第24話 目 旅館
この話を読む前に
「第23話 目 笑う後輩」を読む事をおすすめします。
一つ前の後輩の出来事があった旅館での話である。
一日目の夜中の後輩の言動が恐ろし過ぎて眠れなかったせいもあり
2日目の私は寝不足になっていた。
この旅館は
藤の間 桜の間 などと名前がついており
広く綺麗ではあったのだが
トイレだけは妙に古く
和式トイレ中も綺麗とは言えない物だった。
旅館のトイレが汚いし不気味なのであまり使いたくなく自由行動で外出た時に済ますようにしていた。
半分寝ぼけたような状態で2日目の自由行動が終わり
再び旅館に戻ってきた。
時刻は16時
まだそんな遅い時間ではないのだが
周りが木々で鬱蒼としているため
辺りはもう真っ暗だった。
夜ご飯まで荷物を置くついでに部屋で待機
すると同部屋の女の子が(以後R子とする)
「ちょっとトイレ行ってくるわ...」
憂鬱な表情を浮かべながら下の階にあるトイレへと向かっていった。
トイレは中二階みたいになってる踊り場にポッツンと設置されていた。
しばらくするとすごい勢いでR子が戻ってきた
顔は真っ青で息を切らした尋常ではない様子に
「どうしたの?」とみんなが聞くと
呼吸を整え
「はぁはぁ....出た!ゆ、幽霊!」
昨日の夜中の事もあって簡単にそんなわけないだろとは言えなかった
R子がいうには
用を足そうとトイレに入ると
古い和式トイレだったが仕方なく使う事にした。
小さい小窓がついており
外の鬱蒼とした森が見える
用を足して水を流そうと立ち上がった時
ちょうど小窓が顔の位置にくる
何気なく視線を外に向けると
見知らぬ女と目が合った
それでさっきの部屋に慌てて戻ってきたという事だった。
「誰か居たんじゃなくて?」
他の子の言葉を遮るように
「だってこの後ろ木が鬱蒼としてる上に斜面になってて人が立てるような場所じゃなったじゃん!」
トイレの裏側は切り立った斜面になっていて確かに人が立てるような場所じゃなかった。
「たしかに.....」
絶対に幽霊とはいいきれないが違うとかもいいきれなかった
その後の夜ご飯は先程の事があったからか
みんな無口だった。
夜の就寝前昨日の夜とトイレの事が不安だったが
寝不足もあってかいつの間にか眠りに落ちていた
夜中に目が覚める
押し入れの方に目がいく
あれ?押し入れ空いてたっけ…?
押し入れが少しだけ隙間が空いていた。
誰かが開けたんだろか..
うつらうつらしながら何となく押し入れを見ていると
(ガタッ!!ガタガタガタガタガタガタ...バンッ!)
激しく戸が揺れ勢いよく空いた。
さっきまでの眠気が一気に吹き飛ぶ
真っ暗な押し入れまるで闇が広がってるようで
何がいる訳でもないが恐ろしかった。
早く朝になれ!
そう思いながら布団に潜る
ガタガタ震えながらくるまってるうちに外が明るくなってきた
夢...いや夢じゃないか....
布団越しに押し入れに視線を向けると夜中と同じ戸が開いていた。
みんなが起きてきたあとも夜中のことを話す気になれなかった…
R子が押し入れの中に布団を戻そうとして声を上げた
「わっ!何これ...」
押し入れには近寄りたくは無かったが気になって近づく
「何かあった.....?」
「ほらっ!」
R子が指を指したその先押し入れの天井
古びた御札が貼られていた。
おかしくなった後輩
トイレの女
勝手に空く押し入れ...
御札が関係してるのかは分からないが
この旅館には色々なものが居たのかもしれない...