私、これでも凄いんです!(キリッ)
リオニールはとんでもないガラクタを
手に入れてしまったのだ……
「……でさ、さっきの光って何の意味あったの?」
『いえ、特に意味はありません。何となく
光ってみました。こう、ピカッと』
「無いのっ!?しかも何となくって何さ!?」
『まぁ、細かいことはいいじゃないですか!』
全然良くないんだけど……
「……はぁ……もう良いや。
ところでさっき言ってた契約って何?」
『私を使うためには契約が必要なんですよ。
もし契約をしないで私を使おうとすると……』
「使おうとすると?」
『全ての生気を吸い取られて干からびます』
「怖っ!?」
そんな恐ろしい物使いたくないよ!!
今からでも契約破棄出来ないかなぁ……
『あっ!今、契約破棄出来ないかなぁ……
って思いましたね?残念ながら、一度契約したら
破棄は出来ません』
「心を読まれた!?……契約破棄は
もう出来ないのか……ハァ」
『そんな悲しい顔しないでくださいよ~
損はさせませんから♪』
もう損してるよ……
「……君は何が出来るの?」
『よくぞ聞いてくださいました!
私と契約して下さった方には
様々な能力が与えられるのです!』
「能力?どんな物があるの?」
『身体能力の向上や、魔法が使えるようになります』
「魔法って……エルフが使うあの?」
『はい♪エルフしか使うことが出来ない
あの魔法です♪』
おぉ……まさか魔法を使えるようになるなんて……
実はすごい武器だったんだね。
……テンションはアレだけど。
『因みにマスターの魔力は雀の涙ほどしかないので、
大した魔法は使えません』
「……意味ないじゃん」
『今はの話ですよ!魔力は少しずつ
増えていきますから、その内すごい魔法も
使えるようになります!……なるはずです』
「何で最後は自信無さげなのさ!?……まぁ、良いや。
今の僕ならどんな魔法が使えるの?」
『え~っとですね……今使える魔法は
スキャリングだけみたいですね』
……名前を聞いただけでどんな魔法か想像出来る。
もっとカッコイイ魔法が良かったなぁ……
「……」
『あれ?どんな魔法か聞かないんですか?』
「いや、どんな魔法か分かるし……」
『そんなこと言わずに聞いてくださいよ~
説明するの、スッゴく楽しみにしてたんですから』
「はいはい……じゃあ説明してよ」
『はい、お任せください♪……コホン。
え~スキャリングとはですね。
相手の情報をこと細かく知ることが出来る魔法です。
一見大したことのない魔法ですが、
この魔法を上手く使いこなすことが出来れば、
格上の相手にも有利に戦える
それはもうスッゴ~い魔法なのです!』
……うん、やっぱり想像通りの魔法だったよ。
僕はあんまり戦闘しないから、
あまり役には立たなそうだなぁ……
「なるほど、魔法についてはよく分かったよ。
後は身体能力の強化についてなんだけど……」
『あ、それなんですが……』
「……何か問題でも?」
『はい。実は長年契約していなかったせいか、
何か不具合が起きたようでして、
身体能力の強化がされていないんです』
「えぇ……」
これじゃあ契約の意味がないじゃん。
『まーあれですよ。
運が無かったってことで!』
「……」
スッゴい腹立つ……!!
絶対悪いと思ってないよこの子!!
僕は溜め息をつきながら、
壁に飾られているレーベンクルスを掴む。
すると何を勘違いしたのかレーベンクルスは
突然興奮気味に騒ぎ始めた。
『私を掴むということは、遂に戦闘ですね!?
フフフ……369年11ヶ月振りの戦闘、
腕が鳴りますよ!!」
「いや、君はただ振り回されるだけでしょ。
それに僕は戦わないよ」
『へ?』
「僕さ、脚が速いくらいしか取り柄がないから、
戦うのって苦手なんだよね~
だから基本、戦わないで逃げるようにしてるんだ」
誰にでも得意不得意って物があるからね。
無理して怪我なんかしたくないよ。
「だから君が活躍することは無いよ」
『そんなぁ~』
レーベンクルスの落胆した声を聞きながら、
僕は今度こそ部屋を出た。