第7話 目 手を振る少女
これは私が小学生の時体験したお話である。
私は小学生の頃でっかい病院の通りでよく遊んでいた
そこはベンチがたくさんあり花が沢山
桜の木も植えられていてとても綺麗な所だった。
通りになっていてたくさんの人が行き来する
みんなお花見をしたり、日向ぼっこをしにきたり
犬の散歩をする人も沢山いた。
リハビリ施設に向かう外の通路
出口のとこにちょうどベンチがあり
友達と座って花を眺めながら遊ぶのが大好きだった。
その日はいい天気だったにも関わらず
いつもより人が少なく
居眠りしてるお爺さんも犬の散歩してる人も居なかった。
いつも通り遊び
あっという間に夕方周りが薄暗くなってくる頃
「そろそろ17時だし帰ろっか!」
家に帰る準備を始めた忘れ物がないか確認して歩き出そうとした時である。
リハビリ病棟の一番端
若い女の子がこちらに向かって手を振っていた。
私は何の気無しに手を振りかえした
友達が怪訝な顔をしながら
「何やってるの...?」と聞いてきたので
「ほら、あそこの病室のおねぇさんが手を振ってくれてるから振りかえしたの」と言うと
リハビリ病棟に目を向け不思議そうに
「誰もいないけど..?怖い事言わないでよ」と言った。
「えっ?」
私は再度先ほどの病室に目を向ける
やはり女の子が手を振っている
「いるよ?」
友達は嫌な顔しながら私の手を引っ張り
「もう、帰ろ!」
と強引に歩き出した。
私はなんで気付かないんだろ?
と不思議に思いながら手を引かれ帰路についた。
「おかえり、手を洗ってきな」
夜ご飯を作る母に
先ほどの不思議な体験を話した。
「友達には見えてなかったみたいなんだよね気づかなかったのかなぁ..」
夕食を準備していた母の手が止まる
「若い子...?どの病室だった?」
「えっとリハビリ病棟の一番上の階の一番端だったかな?」と私が答えると
母は顔を真っ青にしながら
「あの子に手を振りかえしちゃダメよ」と言った
??なんでって様子の私に母は昔の話をしてくれた
その病院は今でこそリニューアルされ綺麗だが昔は
緑が鬱蒼とした隔離病棟だったそうだ。
中には木もいっぱいだし池もあり入るなと大人達から言われてはいたが
もっぱら子供達の秘密基地のようになっていた。
そんなある日
いつものようにみんなで遊んでると病室から手を振る女の子が目に入った。
母はその女の子に手を振り返したそうだ
「何してるの?」と聞かれたので
「あの端っこの部屋から手を振ってる女の子がいるから振りかえしてるの」と言って指を刺した
「誰もいないよ?」
母の目には見えているその子はそこに居た他の子達には見えていなかったのだ。
「それきっとおんなじ子だと思う」
母は最後にそう言った。
ゾワッとした...
その後も何回か見かけたが私が手を振り返すことはなかった
何年も何十年も彼女はいまだに手を振り続けてるのかもしれない。