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腹ペコ義賊の旅物語  作者: チル兄
第一章 義賊リオニール
5/12

必ず逃げ出してやる!

序盤はシリアスっぽいんだけどなぁ……

 僕が牢屋に入れられてから一体、

 どれだけの時間が経ったんだろう?

 ここに居ると感覚が狂っちゃって困る。

 話し相手もたまに来る色男さんしか居ないし、

 食べ物も美味しくない。

 ……早まったかな?


 そう思った時、足音が聞こえてきた。

 色男さんが来たみたいだ。



 「調子はどうだ?」


 「まぁ、ぼちぼちかな?色男さんは?」


 「特に問題はない。……それと私はクルツだ」



 色男さん……クルツさんは溜め息をつきながら、

 今日の分のご飯を牢屋に入れてくれた。



 「いやぁ~いつも悪いねぇ」


 「ここで餓死されても困るからな」



 改めて自分が生かされてることを実感できるね。

 ま、生きてられるなら文句はないんだけどさ。





 「……リオニール」



 ご飯を食べ終わってクルツさんと雑談していると、

 クルツさんが急に辛そうな表情をして僕の名前を呼んだ。



 「どうしたの?急にそんな顔して……」


 「……」


 「クルツさん?」


 「……お前の処遇が決まった。

 明日、セント・アディナ広場で

 お前を公開処刑にするそうだ」


 「……そっか」



 まぁ、当然だよね。今まで散々貴族達を

 こけにしてきたんだから。

 それに……僕は獣人だしね。

 捕まった時点で最初からこうなることは分かってた。

 ここの王様は僕ら異種族のことが嫌いだからね。



 「教えてくれてありがとね」


 「これからどうするつもりだ?」



 どうするつもり?そんなの決まってるじゃないか。



 「上手くここから逃げ出してみせるさ。絶対に……ね」



 こんなところで死んでたまるか!

 絶対に逃げ出してやる!





 「……本気か?」


 リオニールの言葉を聞いて自然と私の口が開く。

 この城にどれだけの兵士が配備されているのか

 こいつは分かっているのか?

 出来るはずがない。

 だというのにこいつは……



 「勿論本気さ。僕は戦うことは苦手だけど、

 逃げることだけは誰にも負けない自信があるんだ」


 「だからこの城から脱出出来ると?不可能だ」


 「不可能じゃない。やろうって意思があれば、

 どんなことだって出来るんだ。

 それを……僕が証明してあげるよ」



 リオニールは私の不可能という言葉を否定し、

 挑戦的な笑みを浮かべて脱出することを宣言した。

 その自信は何処から来るのだろうか?

 というかその前に--



 「お前、私が一応敵であることを忘れてないか?」


 「……あ」



 やっぱり忘れてたのか……



 「話してみたら良い人だったから

 勘違いしちゃってたよ。いやぁ~失敗失敗!」



 リオニールは暫しの間カラカラと笑い--



 「今の言葉、聞かなかったことにしてください!!」



 土下座してきた。

 さっきまでの自信はどうした?リオニールよ……





 やっちゃったぁぁぁぁ!!

 つい調子に乗って脱出を宣言しちゃったよ!

 しかも一番しちゃいけない人に!

 この人相手に逃げられるわけないじゃん!

 僕の馬鹿っ!これで逃げる計画がパーじゃないか!



 「……無理だな」


 「ですよねー」



 これで逃げ出すことが難しくなっちゃった……

 トホホ……



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