ヒ、ヒィィィィ!!!?
短い短いみ~じ~か~い~
「さてさて、出口は何処かな?」
周りを見渡しながら、城内を歩く。
ここに来た時に、うろ覚えで道順を
記憶しておいたんだけど……
「う~ん……?」
道が分からなくなっちゃた……
やっぱりうろ覚えは不味かったかな?
この城、無駄に入り組んでるからなぁ……
「取り敢えずこのまま真っ直ぐ行くかな」
真っ直ぐ行けば出口に着くでしょ。
……多分。
「う……ぐ……」
痛む頭を押さえながら立ち上がる。
完全にしてやられたな……
まさかここまで直接的な手段で来るとは思わなかった。
「侮っていたか……」
何が戦うことが苦手だ。
やはりあの時手を抜いていたのか……
「痛ぅ……」
「ライザー、大丈夫か?」
「何とか……あんにゃろ、本気で殴りやがって」
顎を擦りながらライザーも立ち上がった。
「どうしますか?」
「すぐに追うぞ。むざむざ逃がして堪るか。
お前はこの事を隊長に伝えてくれ。
私は奴を追う」
「了解!」
リオニールめ……このまま逃がしはせんぞ!
「やば……」
完全に迷っちゃった……
やっぱり適当に歩き回ったのが行けなかったかな?
「探せっ!まだ近くにいるはずだ!」
「ゲッ!もう来た!?」
クルツさん、目覚ますのはやっ!
ど、どうしよう!
このままじゃ、僕の人生デッドエンド一直線だよ!!
何処かに身を隠さないと……
僕は辺りを見渡し、目についた部屋に飛び込む。
その直後、僕の居た場所にクルツさんと、
さっき気絶させた人とは違う兵士が来た。
僕は扉の隙間から様子を伺う。
「こっちにも居ないか……」
「もう逃げてしまったのでは?」
「……いや、あいつはまだこの城の中に居る。
断言出来る」
クルツさんがそう自信満々に断言する。
断言しなくて良いから!
僕のことなんて忘れちゃってよ!
「あいつは考えなしに行動するからな。
きっと適当に歩き回って迷っているはずだ」
はい、その通りです。
「だから……ん?」
クルツさんが何かに気が付いたのか、こっちを見てる。
……って!
(やばっ!気付かれた!?)
僕が扉から離れようと後ろに一歩下がった瞬間--
ガスッ
僕の目の前に剣が突き刺さった。
その時に掠めた前髪が、ハラリと床に落ちていった。
「--っ!!!?」
僕は声にならない悲鳴を上げてその場にへたり込む。
ヒ、ヒィィィィ!!!?
何て恐ろしいことするんだ!!
お陰で腰が抜けちゃったじゃないか!!
「ど、どうしたんですか?」
「いや……何でもない。行くぞ」
扉に突き刺した剣を引き抜き、
クルツさん達は僕には気付くことなく、
走り去っていった。
助かった……のかな?
「し、死ぬかと思ったぁぁぁぁ!!」
殺す気満々じゃん!
一瞬でも気付くのが遅れてたら
あの世行きだったよ!