第39話 目 昔の記憶
これはM美のお兄さんの体験したお話である。
夏休み8月
いつものようにスポーツセンターの休憩場所でM美とジュースを飲みながらたわいもない話をして楽しく過ごしていた。
M美「そういえばさーうちのお兄ちゃんって霊感あるじゃない..?」
そういう切り口で始まった話は
怖い話が好きな私にはとても興味が湧くものだった。
M美のお兄さんは霊感が強く
怖い話をたくさん知っており
怖い話を聞かせてとしょっちゅうおねだりをしていた
その度に話してくれた数々の話は
M美のお兄さん自身が体験したものばかりであった。
「うん、えっ?なになに?怖い話??」
興味津々でその話に食いついた。
M美「あ、うん...そうなんだけどさーいつもとちょっと違う様子なんだよね」
M美は心配そうな顔をする
「いつもと違う様子??」
M美「うん....どうや寝れてないみたい
普段なら怖い体験しても怖がらせようとすぐ楽しそうに話してくるのにさ
今回は相当参っちゃってるみたいで
1週間寝不足、目の下クマだらけって感じ」
いつも怖いもの知らずって感じの雰囲気で
楽しそうに怖い話をしてくる姿からは
想像がつかなかった。
「今からさM美の家行ってもいい..??」
M美「うん、ちょうどお兄ちゃんも休みで家にいると思うしおいでよ」
一体何があったんだろうと
ワクワクする様な気持ちの反面
大抵の事は大丈夫なM美のお兄さんが参る程ってどんなだろ...と
怖い気持ち半分って感じだった。
スポーツセンターん出て近くの
コンビニにいつものように寄って
買い出ししてからM美の家に向かう。
外階段の方を周り2階の玄関から入った。
M美「ただいまー」
「おじゃましまーす」
キッチンの所でM美のお兄さんが飲み物を入れながら
「あ、いらっしゃいゆっくりしてて」
顔色は悪くクマが酷かった。
部屋に入りいつものようにお菓子とジュースを取り出す。
M美「ねっ?クマ酷かったっしょ?」
確かにお兄さんの目の下には立派なクマが出来ていたし心做しかゲッソリしたような様子だった。
自分の部屋に戻ろうと横切るお兄さんに
M美「ねぇ!もしかして昨日も眠れなかったの??
もう1週間近くそん感じじゃない???」
M美がそう尋ねると空いてるとこに腰をおろして話を始めた。
兄「最近さぁ...眠れないんだよ
夜中に騒ぐからさ…」
夜中に騒ぐ??近所の人だろうか…
M美「は?夜中に騒いでる人なんて居なくない??」
どうやらM美の反応的に近所の人がただうるさいって訳では無さそうだった。
兄「M美には聞こえてないんだよ…」
そういうとため息をつきながらここ最近の出来事を教えてくれた。
兄「ここ最近全く同じ夢を見るんだよ
目を覚ましても金縛りに合うし..
夢の中と同じ映像が見え続けるんだよ..
しかも1週間連続...」
「夢って...?」
ここ1週間全く同じ夢その夢の内容は
あまりにもリアルなものだという
部屋で眠っていると遠くで人が逃げ惑うような声がする。周りを怪我をした人達が逃げ場を求めて走り回り子供の泣き声水を求める声助けを求める声が入り交じる
空はやけに赤黒く
轟音をたてながら何機もの飛行機が飛び交っている
やがて焦げるような匂いと火の熱気が周りを包み
いい表せない程の恐怖が襲ってくるというものだった。
兄「匂いも空気もすごくリアルなものなんだよ...」
目を覚ましても金縛りで1歩も動けず
夢で見た光景が頭に流れてくる
火に追われた人々が逃げ惑う叫び声が耳元で聞こえ
熱さの熱気が伝わってくる
周りの家や人が燃える匂いまでしてきそうなリアルなものらしい
兄「空襲だと思う...学校とかの授業で見るだろ戦争の
まさにあんな感じのリアルなものが毎晩毎晩夢で見るんだよ …」
それで眠るとその夢をみるし
夢を見ないようにコーヒーとかで無理やり起きてても眠気でつらいっていう状況に陥ってるらしい
お兄さんが語るその光景はまさに生々しく
目の前で見たかのようなリアルなものだった
「でも、このままじゃ寝不足で体調が...」
私が心配そうにそういうと
兄「大丈夫..あと1日だと思うんだよね」と言って部屋に戻って行った。
あと1日その時はなんであと1日だったか全くわからなかった
M美「普段怖い話ばっかりするから…」
その日はお兄さんが部屋から出てくることはなかった。
よっぽど体調悪いのかなと思いながら
外も暗くなってきたので家に帰る準備をする
「今日はありがとね!また明日」
階段の下まで 送ってくれたM美に手を振りながらその場を後にした。
家に帰り何となくさっき聞いた話を思い出していた
「大丈夫かな..M美のお兄さん...」
ふと壁にかかったカレンダーが目に入る
あと1日ってなんだったんだろ...
カレンダーをよく見ると明日の日付に
8月15日 終戦記念日と書かれていた。
「あっ...」
空襲を受けた人達が苦痛を訴えるためにM美のお兄さんの所に現れていたのだろうか…
あと1日の意味をそこで分かったような気がした。




