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死者の森9

目の前に小山となって存在するドラゴンゾンビの竜骨を前に地面に腰を下しそれをただ見つめる。


「マスター!」


背中に抱きついてくる白夜の温もり。


「ご主人さま!」


ポフと頭に抱きつく白雪。


「……直斗」


同じように腰を下しそっと僕の左手に自分の手を重ねる桜。


「……ああ、勝ったな」


皆の明るい雰囲気を感じ、グッと右手を握り勝利を実感した。


さて…………勝利の余韻に浸る暇はない。

もうすぐ陽が暮れて夜になるので後始末を始めないと。


「みんな、もうすぐ夜になる。疲れているところ悪いけどもう一仕事お願い。今日はここで野営して明日出発する。白雪と桜は手分けしてゾンビ達の魔石を回収、白夜は火事にならないように注意してゾンビの焼却をして僕はドラゴンゾンビの竜骨を回収してテントや食事の準備をするよ」


「はい!」


「あい!」


夕暮れのまだ視界が明るいなかでそれぞれ与えた役割をこなす。

ドラゴンゾンビが居た辺りは奴が放った炎球で雑魚ゾンビの体など一部も残らず焼却されていて大量の竜骨さえ片付ければ問題なく野営ができる。

僕はさっそくギフトを取り出し竜骨をギフトに収納する。


あっという間に竜骨が無くなり地面が見えた。

そして黒く輝く手のひらサイズの魔石が1つ。


「ドラゴンゾンビの魔石か。何かの使い道があるのかね?」


これもギフトにしまう。

皆が走り回って作業をしているのでこっちもテントを張り木片を集め火を起し飯を作る。

森に漂う霧は相変わらず濃いが原因が取り除かれたから次第に霧もはれるだろう。


2ヶ所に火を起し1つをスープ用に鍋を置き、もう1つを焼き物の用に使う。

皆が戻ってきた。

集めた魔石を受け取り食事をする。

美味しそうにガツガツと食べる白雪。

白雪の口元についた汚れを落としながら優しい表情をする白夜。

スープを飲みホッとした表情を浮かべる桜。


風呂など無いのでお湯を鍋に沸かし体を拭かせる。

女性陣をテントの中に入れ鍋ごとお湯を渡し拭いてもらう。

その間に僕用のお湯を作りしばし待つ。

体を拭いた白夜達はそのままテントの中で休んでもらい僕は体をタオルで拭きながら見張りにたった。

明け方、桜に見張りを交代してもらい数時間寝た。

桜達が作った朝食を食べ、ハーメルの町へと戻る為に森へと入った。


「霧が…………」


太陽の光が森の中に降り注ぐ。

これが本来の姿だ。

霧が無くなり鳥の声が聞こえる。

見晴らしの良くなった森の中を進むと途中で白雪が木の根元へと近づき臭いを嗅いでいる。


「……ご主人さま、ここ」


何か有るらしい。

言われるまま木の根元を掘ると不気味な色のキノコが1つ出てきた。


「……これってあのキノコですよね?」


白夜の言葉に頷く。

これは金のなる木ならぬ金のなるキノコだ。

これ1つで百万円以上+FランクからEランクに上がるのに必要な物だ。

僕達はお互いの顔を見つめる。


「…………白雪!これを後3つ見つけて」


「あい!ご主人さま」


駆け出す白雪の後を付いていき一時間もしない内に4つの精力絶倫キノコを集めた。

ホクホク顔で森の中を進み三日目の昼過ぎには森から出られた。

魔物の姿が無く時間を取られなかったから時間を短縮できた。

だがその分、森を出ると大勢の人間が待ち構えていた。


多数のテントに重装備の冒険者や冒険者ギルドの人間など見覚えがある人達が居た。


「「マスター!」」


森から出てきた僕達を見つめる大勢の視線。

その中から二人の女性が飛び出してきて僕に抱きつく。


「うわ~ん」


「ヒックヒク、もう会えないかと…………」


出てきたのは泣きながら抱きつくルーシェとエルだった。

冒険者にも知られているルーシェとエルが喜びながらも泣いている姿を見て敵ではないと判断したのか張りつめた視線が緩んだ。


「ナオト、ちょっとコッチに来な」


声のする方へと視線を向けるとハーメルの冒険者ギルドのマスターミランダさんだった。

僕はそれに頷く、まだ抱きついているルーシェとエルを白夜達に任せてミランダさんの後へついていった。


人垣をかき分けミランダさんについて行くと冒険者ギルドが使用しているらしい大きいテントへと着いた。

職員さんが仕事をしているなか奥へと進むとマスター用の一室へと到着。


「ふう。で、何があったんだい?こっちはファイヤーバードのグレイから聞いて冒険者をかき集めて森に入る準備をしていたんだが急に霧が無くなりどうしたもんかと思っていたらナオト達が出てきて……説明しておくれ」


疲れた表情の中にも事態が収束した事による安堵感も見える。

隠す事などないのでグレイさんと別れてからの行動を話した。


ドラゴンゾンビ(呪い)のこと。


最高位魔族アニムスのこと。


アニムスは宣戦布告して逃げたこと。


そこからドラゴンゾンビと森の中から集まってきた雑魚ゾンビとの戦闘のこと。


それに勝利して次いでに目的のキノコも取ってきた事などミランダさんに話した。


「…………まったく、キノコなんてどうでもいいわ!ドラゴンゾンビの討伐?これだけでもBクラスもんだよ。それを四人で倒すなんて…………はぁ、とにかくお前達はDランクに上がりな、それ以上は私個人の権限じゃ無理だからね。それと竜骨とドラゴンゾンビの魔石の買い取りはハーメルのギルドでは買い取りできないよ。そんな大金は払えないのさ。その代わりにキノコと雑魚ゾンビ?の魔石はこっちで買い取るよ今回の依頼料に色をつけて渡すからドラゴンゾンビの事と最高位魔族の事は秘密でたのむよ。さすがに王様に報告してからじゃないと混乱を招く恐れがあるからね」


「わかりました」


「なら、二日後にハーメルのギルドへ来ておくれ金を用意して渡すから、それと冒険者カードの更新もね。お前達は街に戻りな、後はこっちで森の安全を確認するから…………ご苦労さんナオト」


この後、ミランダさんは集まった冒険者に指示を出し森の調査へと向かわせた。

僕達は人目につかないようハーメル街に送り出され久しぶりのベットで休息した。

再会したルーシェとエルからは実力不足でしたと謝られそれでも一緒にいたいと言ったので白夜と桜に二人の鍛練を任せた。


約束の期日にギルドへ向かいファイヤーバードの面々とも会った。

再会を喜び握手をする。

ドラゴンゾンビの件はすなおに倒したと話すと少し怯えられたのにはショックだった。

ギルドマスターの部屋で今回の金を受け取り冒険者カードを更新した。

ドラゴンゾンビ討伐組はレベル20を軽く越えていた。

これでミナホと同じレベルまで上がった事になる。

次いでにミランダさんにいい武器を造ってもらうには何処がいいかと聞くと。


「それならヴァイオリア大山脈の近くに鍛冶の街ドロンがいいよ。その竜骨が有ればどんな職人でも頼んでくるだろさ」


カカカカ!と笑うミランダさんに礼を言ってギルドを後にする。

もちろんユサリアに居るシュリに伝言を頼むのも忘れてはいない。


「マスター、次ぎはドロンですか?」


「ああ、白雪の武器を造ってもらいにね」


「やったー!ご主人さま、ありがとう」


「約束だからね。ユサリアでシュリと合流してからドロンへと向かおう」


「「はい」」


「あい!」


冒険者ギルドの外で待っていたルーシェとエルと合流して6人でハーメルの市場に向かい食料や雑貨を購入する。

準備を整え山越えで先ずはライパカへと向かう。

ライパカに居るラザリーの依頼を完了するために。




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