第14話 目 留守電メッセージ
それは中学生の頃の話。
私の家は留守番電話によくメッセージを入れる家だった。
「今から帰るよ」
「おばあちゃんの家に先に行ってるわよ」
「今日は帰るの遅くなるよ」
などなど
家に帰ってきて
玄関の固定電話のメッセージボタンを押すのが日課だった。
今日も帰ってきて早々いつものように
メッセージ再生のボタンを押す。
メッセージは3件
「○月✕日○時〇分
もしもーし今から帰るから悪いんだけどご飯炊いといてもらってもいい?2合でお願い」
これは昨日のメッセージ
2件目
「○月✕日〇時〇分
もしもーし帰ってきたら洗濯物入れといてくれる?雨降りそうなのよ今から帰るからお願いね」
雨か...
窓から外を見ると確かに雲行きが怪しい
雨が降り出しそうだ。
メッセージは3件
「ん?もう1件あるけど誰だろ?」
「○月✕日〇時〇分
.............」
ん?
無言が続く
「.......も..もし...」
電波?
「もし...もし..
もしもし、もしもし、もしもし、もしもしキュルキュル...もしもしもしもしもしもし」
無機質な聞いた事のない声
「うわぁ!」びっくりした勢いで伝言メッセージの消去ボタンを押した。
何今の..
私はしばらく放心状態になりながら固定電話を見つめていた。
プルルル..プルルル
「っ!」
恐る恐る受話器を取った。
「は、はい....」
「もしもし?ちょっと洗濯物入れてくれた?雨降ってきちゃってさバスがなかなか来ないのよ」
聞きなれた母の声に私は安堵した。
「あ、あのさ留守番メッセージ今日2件入れた?」
「あんた何言ってるのよ1件しか入れてないよとりあえず、早く洗濯物見てよね!」
ツー..ツー..
母のイタズラを疑ったがそうでは無さそうだった。
無機質な機械的な声
まるで壊れたテープのようなもしもしが
しばらく耳から離れず
留守番メッセージを再生する習慣はその日から辞めた。
後々帰ってきた母に
びしょ濡れになった洗濯物を怒られたのは言うまでもない。