第40話 目 リンゴの唄
これは母が若い時に体験したお話である。
その日は当時付き合っていた彼氏と
友達のカップルでダブルデートをしていた。
(友人カップルをS子、K太 彼氏をE介とする)
場所は某商店街モール
週末って事もあって人が多く
モールの中は賑わっていた。
ファミレスで夜ご飯を食べ終え
そろそろ帰ろうと
駅に向かって歩いていた時だった。
雑踏の中遠くから歌のような何かが聞こえてくる
最初はお店のBGMかな?くらいに思っていたが
騒がしい中にしてはクリアだった。
4人で話しながら歩いている時も
その音が気になって全然話が頭に入ってこなかった。
モールの出口が見えてくる。
S子「でさ、昨日の番組なんだけど…ア...リン..ビ..
あのアイドル好きなんだよねー」
友達の会話の間に歌が聞こえてくる。
さっきから気になっていた音が
心無しかこっちに近付いてきているように感じた。
思わず足が止まる。
E介「どうした?」心配して顔を覗き込む
「ううん、気のせい大丈夫!」
きっと聞き間違えだろうと思い再び歩き始めた。
遠くからゆっくり近付いてくる
「ア...イ...ンゴ...ビル..ダマ」
やっぱり聞こえる.....
どんどん近付いてきて音が大きくなっていく。
「アカイ...リンゴ...クチビル...ダマッテ...」
足が急激に重たく感じる
これは
リンゴの唄だ...
それに気づいた瞬間
音量が急に上がった
自分達の真後ろ誰かが歌っている。
「赤イリンゴニ唇寄セテ黙ッテ見テイル青イ空アァァァ..」
思わず耳を塞いだ。
E介「お、おい大丈夫?」
「ねぇ、聞こえない??歌声...リンゴの唄....」
K太「歌声?S子聞こえる??」
S子「いやぁ...歌声は聞こえないけど...」
3人には聞こえないようだ
真後ろで大きな声で歌われている
普通だったら気付かないわけがない...
後ろをチラっと視線だけで確認すると
おかっぱ頭にモンペ姿の女の子が
宙に浮かびながら
私たちに向かって大声で歌っていた。
「いる....女の子が歌ってる......」
E介「ちょっと冗談やめてよ怖いじゃん...早く帰ろうぜ...」
女の子を振り切るように
私たちは足早に帰路に着いた。
先程の事もあったため息
家までE介が送ってくれた。
次の日E介が朝家にやって来た。
E介「昨日の事あっただろ?
変な事言うからさ…来たんだよ!家に...」
昨日別れた後E介は真っ直ぐ家に向かった
お風呂に入り寝る準備をして布団に入る。
目を瞑ると急に身体が動かなくなり
金縛りになった
普段金縛りに合うことは無かったので
その時点で言い様のない恐怖が襲ってくる。
小さな音で子供の歌声が聞こえてきた。
「赤イ...ニ口..寄セテ....」
先程の会話が頭をよぎる
薄目で部屋の中を見渡し確認する...
入口のとこにおかっぱ頭の女の子立っていた。
ベッドの方に近寄って来て
ベッドの周りをグルグル顔を覗き込みながら周り始めた。
「赤イリンゴニ唇ビル寄セテ
黙ッテ見テイル青イ空アァァァ...
リンゴハナンニモ知ラナイケレド..
リンゴノ気持チハヨク分カル...
リンゴ可愛ャ可愛ャリンゴォォォォオオオ」
耳元で大音量で聞こえた瞬間気絶したそうだ。
E介「あれは..やばいよ....」
どうやら波長が合ってしまったようだ。
母から初めてこの話を聞いた時
鳥肌が止まらなかった。
母「あ、波長が合うと来るわよ」
波長が合うあなたの家にも
少女はやって来るかもしれない...。




