第5話 目 人形2
これはあのリカちゃん人形の件があり
大好きだった人形が苦手になってしまってからの出来事である。
人形が好きだとまだ思っていた父が
ある日人形を買って帰ってきた。
海外製の人形、青い目に金髪のツインテール
横にすると瞬きをし
背中の電池を入れると
ハイハイする機能たっぷりの人形だった。
電池を入れてハイハイした時の
背中を駆け上がるような寒気は今でも忘れられない
当然人形が怖くなってしまった私は大泣き
「最近人形だめみたいなのよ..」
と母が言うが
「ほら、ハイハイもするし可愛いぞ?怖くないよ」と父は私に人形を手渡した
リカちゃん人形などとは
比べ物にならないくらいリアル
本物の赤ちゃんサイズの人形でしかも動く
嫌々受け取ったものの
親が気づかないとこで背中の電池を抜き
足を外した...
簡単にはめ込めるような作りになっており
幼稚園児の私でもすぐ外す事ができた。
これで動かない
謎の安心感を感じながら他の人形と同様におもちゃ箱の奥にしまい込んだ。
その日の夜は何ごともなく過ぎていった
はずだった..
次の日の朝
父が人形を片手に母と話をしている
足を取っちゃった事を話してるのかな..
怒られるだろうかとソワソワしてると
聞こえてきた会話はどうやらその事ではないようだ。
「この人形廊下にハイハイしてた状態で置いてあったんだよ..夜中に遊んだのか?」
「いや、最近人形が嫌いだからましては夜中に遊ぶなんて考えられないわ..それにほら、あの子電池抜いてる」
人形が廊下に?
そんなわけ絶対にない
夜中に触らないし....
電池を抜いて足まで外したはず
なのに人形はハイハイした状態で移動していたことになる。
起きた私に気づいた母が
「この人形ここに置いた??」と尋ねてきた。
真っ青な顔になりながら首を横に振った。
「そうよね...」
母は不思議そうにおもちゃ箱に人形を仕舞った
その後絶対動かないように手も外したのは言うまでもない...