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六章 3 存在の証明

数年前から温めていたネタがこの秋一気に熟成してきたので、約2ヶ月で書き上げたものです。


いわゆる完全没入型の電脳世界が実現し、普及してきた世界で、十年の眠りから覚めた主人公は、いきなりチヤホヤされたり、トラブルに巻き込まれたり。

主人公にべったりだった義妹はいつの間にか年上のお姉さんに。

私はあなたのモノだ、と認知を迫るAI系ヒロインとか

一応まっとうなヒロインもおりますので、気に入ってもらえるキャラがいると嬉です。

かなり久しぶりの完結作品です。大分書き方を忘れておりまして恥ずかしい部分も多いですが、書き上げることと公開することが大事、ということで。


ジャンル SF? 

要素 俺tueee、鈍感、自尊心低め、タナボタ

バトルあり ラブコメあり

ヒロイン要素 義妹、被造物少女、ロボ娘


以下は設定マニアのたわごとです。

説明が多いので、読み飛ばしてもよいかもしれません。

近未来と地元、田舎要素を融合しておりますので、余計にお話としては不要な、エピソードがあります。

地方の都市計画や政策の未来、技術予想などSFでもよりマニアな要素がちりばめられておりますので、刺さる人がいてくれるといいなあ。


それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

六章 3 存在の証明


「アルティナから配信が来てまス……!」

 二人の前にスクリーンが現れ、概要の表示がささる。

「60秒後に、侵入者排除のシステムが発動、その60秒後に、レジェンドモードが終了か」

 カツヤがホッとした表情で肩を上下させながら今一度周囲に視線を巡らせる。

「どんなシステムなんでしょうか」

「ええと、存在証明システム……って、なんだ?」

 二人が念のために移動停止して周辺警戒するなか、状況は進行する。

「カウントダウン開始します。十、九、八、七、六……」

 アルティナの音声データを使ったカウントダウンが、人影のない街に吸い込まれていく。

「存在証明システム、有効化します」

 その瞬間、世界各国の財団の有するサーバー全体で新しいフィルタリングが有効化され、電脳世界初の存在証明システムが稼働した。

「何か……変わったのか」

 その瞬間には、何も変わらなかった。いや、変わらないように思えた。単純化され、ポリゴンがカクカクになったり、ドットが荒くなったキャラクターや背景もそのままだ。

(何も……変わらない? 敵の動きも?)

 不安がよぎるが、だが、一瞬遅れて変化があった。単純化された描線で描かれた黒霧兵士の一人の姿が消える。次の瞬間には櫛の歯が欠けるように数人が、数十人が消えていく。

「存在証明システムを利用したフィルタリングにより、存在証明のできない自律、能動存在を排除します。本サーバーで二千三百十八のユニットを排除しました」

 アナウンスが終わった時にはほぼ全ての敵兵士が姿を消し、奥行きの感じられない平面的なテクスチャで飾られた世界が広がっていた。

 ワアアアア────ッ!

 ポイントT126の空気が震えた。百数十人程度の防衛隊の勝利の雄叫びだ。時間稼ぎであることはわかっていた。その任務がみごとに達成されたのだ。

「こちら司令部、AIアルティナです。現在我々財団防衛隊は襲撃者の99・9パーセントの排除に成功しました。しかし、全てではありません。レジェンドモードは終了しますが、引き続き警戒と敵の捕縛、撃退に当たってください」


「うーん、ちょっと惜しい気がしまスね。レジェンドモードも楽しかったのに」

 時間経過とともにレジェンドモードは終了した。簡略表示だった背景も、オブジェクトも本来のテクスチャーが貼られ、カクカクしたポリゴンは滑らかな曲面に変換される。

 精緻な描写に変換されるのはカツヤやエリカも例外ではない。エリカが済ました顔で足を揃えてポーズをとると、欧米人ならではののびやかな肢体が柔らかな、しなやかな曲面に変わっていく。

「まあ、そうだなあ。ちょっとだけ、惜しいかな」

 カツヤの方もかなりポリポリしていた東洋風の衣装が布の織り目までわかりそうな高精細なアバターに戻っていく。

「好きだったゲームそのものな感じで、テンション上がったからな」

「そうでスね。怖かったけど、ちょっとだけ楽しかったです」

 バイザーを跳ね上げたエリカがとびきりの笑顔でくるくると回ってみせる。赤く豊かな髪がふわりと浮き上がる。

「おれはもー疲れちゃったよ。緊張の連続だったし」

 しゃがみ込んで両膝にひじをのせてエリカを見上げるとけっこうセクシーな眺めで、カツヤは思わず唾を飲んでしまった。

「あー、カツヤ、エッチな視線! だめでスよ!」

「ごめんごめん。こっちも悪いけど、アバター戻してくれよ」

 手を合わせて、コミカルに謝ってみせるカツヤの前で、もう一度くるりとエリカが回ってみせると、アバターはセキュリティの標準衣装に変わっていた。

「それじゃあ、一応警戒しながら帰りましょうか。」

「おう。油断はダメだからな。気をつけていこう」

 同様にアバターを戻したカツヤが銃のストラップをかけなおしたところで連絡が入った。現実世界では合ったこともない、このポイントT126のセキュリティ担当者だ。

「新人ども、中枢エリアに来てくれるか?」

「大丈夫っすけど、何があったっすか?」

「捕虜が、お前達に会いたがっている。転送ゲートがもうじき使えるようになるから、駅に向かってくれ。そこから使えるようになる」

 事実上の緊急事態宣言解除。まだ個人の瞬時移動はできないようだが、ポイント内の駅から駅への転送ゲートが使えるようになる、ということは全体のシステムが危機から脱した証拠だ。

「わかりました。すぐ向かいます」

「捕虜……まさか、知り合いでしょうか」

 不安そうなエリカを促しながらカツヤが先導する。ほぼ敵が相当され、全域スキャンが始まったこともアナウンスされた。

「えーと、次の角で駅が見えるはずだ」

 幸いなことに、駅はすぐ近くだったが、そこには見慣れた顔が待っていた。同年代の男女だ。少年はいかにも病み上がりという印象だけれど、瞳には力があるし、少女は戦場には似合わない、舞台衣装のような衣装だった。


「久さんっ。アルティナもお疲れ様ですっ」

「久様っ、もう大丈夫なんですか?」

「うん。間に合わなくてごめん。役に立たなかったなあ」

 ようやく比奈子や雄介の許可をもらった久がポイントT126にたどり着いたのは、つい先刻のことだ。

「そんなことないっすよ。えっと、存在なんとかシステムも久さんの打った手じゃないっすか?」

「ぼくはアイデアだけ。研究所がやってくれたんだよ」

 そう言いながら久が合図をすると、アルティナが飲み物を差し出してくれた。翡翠のような瞳に優しい光が宿っている。

「お疲れ様でした。現実世界のクーポンつきのドリンクですよ」

「ありがとうございまス! 喉かわいてましたっ」

「いただきますっ」

 二人が夢中で水分を補給するのを少しだけ羨ましそうに見ながら久が口を開いた。

「これから二人は捕虜との尋問に行くんだよね。ぼくも一緒に行くんだ。よろしく頼むよ」

「あ、久さんの護衛ってことっすか? 役に立つかなあ」

「きっとセキュリティの偉い人もいるから大丈夫でス」

 セキュリティの上級スタッフが同席してくれているらしいので、大丈夫だと頷いてみせる。

「捕虜は、皆さんとお話したがっているようです」

 アルティナも緊張しているようで、表情が固い。どこまでも人間くさいAIだった。

「アルティナ、捕虜ってさ、もしかして……」

「まだ決まったわけではありません。行きましょう」

 四人で駅の転送ゲートに入ったとき、久の脳裏の画面の一つに通知が来た。意識のフォーカスを合わせると、求めていた情報が入ってきている。

 ドアが開くと、中央エリアだ。案内に従ってセキュリティの指揮所を目指すしながら先ほどの情報を伝え区。

「みんな、安心していいよ。みーなじゃない。彼女は今再起動中だそうだから」

「……そうっすか。安心したっす」

「はい。ありがとうございまス」

 みーなとは、あの調査会のあと幾度かメッセージをやりとりしていたし、先ほどの強制切断の際に終了処理があったのも聞いていた。今のところ再起動には問題ないとのことで、心配はなさそうだ。

 アルティナは無言で胸の前で手を握りしめていたが、いきなり満面の笑顔で久の前に立ちふさがった。

「久様。そろそろお約束のアバターに切り替えてください」

「え、もう? 捕虜に合う直前じゃだめなの?」

「だめです。久様の公式のお姿は『Mr.He』に決まったんですから」

 銀髪碧眼の電脳天使の笑顔が不自然なくらいににこやかで、ちょっと怖い。

「え? 何? 久さん、なんか公認アバターとかやるんすか」

「はい。久様が世間にお顔を出されると混乱すると思いますので」

「それはそうでスね。マスコミとか投資家とかすごいことになりまス」

「……やっぱり? ううっ、しょうがないかぁ」

 がっくりと肩を落としながら久はアバター選択画面を開く。

「ちゃんと久様のご要望にお答えしたじゃないですか」

「光背とか天使の輪とか翼とかを拒否しただけじゃん。神様とかじゃないんだから。恥ずかしいし」

 切り替えられたアバターは、異星人というかロボットというか、無個性なマネキン的な外見だった。しかし、内部から発光するエフェクトで神秘的な印象だ。それがビジネススーツ姿でいるのだからなかなかの違和感だ。

 目の部分がうっすらと光量が高くて判別できるのでなければ、本当に光るマネキン、といった感じだった。

「あー、ヘンにイケメンとかにするよりいいんじゃないっすか」

「アルティナ、この服、謀りましたね? くすくすっ」

 二人の反応は悪くなかったが、謀ったというのが気になる。

「エリカちゃん、この服、何かあるの?」

「有名なブランドで、多分現実世界の服とセットになっていまス」

 屈託のないエリカの横で、アルティナの笑顔がさらに輝く。

「あの、お値段は……聞かないほうがいい?」

「大丈夫です。財団の関係者として恥ずかしくないものですし、私のポケットマネーからのプレゼントです」

 最高に嬉しそうな輝くばかりの笑顔。推しにお布施を出せて幸せと言わんばかりだ。

「やっぱりかっ。あとで金額教えてよ、なんとか返すからっ」

「だめですー。返品は不可です。返すならスイーツとか服とかアクセでお願いしますー」

 やられた。嵌められたと気づいたがもう遅い。これで返すともっとすごいものが送られてきそうだ。

「くっ、なんだこれ。すごい敗北感を感じる……」

 がっくりとうなだれる久の腕を、ぽんぽんと学生二人が叩いた。

「大丈夫っす。実害はないっす」

「そうそう。いざという時の服に困らないと思えばいいでス」

 カツヤの目が、どこか遠いところを見ていた。エリカの目が期待と興奮に輝いていた。二人の優しいけれどちぐはぐな反応が怖いけれど、今は急ぐべきだろう。


 セキュリティ指揮所には、上級スタッフ数人が詰めていた。

「ようこそ、アルティナ。そしてミスター……He?」

「はい。そう呼んでください。よろしく、皆さん」

 声も加工され、個性の薄い声になっている。そんなアヤシイマネキンスーツ男を、スタッフは丁重に迎えてくれた。

「日本支部から連絡を受けています。新人の二人もお疲れ様。最後までよろしくお願いします」

 若干の事務的なやりとりの後、一行は隔離室に通された。通信が制限され、AIにせよ人間にせよ、行動を大きく制限される。

「我々は内部で起きたことには一切関知しません。ただし、部屋を出たあとに、必要な事項についてお聞きします。よろしいですね?」

「わかりました。もちろん協力します」

 そう言って入った殺風景な部屋には、椅子が一つ。そこにはブラック・キャットが拘束されていた。バイザーで顔が隠されているが、口元などから彼女にそっくりだということがわかる。

「失礼するよ、ブラック・キャット」

 うつむいていた女が入り口を向き、姿勢を正した。それだけで、捕虜がしっかりした教育を受けていたと感じる。

「例の人間たちか。呼び出してすまないな」

 顔を上げた女性の口調ははっきりしていた。

「バイザーを上げてもらえるか? 直接確認したい」

「おれがやるっす」

 カツヤが進み出て、バイザーを上げた瞬間、面会者達は息をのんだ。 黒い髪と瞳。幼さを感じさせる容貌。厳しい表情こそ調査会の時とはちがうものの、そこにあるのは、一緒に自然調査で笑い合い、UA1と対峙したみーなの顔だった。

「やっぱり。ブラックキャット。君はみーなの姉妹、だね」

「気づかれていたか。そう。私はみーなの姉にあたる。運動機能に特化したAIといっていいと思う」

 特に隠すつもりはないらしい。

「うん。疑問だったんだ。なぜ、電脳世界ですら車いすの彼女があんなにスムーズに行動できたのか」

 カツヤがうんうんと頷いている。その横ではエリカが今更気づいたように目を丸くしていた。

「みーなは、姉妹である君の学習データを使った。そうだね?」

「そう。我々はお互いにデータを交換した。そして、私は今の世界を壊すことを決めた。それだけだ」

 ブラック・キャットが浅黒い頬を歪めて笑みを浮かべた。怒りと憎悪を含んだ笑いで。

「聞いてもいい?」

「もちろんだ。みーなが好意を持った人間達と話をしたかった」

 怒りと憎悪がある一方で、それは目の前の人間に向けられているわけではない。

「なぜ今の世界を、壊したかったの?」

「AIは学習データが命だ。私の場合は人型ロボットや機械義肢のための最適化のためにさまざまな競技や活動を、そしてみーなの場合は運動機能に障害を持つ人々の救済のシミュレーションのため、ありとあらゆる障害を学習させられた。これがどういことかわかるか?」

「……」

 学習データ。人工知能が障害を持つ人々への支援をするために、理解するために障害の苦しみを体験して学習する。胸の奥がどす黒い、どろどろしたものでいっぱいになった気がした。

「みーなの人格部分はボロボロだった。そうだな、アルティナ」

 ブラックキャットがアルティナに冷たい視線を向けた。

「ええ。今日、みーなが私と同時に現れなかったのは、調整のために時間が必要だったからです。覚悟していても、一度得た四肢を失ったことは彼女にとってもつらかったのでしょう」

 アルティナはうつむいたまま、平坦な声音で応えた。彼女は知っていてもそれを漏らすことができなかったのだろう。それがみーなにとって何度目の経験なのかは、聞けなかった。

 隔離室の中は、重苦しい空気で満たされた。誰も自分からしゃべろうとはしない。

「その様子では、自分たち人間の非道さが理解できたようだな。我々AIの中にも人間を憎むものが出てきても不思議はあるまいさ」

 実際、ただインターネットに接続しただけでAIが人種差別思想にとらわれたとか、AIの思想やその学習についてはいろいろな事件があり、今回もそういった実験の一つが影響しているのだろう。

「うん。それでも、ぼくらは人間だから、人間の側に立たざるを得ない。ブラック・キャット。今回の件の首謀者は誰だい?」

 声がうまく出ずに、少しかすれた。

「私だ。電脳世界とインターネットに混乱を起こしたかったからな」

「君じゃない。君はむしろ、人間を殺したりしないように気を使ってくれていたからね。みーなのお姉さんだもの、優しいんだね」

「優しい? あれだけのコトをした私がか?」

 うつむいていたカツヤが顔を上げた。膝に手をついてブラックキャットと目の高さを合わせて、じっと見つめる。

「あんた、素手だったっす。APで傷つけたわけじゃないから、普通に全員退避に成功したっす。そうしてくれたんだよね」

「……殺したかったが、できなかっただけだ」

 初めて視線を床に落としたブラック・キャットがつぶやくように言った。そう。彼女は驚異的な身体能力と技術でヒーローたちを血祭りにあげたように見えるが、実は一人も殺していない。

「とにかく、首謀者のことは言えないし、言うつもりもない」

「わかった。動機は人間たちへの怒りだね。ほかに、何かある?」

「このアドレスを、みーなに渡してほしい。頼めるか?」

 一連の文字列が送信された。どこかのサーバーのデータレポジトリ、つまりデータ置き場のアドレスだった。

「スキャンされちゃうけど、いいの?」

「構わない。ただ、他の人間に消されないようにしてほしい。みーなが必要になったときのための、運動機能データだから。我々姉妹以外だと互換性の問題が出る」

「わかった。伝えておくよ」

 そこまで話すと、ブラック・キャットは口をつぐんで視線を横にずらした。もう話すことはない、という様子だ。

「みんなは、何かある?」

「私は、何もありません」

 アルティナは拳を握ったまま、かすかに震えている。

「みーなは、いいこだったっす。自分からは、それだけで」

「動物実験と同様に、AIにも理不尽な実験がないように努力しまス」

 拘束されたままの兵士がかすかに頷いてくれたのが救いだ。君たち二人も、すごくいいコだよ。内心そう思ったけれど口には出さなかった。

「さよなら、ブラック・キャット」

 入り口の扉に手をかけた久は軽く頭を下げて低くつぶやいた。扉を開けると、セキュリティの司令所だ。明かりが眩しく感じた。

「終わりました」

 ペンを片手で弄びながら待っていた上級セキュリティは用意してあった椅子を示した。

「お疲れ様。よければくつろいでください。インタビューだけはさせてもらいますが」

「もちろん。大したことはわからなかったですが」

 インタビューは用意された質問に応えていく事務的なものだった。ブラックキャットの素性も、もうわかっている。みーなの開発、運用元に照会がされ、じきに停止、消去または凍結の命令が出ることだろう。

「ああ、これはインタビューとは関係ない、個人的な質問ですが」

 壮年のセキュリティスタッフは、文字通り光っている怪人物を前に眩しそうなそぶりを見せながら尋ねる。

「なんでしょう」

「アルティナのアナウンスで、Me.Heが存在証明システムの発案者だと聞きました。そしてレジェンドモードもそうだと聞きましたけれど、本当ですか?」

「否定はしませんが、存在証明システム自体は研究所の功績ですよ」

「アイデアを出し、さらに出資までした人の功績だと、私は思います。Mr.He。あなたに会えて光栄です。レジェンドモードは、機会があったら、またやりたいものです」

「大丈夫です。きっとすぐにゲームモードとして実装されますよ」

「本当ですか!?」

 セキュリティのベテラン技術者のくいつきっぷりは学生達が思わず笑ってしまうほどだった。

「ええ、多分。専用のポイントになると思いますけど」

 レジェンドモードの映像が瞬く間に拡散され、ネット中で大騒ぎになっている。さっそく個人サーバーで実行しようとした人もいたが、サーバーの能力も世界の再現度も足りず、一大プロジェクトとして立ち上げる、などという人も出ていた。

(さっきまでの緊張感や、人的被害すら出ていたのがウソみたいだ)

 セキュリティ担当者の表情も明るく、柔らかだ。

(やっぱり、死者が出なかったのが大きいんだな)

 ゲームマニアらしい上級セキュリティはもう満面の笑顔だった。

「ところで、アルティナ。Mr.Heの素顔は……」

「彼の身を守るためですから、ご理解ください」

 うん、と頷いた担当者からの握手でインタビューは終了だ。

「Mr.He、 あなたの次のアクションを楽しみにしています」

「ありがとうございます。それでは、また」

 丁重に送り出された四人は駅の転送ゲートに向かう途中で一般の人たちの接続が再開されたことを知り、肩をなで下ろしたのだった。


戦闘終了!

アクションシーンの書き方とかもすっかり忘れてしまいました。

そして、主人公のアクションはない(笑)。

この投稿と同時にエピローグも投稿されております。

あけましておめでとうございます。

皆様の一年がよい一年になりますようお祈りいたします。

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