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プロローグ

ついさっき、双方の実家からOKが出た。これで二人は晴れて夫婦になれるわけだ。


「改めてよろしくな」


「こちらこそ」


「一生俺の傍で笑っててくれな」


「…はい」




これは様々な困難を乗り越えて結ばれた二人のその後の生活を描いたものである。







内村新一、35歳。そしてつい10分程前に「今日にでも結婚していい」と許可をもらった未来の妻、香西薫、25歳。


説明が長くなりそうだから省略するが、色々な過程を経て二人は結婚することになった。



付き合い始めて早半年。

たった半年で?と言われそうだが、二人は知り合って6年が過ぎようとしている。昔付き合っていた時期もあり、結婚という結論にいたるのに時間はかからなかった。



一見一緒にいる時間が短そうだが、その内容は非常に濃いもの。若い時にはお互い不安のあまり不器用な感情をぶつけ合うこともあったが、それもほんの数回。復縁してからはそんな事も喧嘩すらもしたことがないほどだ。





内村は窓に肘をついて車を走らせた。


「いつ籍入れようかなー」


「いつでも良いけど」


風で乱れた髪を結いながら香西が言った。


「なんかこのやりとり続けて事実婚止まりになったりして」


苦笑いしながら内村が言った冗談につい香西も苦笑してしまう。


「じゃあそんな時は谷原さんと結婚しようかな」


内村は香西のこの言葉に笑わなかった。




谷原とは半年前くらいまでの内村の恋敵。若さも、容姿も、社会的地位も谷原には適わず、香西が奪い去られると焦ったほどだ。


今だから言えることだが、正直あの頃内村は、谷原を殺してやりたいくらい憎いと思ったことがある。




赤信号で停車したあと、内村は不機嫌そうな笑顔を作った。


「なに、そんなに俺が嫌か?」


前を向いたままの香西が、その機嫌の悪い声にはっとした。


「やっ、違う!冗談よじょーだん!もぅ、いちいち本気にしないで!」


香西は軽く内村の肩を叩いた。すると内村はさっきの笑顔とは違う、とても腹黒い笑みを浮かべた。


「ドライブは中止して家に帰ろうか」


「なん…で?」


香西の頭にはまさか、という考えが駆け巡る。内村はえー?と言いながらアクセルを踏んだ。


「浮気を考えるような悪い娘にはお仕置きしてあげなきゃね」


「…っ、ばか!変態!」





…これは様々な困難を乗り越えて結ばれた二人の、聞いて呆れるようなその後の生活を描いたものである。


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