絵画って重い
駄文で短い……
全く、救いようがないぜ!
月が空に上る頃、ある貴族の屋敷の門の前に
眠たそうな表情をした若い兵士が立っていた。
「ふわぁ~眠……見張りの代わりなんて
安請け合いするんじゃなかったよ」
兵士は欠伸をしながらも、見張りを続けるが
次第に睡魔に耐えられなくなり、
立ったまま眠ってしまった。
そんな彼の前に一人の少女が現れた。
灰色の外套を身に纏った彼女の頭には獣の耳がある。
彼女は数年前に虐殺された獣人族の少女であった。
少女は兵士の横を通りすぎ、
「お勤めご苦労様」
そう声をかけて、堂々と正門から屋敷に入っていった。
(いやー今日はついてるね♪)
まさか門番が居眠りしてるとは思わなかったよ。
おかげで余計な手間をかけないで屋敷には入れたし、
他の見張りにも一度も出会ってない。
こんなに上手くいってるのは初めてだ。
きっと日頃の行いがいいから神様が
手を貸してくれてるんだね♪
「え~っとこの部屋……かな?」
神様に感謝しながら歩いていた僕は、
ある部屋の前で立ち止まる。
確かこの部屋にこの屋敷の主が
大切にしてる絵画があるはず。
僕は扉に手をかけ、静かに扉を開ける。
そして部屋に入ったところで人の気配を感じて
物陰に身を隠す。
少し経ってから物陰から様子を窺うと、
若い男の人が椅子に座ったまま眠っていた。
確かこの屋敷の主で貴族だったはずだ。
名前は……何だっけ?アランソン……いや、アレンサン?
まぁ、覚えてないってことは、そんなに
大した人じゃないってことだよね。
(さて、さっさと絵画を持っていくかな)
取り敢えず、この人のことを考えることは止めて、
目的の絵画を回収することにした。
足音を消して貴族さんのすぐ近くを通って
絵画の前に立つ。
そして絵画に手をかけて壁から外すが--
(お、重……)
想像以上に重くてよろけてしまう。
なんとか体勢を建て直すことは出来たけど、
今度は手を滑らせて足の上に絵画を落としてしまった。
「~っ!?」
あまりの痛さに悲鳴を上げてしまいそうになったけど、
必死にそれを堪える。
い、痛い!指が潰れちゃう!
なんで絵画がこんなに重いのさ!?
不思議に思った僕は、どうにかして
足から絵画を退かして調べてみた。
……どうやら額縁が金で出来てるみたいだ。
なんでお金持ちって金を使いたがるんだろうね?
そんなに良いかな?
ギラギラしてて、僕はあんまり好きじゃないなぁ。
お金持ちのセンスに首を捻りながらも、
もう一度絵画を持ち上げて、
ふらつく足取りで部屋から出ていった。
次の日、屋敷の主が血の涙を流して
号泣していたのは完全に余談である。
また、屋敷に忍び込んだ少女が、早々に絵画を
売って手に入れた大金をカジノによって
一瞬で無くしてしまったことも完全に余談である。