詰んだ!解散!終わり!ってあれ...?
第一印象は登場の仕方のせいで最悪だった。
こんな他人を知らないようなオタクでも知っている。
彼女の名前は絵麻さん。
よく、クラスの女子がこの高校で一番可愛いのは誰?って他人に投げかけて、そうだよね!えまさんだよね!ってめちゃくちゃ言ってるから知ってんだけども。
きっっっっしょ...ってなったのはここだけだ。
とにかく、私はその謎なものを見てあまりにも謎すぎて覚えていたが、私個人の感想としてはカタカナのエマって感じがめちゃくちゃする。
肌は透き通るほどに綺麗で、髪の毛はハーフなのか金髪で、完璧な帰国子女って感じがする。
こんな初対面じゃなかったら、漫画から出てきた主人公の邪魔をしてくる強いヒロインじゃん!って感じなんだけど。
このタイミングじゃ無ければ!だけどね。
本当に何でこのタイミングなの?完璧すぎんでしょ!と思ったのだが、後ろで自分が想像していた下っ端がニヤニヤしている。
うん、完全にお前らが呼んだだろ。
私にかまってくるなら自分でしろよ!
何でよりによって学校でも大分な有名人連れてくんだよ!?
ちなみに、告白された回数が高校内で1位とかなんとか言っていたので、相当モテるらしい。
だが、全部断ったらしく、理由は今の状況を考えればお分かりだろう。
くっそー!
あいつ、許せん!
こんなんどうしろって言うんですか!?
悶絶しているのもつかの間、
「あの、あの子達から聞いたんですけど、疾風になにかしたんですか?」
oh...もう名前で呼ぶぐらい仲が良いんですね。
この世の終わりじゃねえか。
こんなやつに目をつけられるとかさ!
「えっと...その...何と言うか...。」
なんかめちゃくちゃ睨んでくるんですけど!?
私の高校生活、さようなら...。
こんな目力に勝てるわけ無いじゃん!
あぁ..私の人生のスペシャル映像が流れているような気がする。
それもこれも疾風くんのせい...って疾風くんは!?
ふと気付いた時に疾風くんの席を見ると、立ち上がって何か言おうとしていた。
流石に目の前でイチャイチャタイムを発動させるのはちょっと...私をここから開放させてくれるなら別にいいんだけど!
本当に早く私をここから去らせて!
心で修羅場が来るぞ!気をつけろ!という忠告をしていたのだが、私の想像していたのとはだいぶ違う発言が飛び出した。
「えっと...お姉ちゃん...何してるの?」
えっ...今なんて言った?
「お姉ちゃん...ってええ!?」
じゃあこの人重度のブラコンってことなんですか!?
ていうか兄弟なら呼ぶ意味無いんじゃないんですか?
あの取り巻き共は何を考えて呼んだんでしょうか...って、あっちもきょとんとしているってことは知らなかったってことね。
いや苗字ぐらい確認しておけよとはなりますけど。
「ごめん、なんか凄くざわついているけどお姉ちゃんがいるのは何でなの?」
「いや疾風が強制的なことをさせられたからって...」
「えっ...?」
「は...?」
衝撃の捏造に戦慄が走る。
その言葉に私は思わず割り込んでしまう。
「ちょちょちょ!何でそんなことになって...!?」
「あんたはうるさいわね!ちょっと黙ってて!」
「うぐっ...。」
見事に粛清されてしまったのだが、やっぱり弁解のひとつや二つぐらいしたくなるでしょうが!
なんでそんな捏造されてんの?
今、取り巻き共の顔がヤバそうなのだが、今は黙って事が進むのを待とう。
「ちょちょちょ...僕は別に希美さんに挨拶しただけだけど...なにかおかしなことあった?」
まあ小学生とかならおかしくなかったのかもしれないけど高校生にもなってくると大問題になってくるわな。
しかもこんなオタクにとか。
いや実はあの時は...みたいなことを言ってやりたい気持ちもあったが、捏造されたのにこれ以上自分に不都合が起きそうなことは言わないでおこう。
絵麻さんの顔が赤くなっていく。
その後すぐに、疾風くんもびっくりな早口で、
「そうなのね...。わっ...私はもう疾風が何でこんな事になったのかは家に帰ってから詳しく聞聞かせてもらうからもう帰るわ。それでは!」
最低限のことだけ話し、顔を真っ赤にしてそそくさと帰っていった。
教室は、静まり返った。