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腹ペコ義賊の旅物語  作者: チル兄
第一章 義賊リオニール
4/12

時には諦めも肝心

今回は一応戦闘描写がありますが……

 「ハッ!ハッ!ハッ!」



 僕は屋敷から盗み出した壺を脇に抱えて

 街の中を走っていた。



 「逃がすなっ!回り込め!」


 「っとにしつこいな!」



 後ろから兵士が追ってくる。

 僕は走る速度を上げて、一気に距離を離した。



 (クソッ!まさか僕がこんな無様な目に遭うなんて!!)


 今回は完璧だった。

 誰にも見付かることなく壺を手に入れることが出来たし、

 ミスは一つも無かった。

 ……そう思ってたのがそもそもの間違いだった。

 最初から全部仕組まれていた。

 注意していれば気づけたはずなんだ。

 それなのに僕はっ!



 「見付けたぞ盗賊め!このカーメル・ナディルが

 貴様を捕らえて--」


 「邪魔!」


 「オブッ!?」


 「「「た、隊長ぉぉぉぉ!?」」」



 目の前に立ち塞がったおじさんを

 膝蹴りで気絶させて、周りの兵士が動揺してる間に

 一気に駆け抜ける。

 なんか言ってた気がするけど……

 ま、気のせいでしょ。





 「ここを抜ければ……」



 僕は走り続けて広場に辿り着いていた。

 この広場を抜ければ、街から出られるはず……

 もう少しで逃げ切れる。

 そう思った時だった。



 「そこまでだ」


 「……!!」



 格好いい顔をしたお兄さんが、僕の前に立ち塞がった。

 うわぁ……すごい強そう……



 「え~っとなにか用かな?色男さん?」


 「言わずとも分かっているだろう? 

 大人しく壺を渡し、渡しに捕まってもらおう」



 色男さんが剣を抜きこっちに向けてきた。

 やっぱり見逃してはくれなさそうだ。

 僕、荒事って苦手なんだけどなぁ……

 僕は溜め息をつきながら、脇に抱えている

 壺を地面に下ろし、背中に背負っている

 刃が錆びてしまっている大鎌を構えた。



 「抵抗するつもりか?」


 「まぁ、こっちにも意地があるからさ。

 悪いけど……倒させてもらうよ!!」



 そう言った瞬間、僕は色男さんに向かって駆け出した。

 それに反応して色男さんが剣を振るってくる。

 僕はそれを跳んで避け、そのまま大鎌を振り下ろした。

 色男さんは難なく大鎌を防いだ。



 「ありゃ?防がれちった」


 「この程度、誰でも防げる。……手を抜くのは止めろ」



 いや、ぜんぜん手なんて抜いてないんだけど……

 やっぱり僕じゃ相手にならないか。

 僕は後ろに跳んで距離を取る。

 そして色男さんに向けて笑みを浮かべて--



 「こーさん♪」



 そう言って大鎌を投げ捨てて、両手を上げた。





 「……なに?」



 色男さんが困惑した表情を浮かべる。



 「だから降参だってば。どうやっても

 勝ち目がないんだもん」



 そう言って地面に座る。



 「さぁ!煮るなり焼くなり好きにしろぃ!」


 「……」


 「ん?どうしたの?早く捕まえなよ」


 「あ、あぁ……」


 色男さんが微妙な顔をしながら歩み寄ってきた。

 どうしたんだろ?




 私には彼女の考えが理解できない。

 何故こうも簡単に抵抗を止める?

 捕まってしまえば、待っているのは死だというのに……

 彼女は生きたくないのか?

 駄目だ、やはり理解できない。

 彼女は、一体……




 貴族や豪商から数々の財宝や金品を盗んだ

 今話題の盗賊(本人は義賊だと言い張っていたが)

 リオニールが捕らえられたことは、シャルニア王国

 全土に広がり、彼女が獣人であることも

 知られることとなった。



リオニールはあまり強くありません。

全力を出したらもう少しましになりますが……

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