第2話 目 染み
肝試しとキャンプファイヤーの後
ホテルに戻った私達には
さらに不気味な体験が待っていた。
荷物を置いた時は時間もなかったし
すぐ部屋を出た為部屋の中をゆっくり見ることは出来ていなかった
改めて部屋に入ると2段ベッドが2つ結構狭めの部屋
私は右側の2段ベッドの下に荷物を置いていた。
「ちょっと...何これ...」
2段ベッドの上の方からB美の声が聞こえてきた
下から覗くように目をやると
2つの2段ベッドの間の展示にシミが幾つかある
よく見ると指が5本まるで天井を子供が這ったような跡気持ちの悪いシミだった。
下の段でよかった...
そんなことを思っていると廊下の方が何やら騒がしい
何事かと思って廊下を覗くと前の男子の部屋に人が何人も集まっていた。
「何やってるの?」と声を掛けると
「これ見ろよ!手形があるんだよ!」
と天井を指さしている
壁から天井に向かって茶色いシミで大人くらいの大きさだろうかいくつかの手跡が続いてる
怖いのが苦手なA子が
「うわ..私達の部屋も子供の手跡がついてたんだよね気持ち悪いし怖いんだけど..」
両手で方を抱きながら嫌そうな顔をしてみせた
男子の部屋のシミは見れば見るほど間違いなく手形に見える
「私達の方の部屋にもシミがあるんだよね見て」
男子を連れて自分たちの部屋に戻る。
「うわ、マジじゃん…」引きつった顔の男子に
「怖いからこの話もうやめて!お終い!」
A子が不機嫌そうに怒鳴りつけた。
さっきの肝試しの事もあって私はその染みが気持ち悪いとは思いながらも気になって仕方がなかった。
消灯時間になって電気を消すしばらくすると見回りの先生がやって来た音がする
静かにドアが閉まる音..
先生は次の部屋に行ったのかなとか思いつつ目をつぶってはいたが
先程の気持ち悪い体験が脳裏に浮かんでなかなか寝つけないでいた。
シーンと静まり返った部屋の中足音が聞こえてきた。
廊下?いや、部屋の中?誰か起きたのかな…
でも2段ベッドから誰も降りてきてないし
下の段には寝てるA子も向かいに見えてる
それにドアの開く音もしていない
じゃぁ誰...?
小さな足音がペタペタペタペタ
2段ベッドの間を行ったり来たりしている
目を開けるのが怖い
さっきの事もあるし、染みの件もある..
気の所為だっていい聞かせば聞かせるほど足音が鮮明に聞こえてくる
冷や汗は出てくるし恐怖で体は硬直していた。
ペタペタ...ピタっ足音止まる
急に無音になる室内
静まり返った空気が恐怖を誘う
いなくなった?そこに居たらどうしよう
早くなった鼓動が外に聞こえてないだろうか
勇気を出して少しだけを目を開けた…
闇の中うっすら向かい側の2段ベッドが見える
ドアがあって横にみんなの荷物
私はぐっと息を飲んだ
2段ベッドの間小さな足が見える
小さな子供が暗闇の中立ち尽くしている
裸足の爪先がこっちを向いている気がする
こっちを見てる…?気付かれてるかも
途端にどんどん早くなる鼓動
怖い、目を逸らしたい
そう思っているのにまるで固定されてるかのように
目を離せないでいた
「....っ」
誰か起きてる??薄目で見渡すと
向かい側の2段ベッドのA子もどうやらそれを見ているようだ
震える私達2人のベッドの間を足音が行ったり来たり
しばらくすると音は聞こえなくなり居なくなったようだった…
私は恐怖から動けずにいたが気付いたら寝ており朝になっていた
A子が真っ青な顔して2段ベッドに腰座っている
「ねぇ..昨日の見た...?」
私がそう尋ねると震えながら
「見た..防空頭巾被った小さな女の子が部屋の中走り回っててすごく怖かった..」
その後A子はしばらく顔色真っ青にし何も喋らなかった
防空頭巾被った小さな女の子昔ここで亡くなった子なのだろうか。
私は修学旅行で2度目の不思議で怖い体験をしたのである。