第1話 目 肝試し
基本的に実際にあった体験をエピソードにしてます。
これからご覧頂く物語は
あなたの心身に深刻な霊障を与える場合があります。
怪奇現象や体調不良が起きても
こちらでは一切の責任を負いかねます。
ご了承くださいませ。
あれは私がまだ小学生だった時の話 である。
私は修学旅行があまり好きじゃなかった
グループ作るほどクラスメイトと
仲が良かった訳じゃなかったし
恒例行事の山登りも修学旅行を
嫌うのには十分な理由だった。
2泊3日短い期間とはいえ憂鬱は変わらない
前日も明日の修学旅行無くなればいいのに...とか思いつつも
当然中止になる訳もなく無情にも朝はやってくる。
憂鬱な気持ちのままバスに揺られて
今回の目的地那須塩原にやって来た
自然の美味しい空気なんだろうが
私的にはため息しか出ない
なんたって
この後仲良くもないグループと同じ部屋で過ごし
しかも、山登りまである嫌なイベントの詰め合わせ。
おっきいため息と共にバスから降りると先生の点呼を受けてホテルに入っていった。
エントランスはとても広く綺麗な印象
部屋の番号を言われグループごとに別れ1度荷物を置きに行く事になった。
グループは私を含めて4人
ここでは仮名でA子、B美、C子と呼ぶことにする。
普段からほとんど話すこともないし仲も良くはない。
だいたいこの3人は性格がキツく馬が合わない
でも2日は同じ部屋、グループ行動も一緒仕方ないって思うことにした。
一日目は荷物置いた後夕食にカレーを作り夜はキャンプファイヤーをやる予定だった。
憂鬱で味のしないカレーを食べた後
先生達が準備を初めキャンプファイヤーかな?って思ったら
その前にグループごとに肝試しをすると言い出した。
グループごと..肝試し...憂鬱がどんどん膨らんでいく。
それは道なりに進んでいき1番奥で御札を1枚手に入れれば良いというもの
1番最初のグループが進んでいく
闇の中に後ろ姿が溶け込んで消えていった
しばらくすると絶叫が遠くに聞こえてくる。
そんなに怖いのかな…でも脅かし役は先生達
大したことないと思っていた。
自分たちの番になり懐中電灯を片手に進んでいく。パキパキ木を踏む音が鳴り響き不気味な雰囲気はあるものの
すぐお化け役の先生が脅かしに出てきて
あぁこんなもんかくらいに思っていた
会話もせず3人の背中を見ながら無言で追うように歩いていく。
しばらくすると小川のせせらぎが聞こえてきた。
懐中電灯で照らすとどうやら木でできた橋が小さな小川に掛かっている
足元を照らしながら橋を渡り始めた瞬間足が掴まれたように動かなくなった。
驚いて足元を見ると木と木の間に靴のつま先が挟まってしまっていた
何故か全然抜けない
どんどん進んでいく3人の背中に向かって
「ちょっと待って!足が挟まっちゃったから置いてかないで!」
と声を掛けたが3人はどんどん進んでいく
靴を一旦脱ぎ両手で引っ張るとようやく隙間から抜けた。
「ちょっと待ってってば!」
小走りで追いかけ
肩に手を伸ばそうとした時
後ろの方から
「おい!そっちはコースじゃない!戻りなさい」
「ちょっと先に行かないでよ危ないでしょ?」
聞き覚えのある先生とC子の声が聞こえてきて驚いて振り返った。
前に居たはずの3人が何故か後ろに先生と一緒に立っている。
A子もB美も怪訝そうな顔でこっちを見ている
いやさっきまで前を歩いていたはずなのに...
じゃぁ前に居たのは誰?私は誰と歩いていたんだ?
額を冷たい汗が伝う
恐る恐る視線を後ろに向けると
3人の姿はなく橋の先は崖
横の雑木林に人影が立っていた。
私は雑木林に目を向けないように
必死にみんなの方に走って戻った
3人が言うには話しかけても返事もなくどんどん先に進むし
コースからも一人大きく外れていきいつもと違う雰囲気で怖かったそうだ。
3人だと思っていたのは誰だったんだろうか…
私が雑木林で見たのは
髪はざんばら乱れたような服
骸骨のような容姿
窪んだ瞳でこちらをじっと見つめる視線
あの時私は呼ばれれていたのかもしれない
じっとこちらを見つめる背中にへばりつく
ぬるっとした目線がしばらく忘れることが出来なかった。