葵の秘密~葵目線~
今日は日直だった。
日誌を書いたり黒板を消したり
仕事をしている間
友達の三宅 沙羅は
ほかの子のところへいっていた。
わたしは、家からできるだけ遠くて
親が文句言わないぐらいの偏差値の
学校ということでさく高を選んだため
私を知っている友達はいなかった。
そんな中2年連続で同じクラスになった
沙羅とは1年のときに気があって
いつも一緒にいるようになった。
部活も一緒でほとんど二人で
すごしていることばかりだったが
最近は少し派手めの子達が
集まるグループにちょくちょく
顔を出すようになっていた。
だから、私なんかほったらかしで
最近は話す回数も減った気がする。
帰りは沙羅が派手めのグループの子達と
遊んでから帰るというので
同じく日直の東雲くんには部活に行ってもらい
一人で日誌を書いていた。
すると、気づいたら視界がぼやけていて
涙がほほを伝ったのがわかった。
最近沙羅が私を捨てて
離れていってしまうのではないかと
思うようになった。
そしてその寂しさと胸の痛みを
和らげるためにポーチに手を伸ばした。
(カッター・・・)
取り出したカッターをそっと左腕に添えて
力強く刃を引いた。
浮き上がる血を見て
(私はちゃんと生きているんだ)
と思った。
そのまま流れていく血を
ぼーっとみていた。
すると
ガラ
「おい、篠原。その腕早く隠せ
人くんぞ」
という声が聞こえ我に返った。
そこには東雲君がいた。
「え、ちょっ、なんでっ・・・」
あせる私に
「とにかく早くしろって
ほかの人に見られていいのかよ!」
そういわれて血をふき取り
包帯を巻きなおして長袖を下ろしたとき
ガラ
東雲君が開けたほうとは逆側の
扉があいて同じクラスの泉君が入ってきた
「あれー?まだ篠原いたのー?
大変だねー
ま、俺は部活行くからじゃあな」
そういって出て行った泉君が見えなくなってから
東雲君に視線を戻した
「あの・・・きってたこと
黙っててほしい・・・」
そうつぶやくと東雲君がゆっくりと
近づいてきて下を向いている私の顔を
あげるように首に手をいれて
そのままわたしの首を絞めた。
「し・・・・のめ・・・く・・」
びっくりした目で東雲君をみると
いつもの優しげな姿はなく
目は血走り正気を失っているようだった。
(でも、これで死んでしまうのも
悪くないんじゃないかな・・・
最後に見たのがこんなにかっこいい人なんて
贅沢だもんね)
抵抗はせずに目を瞑った。
そのとき急に手の力が緩められ
肩を揺らされた。




