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今世も「推し」がいる

作者: えすわい

 前世の記憶が、生えた。


 うん。少し、いや、まあ。かなり強烈な体験、って奴を引き金(トリガー)に...。


 酷い精神的なショックを受け、茫然自失して...気付いたら、そこに在ったのだ。

 そう。記憶喪失から突発的に元へと戻った、かのように。

 今生の私のモノでない記憶が、私の中に、大きな顔で当然の如く居座っていた。


 ただ、違和感はない。

 と言うか...何だろ。欠けていたピースが在るべき場所に嵌った、って感じだ。


 これまでの私の、曖昧で何となく直感で選んだかのように感じていた数々の行動。その根拠が全て、前世の記憶にあった、ようだ。


 けど。今世の私は、もう、十二歳まで育っているからか、前世の個人的な記憶や感情はかなり薄い。

 ブランクが長くなってしまったが為か、ボンヤリした単なる知識のような存在に、なっていた。

 えっと、ほら、あれだ。その...勝手に知識が湧いてくる辞書、のような感じの奴だね。




 と、まあ、それは兎も角。


 ショックに吃驚が被さり、一周ほど廻り回って冷静な境地に至った今の私は、まさに今世最大のピンチに直面していた。

 そう。冗談抜きで間違いなく、存在の危機で、生存が危うい。


 あっさりと、容赦なく、こちらを威嚇する凶暴な魔物(・・)の前に、私を突き飛ばし、脱兎の如く逃げ去って行った両親。

 しかも。ご丁寧なことに、私を背中にナイフで切り付け、流血させて。


 ははははは。

 乾いた笑いしか、出てこない。


 いや、まあ、さあ。

 常々、この両親はどちらも毒親だとは思っていた、けど...ねえ。

 どこかで前世の生温い人生観を引き摺っていたのか、生みの親の情という幻想に縋っていたのでしょうね、私ったら。


 そんなモノ、この世界では実在しない、のに。


 いや、いや。どこかに存在ぐらいはする、と信じていたいよ。正直なところは、ね。

 けど、まあ、間違いなくレアもの、だとは思うけどさぁ...。




 瘴気と狂気を撒き散らし、醜く獰猛な顔の中で大きな存在感を主張する鋭い牙付きの口。

 そこから、ダラダラと垂れる涎のビジュアルと臭気に、今更ながら、ドッと冷たい汗が流れだす。


 しかも。

 これまた今更ながら、背中の新しい傷が、思いのほか、痛む。


 あの、屑ども。力任せに切り付けやがったな。


 これは、拙い。

 不味いよ、私。


 ねえねえ、魔物さん。

 私、美味しくない、と思うのよ。

 そうそう、見ての通り、骨と皮しかないし...。


 目の前の巨大な魔物が、一歩、私の方へと踏み出す。


 さて、困った。

 絶体絶命、だ。


 前世の記憶を取り戻したばかりの私の運命は、如何に?



  * * *



 前世の記憶と共にチート能力が発現する、等々といった御伽噺モードが起動することは無かった。

 が。

 まだ、私の命運は尽きていなかった、ようだ。


 けど。

 やっぱり、この世は全く以って甘くない。


 そう、なのだ。

 私の人生の修羅場(ハード・モード)は、現在進行形で継続中、だった。


「おい、見つかったか?」

「まだ、だ」

「バカ野郎!」

「はぁ?」

「お前がボケッとしてっから、クソガキに逃げられたんだろうが!」

「バカ言え!」

「なんだとぉ、おら!」

「ああ?」


「喧しいわ、お前ら!」

「「...」」

「手分けして探せ!」

「「へい!」」


 うん。一難去って、また一難。

 私って、薄幸な少女キャラ、なんだろうか...。


 ボロボロになりながらも、魔物さんが本気で狩らずに玩具扱いしてくれた(?)お陰で、必死で逃げ回って何とか生き延びていた私。

 そこに、冒険者の一団が通りかかって、逆に魔物さんの方が狩られてしまったのだ。

 狩られてしまった、のだけど...この世の中は、本当に甘くない。


 そう、なのよ。

 今度は、その見るからに怪しげな冒険者さんたちが、私を狩ろうとしてきたのだった。


 お約束、って奴なの?


 こんな鶏ガラ娘、売っても高が知れている、と思うのだけど...。

 野卑なオッサンのお楽しみのお相手も、満足に務められないと思うよ?


 と、まあ、そういう訳で。現在、絶賛、隠れんぼの真っ最中。


 うまい具合に、少しの逃走で嵌り込める隠れ場所に辿り着けた、のだ。

 背の高い雑草が生い茂る草原を屈んでギグザクに駆け抜け、チョロチョロとしか水が流れない川の河原へと駆け込み、ゴロゴロ転がっている大きな岩と岩の間の隙間に無理やり潜り込む。


 うん、うん。収まりの良い感じ、だ。


 薄暗く窮屈な場所で、息を潜め、危機が去るのを唯々無心で待ち続ける。

 ひたすらに無の境地で、気配を消し、私は岩の一部だと自己暗示。


 あはは。なんか、眠くなってきた。

 背中がジクジク痛むんだけど、これ、大丈夫な奴かなぁ...。



  * * *



 街の表通りに面した、立派な宿屋。

 その裏庭にある、厩舎と隣接して建つ頑丈そうだが年季の入った、小さな平屋。


 そこが、今、私の寝泊まりしている場所だ。


 何とか怪しげな荒くれ者達を隠れてやり過ごし、十二分に待機し時間をあけてから、日が暮れる前に住み慣れた街へと戻ってきた。

 けども。

 まあ、当然ながら、毒親たちと住んでいた借家には戻れず、同じ街の中でも生活圏が重ならない離れた地区を一人で彷徨うことになった。


 そこで偶然に見つけた、住み込みでの下働きの口!

 うん。かなり強引に、ゲットした。

 ははははは。私でも、やれば出来る、のだ。


 そう。色々と吹っ切れたので、(したた)かに生きて行こうと思う。

 頭脳も明晰になった、というより、前世分の経験値も消化吸収してスッキリと機能アップ。

 何となく意識の中に漂っていた霧もキレイに晴れた気分、なのだった。


 まあ、人生も二周目なので、見ためは子供だけど中身は大人、って奴だね。

 あっはっはっはは。


「エリちゃん、行くよ!」

「はい!」


 寝起きでホケっとしていたら、先輩使用人のマリさんから注意を受けた。

 口調に棘は無かったが、マリさんの顔つきが厳しい。目が笑っていない。

 やばっ。


 この仕事、採用の競争率は高いが、脱落者がでるのも日常だったりする。

 ので、人の入れ替わりが頻繁になるから、周囲の目は相当に厳しい。

 つまり。ボヤッとしていると、あっと言う間にお払い箱。


 それに。私、かなり強引にこの求人に喰らい付いた、からなぁ。

 誰かの恨みを買ってても、不思議ではない、と思う。

 うん。出来るだけ隙は見せず真剣に頑張ろう、と心に固く誓う。


 幸運にも、無一文だったのに衣食住は取り敢えず確保できたので、ここからジャンジャン成り上がるぞ!


 とは言っても、まずは栄養失調気味で貧弱な身体を宥め賺して肉体労働に励む、しかない。

 大人な視野と経験則をフルに駆使し、効率的に最小労力で役割を果たせたら、嬉しいなぁ...。


 この宿で働く先輩諸氏の皆さまは、体力も気力も充実し、ヤル気に満ち満ちている、のだ。


 年齢の割には小柄でヒョロヒョロな私など、太刀打ち出来るのか?

 いや、四の五の言わずに頑張るしかない!

 それと...そう、背中の傷は、可能な限り速やかに治療しておきたい、よなぁ。


 取り敢えず、今後のためには重要だけど今現在には余計な思索は、封印しとこ。


 根性だぁ~。



  * * *



 へろへろの身体を横たえ、今にも底なし沼へと引きづり込まれてしまいそうな意識に、活を入れる。


 うん。眠い。

 けど、こんな生活も既に一週間が経過しているから、このまま惰性で唯々継続していると、確実に嵌る。


 筋肉痛で節々が痛いけど着実に体力はつき、要領も覚えてきて評価も上々、だ。

 高級宿屋の裏方下働きとしての地位は、確保できそうな雲行き、だ。が、ここはスタート地点でしかない。


 日々の肉体労働でその日の食い扶持を稼いでの生活は、脆い。

 何か一つでもアクシデントに見舞わられると、簡単に崩壊する。とても脆弱な立場。

 しかも。伸び盛りと見做され成り上がる余地ありと扱われるのは、若いうちだけ、なのだ。


 私の、取り戻した(?)前世の記憶が、頻りと強烈な警告を放っている。




 覇気のない実務者階級の、ベテラン社員。


 若い頃は、終身雇用と将来厚遇を餌に、馬車馬のように薄給で酷使され。

 体力の衰えと共に、過去の経験を否定され無駄飯喰らいのレッテルを貼られて。

 経営者など組織トップへと出世していない者は、人生負け組の扱い。


 そんな澱んだ瞳をした人たちでも、若手に頼られれば無下に出来ず、反射的にその世話を焼く。

 若かりし頃に諸先輩から受けた教えと世話して貰った経験や過去の慣習から、ほぼ無意識、に。

 だけど。

 悪辣で容赦ない上昇志向が強烈な若者からは便利に使われ、踏み台にされて、陰で嘲笑される。

 そんな事実に、後で気付き、落胆する。といった事態を何度も繰り返し、心が折れていくのだ。




 在りもしない栄華や高報酬の幻想に踊らされ散りゆく、普通の若手社員。


 容赦なく他者を蹴落とし究極の幸運を強引に掴み取ることで初めて得ることが出来る、派手で華々しい実績。

 そんな綱渡りの成果を何度も何度も繰り返し獲得し続けることで、極々少数の選ばれし者のみが辿り着く稀な境地。


 それを、誰もが得られる報酬だ、と錯覚させられ。

 派手な成功談の喧伝に誤魔化されて、短期視点の目晦ましに踊らされ、何度も何度も使い捨てにされ。

 ふと気が付けば、自己責任の結果と見做され見放された加護のない人生敗者へと目出度く仲間入りする。




 どちらも、二十一世紀の先進国に巣食う強欲で狡猾な強者たちによる搾取の、被害者たちだ。


 今の私は、そう認識している。

 分かってしまう、のだ。

 十二分に、現実というモノを理解させられたから。


 況してや、この世界は、それ以上に残酷だ。




 前世の記憶が復活する前の、あやふやな感覚で何とか生き延びていた幼い子供の頃。

 自分勝手で他責に逃げる自己中心的な親たちから、寝物語のように聞かされ続けた様々な与太話を思い出す。


 無理やり垂れ流しの毒のように注ぎ込まれ訳も分からず困惑していた言葉も、今となっては、正しく理解できる。

 勿論。その話題の大多数は、箸にも棒にもかからない戯言ばかり、ではあったのだが...。


 私の両親は、どちらも、元は貴族だった、らしい。


 ただし。本人が爵位を得ていた訳ではない。

 それぞれの親が爵位を持つ当主だったが為に、親が持つ爵位を借用していた、だけの。


 毒親たちは、言いたい事を言いたい時に言いたいよう好き放題に言っていただけ、なので、信憑性の方は甚だ怪しい気もするが、私が整理し直した認識ではこんな感じ、だ。


 貴族の身分は、信賞必罰の実力主義。


 爵位は、一代限り。

 爵位は、功績に応じて下位の階位から順々に授与され、返上は不要。ただし、降格による没収あり。

 よって、高位の爵位を持つ当主は、複数の爵位を持つ。

 そして。親が現役の当主で複数の爵位を持つ場合、その子は、親の持つ最高階位よりも下位の爵位を借用できる。

 その結果、爵位と資産や収入の規模は比例するが為に、親の持つ爵位が高位であればある程に、その子は、裕福であり高度な教育や訓練を受けられる事となる。


 つまり。

 貴族の子どもは、親の爵位の高さに比例し、人生のスタート時点で大きなアドバンテージを得ている、筈なのだが...。

 まあ。脱落する者もいる、というのが厳しい現実、なのだろう。


 ちなみに。

 蛇足ではあるが、王家のみは一子相伝。

 ただ、国王に瑕疵があったり跡継ぎ候補が愚鈍であったりすると、即座に国が傾き王位を失う。

 周辺諸国が怒涛の勢いで押し寄せて来たり、家臣に付け込まれて下剋上が起こったり、するそうだ。確実に。

 そんな背景もある為か、王家の子ども達には高位貴族よりも更にスパルタな教育が施され生存競争が激しい、という話だ。




 と、まあ、別格である王家の話は兎も角。ここは、弱肉強食の世界、だ。

 諸行無常、なのだ。

 この世界の全域が全てそうなのかは、さておき。少なくとも、私が移動できる範囲内にある社会では、それが現実だった。


 頂点に君臨する王家や貴族家が強烈な実力主義を地で行っているから、その配下の社会や組織もまた自ずと等質化する。

 即ち、喰うか食われるか、弱肉強食の社会が成り立っている。


 個人としては良い人。

 なんていう評価や存在は、単なる幻想だ。

 仮にその場はそう見えたとしても、地域社会や職場や組合(ギルド)や行政機関など組織に属す立場になった途端、他者には冷酷な人間となる。


 なぜなら、周囲はすべて競合であり敵対者だから。

 そう振る舞わないと、この世界では生き残れない、のだから。


 新参者や余所者にも人当たり良く積極的で親切な善人に見える人物など、信用ならない。

 そんな者たちは、大抵、相手がその場から居なくなると、思考が御目出度いとか無神経だとか馬鹿じゃないのか等々と、舌打ちし盛大に罵るのが常なのだ。


 手痛い裏切りや悪質な搾取にあっても影のない見本のような善人を演じ続けられるのは、メンタルが強靭、だから。決して、明るく朗らかで無害な性格などではない。

 極々稀に生息する数少ない本当の善人は、オドオドと周囲に怯えながら辛気臭い弱者たちの中に紛れ、細々と生きている。

 ただし。弱肉強食の世界で淘汰され、決して長生きすることは出来ないだろうが...。


 と、まあ。この世は、なかなかに、殺伐とした世界、だよねぇ。




 だから。

 まだ若い今のうちに、出来るだけ自身の地位を押し上げる必要がある。


 現状で満足していては、駄目、なんだ。

 当然ながら、現状から地位が一つ二つ上がったところで、焼け石に水。


 少女よ大志を抱け。


 折角の、人生二周目。さあ。存分に、暴れよう!



  * * * 



 数人の高度な技を持つ職人が指揮し、多数の規律ある使用人たちが人海戦術で施工し維持する、広大で立派な庭園。

 そんな贅沢な景色に囲まれた、真っ白に塗られた可憐で豪奢な屋敷。


 十八歳となった私は、そんな自宅の二階にあるバルコニーから大好きな庭を眺めながら、一人でノンビリと、お茶を楽しんでいた。


 いや~、私、頑張った。


 チートは無かった、と思う。

 けど、前世の記憶というか教養は、スタート・ダッシュに役立った。

 のと、貴族の血筋というか遺伝するスキルや能力が、途中からのブーストに貢献した、みたい。


 前世の私、偉い!


 身に付けた基礎知識と学習のコツは、大いに役立ったよ。

 うん。学校でした勉強は、無駄ではなかった。

 と言うか、勉学に励む時間が如何に貴重なのか、身をもって体験しました。はい。


 流石は、お貴族様の血筋!


 二度とは会いたくない毒親たちだったけど、その血筋は本物だった。

 貴族が貴族たる所以でもある、魔術に対する親和性を、私は持っていたのだ。

 ただ、まあ。現状では何か凄いことが出来る訳でもないのだが...今後に、乞うご期待。


 という訳で、目出度く、私は爵位を得た。

 まあ、最下層の男爵、なんだけどねぇ...。


 商業の発展と社会インフラの整備に貢献した、という名目で爵位を得た、私。

 当然ながら、経済的には裕福な階層の片隅に、名を連ねている。

 まあ、ぶっちゃけ、成金貴族という奴ですね。


 前世の価値観やモラルが邪魔をして、非情になれず、悪辣なことは出来なかった。

 けど、それも功を成したのか、成り上がり者に付き物の悪評も少なく、高位貴族家から睨まれる事態も然程は無かった。

 ので。大変ではあったが、根性と少しの幸運で乗り越えられるレベルの苦労で、割と順調に資産を増やして事業を拡大することが出来た。


 うん。大変ではあったのよ、ホントに。


 騙されるのは当たり前で、その裏の裏の裏を読んで立ち回り。

 張り巡らされた罠たちを掻い潜り、ここ一番では大きく勝負。

 人間不信に陥りながらも、信賞必罰で恩にはキッチリ報いて...。


 結果として、現在の地位と財産を得た訳だけど、信頼できる友人や相方には恵まれなかった。


 はてさて、今後は、どうしたものだろうか?



  * * *



 今の私には、「推し」がいる。


 正しくは、今生の私にも、と言うべきかな?

 はっはっはっはは。前世での「推し」は、二次元だったけどね...。


 そんな前世の私が「推し」ていた、アイドルも熟す役者さんだった彼女に、瓜二つな女の子。

 光沢あるルビー色の真っ直ぐな髪を肩上で奇麗に切り揃えた、天然っぽいけど少し影ある美少女。

 私の「推し」は、可愛くて、健気で、目が離せない女の子、なのだ。


 けど、まあ。今はまだ、遠くから見ているだけ、なんだよね。


 そう。残念ながら、貴族社会では底辺の男爵という爵位しか持っていな私では、高位貴族家の令嬢であろう彼女には、おいそれと近付くことが出来ない、のだ。

 とほほほほ。


 とは言っても、「推し」は遠くから眺めて応援するもの、と思っているので不満はない。

 のだが、しかし。

 名前くらい知っておきたい、とは思っているのだ。正直なところ。


 仕方なく暫定で、カナちゃん、って呼んでいるけどね。

 うん。前世の「推し」のお名前、だよ。

 あはははは。


 彼女のいる場所は、今の私の立場では、遠く離れた位置からそっと窺う事しか出来ない。

 そう。この国の頂点に近い高位貴族たちが集う場所が、彼女の生活圏なのだ。


 遥か彼方に、小さくしか見えないが、彼女は輝いている。

 うん、眩しい。

 辛うじて視界にキャッチした彼女の控えめな笑顔に、後光が射して見えるよ!


 はてさて、まずは、どうやって彼女の情報を集めるべきか?

 如何にして、彼女の幸せをアシストするか?


 俄然、ヤル気が出てきたぞ~。


 やっぱり、私は、名誉や十分な資産があっても孤独では満足できない、ようだった。

 だから。

 ここからは、推し活しながら、円滑な推し活の実現を目的とし、更なる躍進を目指す!


 うん。「推し」のいる生活は、いいよ。

 無味乾燥でモノクロだった世界も色づき、カラフルで芯ある心暖かな境地になる。


 よぉ~し。まずは、もう少し彼女の近くに陣取れるよう、私の爵位アップかな?

 いや~。人生って、終わりが見えないよねぇ。

 一つの山脈を乗り越えても、次の新たな山が待ち構えている。


 さあ、まだまだ頑張れ、私!


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