだ」


「そんな事はないわよ」


「と、言うと」


「数がね、多いのよ。トータル500個、だから割りと簡単でしょ?私のクラスが総出で集めればね。後は何割を私達が占める事ができるかね」

ふむ、と直斗は考える。

初の狩りで500個?氷依のクラスが優秀なのは知っているが、そんなに簡単な事か?直斗は氷依ならすでに情報を集めているだろうと思い聞いてみる。


「焔鳥ってどの程度の危険があるんだ、それと数は?」


直斗からの質問に氷依は自身の携帯機を取りだし見る。

氷依も直斗と同じスマホ型の携帯機を所持していた。


「えっと、危険度はC。離れ小島に数千羽生息しているらしいわ」


「ふ~ん、Cか。初心者むきじゃないね」


「まぁ当然ね、それだけ報酬は期待できるわよ」


「報酬?」


「そう、この依頼後、2週間は直斗を自由にしてあげる」


その氷依の言葉を聞き、ガバッと直斗が起き上がる。


「ほっ本当に?」


「えぇ、白亜の名に賭けて約束するわ」


「ふ~ん、本気なんだ」


「もちろんよ。初仕事だも、私達がとるわよ」


力強く両拳を握りしめる氷依を見て直斗はやれやれとため息を吐く。


「ふふふ、楽しみね」


「楽しそうなところ悪いんだけど、他に情報は?」


「?これだけよ」


可愛く首を傾げて真っ直ぐに直斗を見る氷依。

その瞳は何故か自信に溢れるている。



「あっそう。強者は余裕だね、さすが学年1位」


「なんです、お嬢様を馬鹿にしているのですか?」


「まさか、花さんの考え過ぎですよ。優秀なメイドさんがいるんだから氷依以上に調べてますよね?」


「……………………」


「はぁ、調べてないんですね」


「直斗、花をいじめないで!」

「いじめてないよ。だからそんな恐い目で見るなよ」


憮然とした表情で直斗を見る氷依。

その体から滲み出る怒りのオーラを見て直斗はあわてて否定する。


「そう、ならいいわ。じゃここにいる人数で申告しておくわね」


そう言うと氷依は手元のスマホに視線を向けて操作を始める。


直斗はそれを見ながら頭の片隅に何かが引っ掛かるのを感じる。


「あっ!これね。じゃ依頼を受けるわね」


氷依の指先がスマホの画面に触れる寸前に直斗は昼休みの出来事を思い出す。


「あっ!まった!」


突然、大声をあげた直斗にビクッと硬直する氷依。

「なに?なに、どおしたの?」


「わるい氷依。いい忘れていた、今日の昼休みにパーティーに入りたいと言っていた人を思い出したんだ」


「へぇ。その娘……………可愛いの?」


何故か女性に限定され氷依と花から冷たい視線を浴びる直斗。


「まぁ、可愛いか可愛いくないかと言ったら可愛い方だと思う」


「へぇ、そう。」


「女性の敵」


直斗は何故?と思うが口に出しては言わない。


「まぁいいわ。明日の放課後、ここに連れて来なさい」


了解と直斗は氷依に頷き今日の話し合いは終わった。

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