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正統派女装メイドが“Original Trajectory Online”で理想のお嬢様を育成するようです!  作者: 御神酒
『今は亡き忘却の島』

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69.灰色空模様

 


「なるほどねぇ、そんな事件が。それでレオっちの知り合いだったと……」

「れ、レオっち……?」


 カナタさんに事の顛末を共有、レオさんは自身の呼び方に驚いているようだったが、軽く咳払いしてちゃんと事情を説明してくれた。


「……彼女はユキ、僕の生まれ故郷の村長さんの娘で、幼なじみみたいなものかな。僕がこの神刀に選ばれて都に呼ばれている間に、灰に呑まれてしまってね」


 ということはその時から今までそれほど時間は経っていないはず。灰の力が星の力と対になるのだとしたら、効果時間の習熟度より“覚醒”とやらが強さの鍵になるのだろうか。ユキさんの強さの秘訣へ思考を巡らせていると、レオさんは寂しそうに言った。


「だから僕は村の皆をこの手にかけたんだ。()()()()()怪物に成り果てた皆を」

「……! ではあのユキさんは」


「わからない。てっきりどこかへ逃げ延びていたと思っていたんだ。でも恐らく――灰の王の手駒になっているんだと思う」


 僕の疑問に完全には答えられないと返すレオさん。



「えーと? じゃああの子は敵陣営の幹部みたいな感じってこと?」

「幹部と断定するのは……」


 ハルの油断に繋がりかねない発言を否定しようとした僕だったが、レオさんが首を横に振った。


「いや、星の脈動(スタースキル)と同格かそれ以上の力だった。幹部という認識で合ってると思う」

「…………レオさんは彼女と戦えますか?」



「ああ、これは人類存亡がかかってるんだ。たとえ幼なじみだとしても、僕の役目は変わらないさ」


 迷いないまっすぐとした目をしている。心配する必要はなさそうだ。それなら、と僕はしばらく王女さんの護衛につくように言う。


「しかし、そうするとトオル様の護衛は――」

「一緒に住まわせればいいのでは? 兄妹(きょうだい)ですし問題は無いかと思いますが……どうです、トネリ殿下は」


「え……あっ、ええ。それで構わないわ」

「姫さん……」



 何を言われたのかだいぶ精神的に参っている王女さんと、その心配と自身の不甲斐なさに歯を食いしばっている太郎さん。

 話は進めたいのでスルーして後でフォローしておこう。そうして一度王女さんと太郎さんは身支度を整えて、先にレオさんと一緒にスメラギ・トオル邸に出発してもらった。


「ヒビキ、いいんですの?」

「問題無いかと。あれがベストな配置なはずでございます」


 実際、レオさんはトオルさんの部下のような形なので完全に離れるのは不可能、そして肝心のトオルさんに疑念がある以上、そこを野放しにするのもマズイ。強引ではあるが、もしユキさんとトオルさんが繋がっているとしたら――疑念を確信にさせるようなことはさせないはず。


「しかし……やることが山積みですね」

「がんばれー」


 お嬢様の眠気混じりの励ましでやる気はMAXになった。よし、今ならなんだってできる!

 そのままお眠りになられたお嬢様を背負い、僕はハルとカナタさんに共有しておくことにした。


「――――というわけなので、お二人には屋敷周辺を拠点にして外から何かあった時の対応をお願いいたします」

「おー! なんかスパイごっこみたい! カナタこういう暗躍? みたいなのはじめてー」

「手伝うのはいいけど指示フワッとしすぎじゃない?」


「こちらもまだ情報が足りないので、臨機応変に現場に任せます」


 嫌そうな顔をしているハルも納得させ、今後のことに頭を巡らせながらお茶を飲んでいると、ところでとハルが切り出してきた。訝しむような目で。


「で、さっきのペンギンの着ぐるみ、なに?」

「ああ、彼女はプレイヤーです」


「彼女ってことは中身女ってこと?」

「えぇ。仲間……ではないですね。なぜか住みついたストーカーといった感じでしょうか?」

「ストーカーではないって言ってるでしょう? 言わばおっかけ? ってやつね」


「やってることはストーカーっぽいけどね!! って、ナチュラルに混ざってきてる!?」


 ハルとぺんぎんさんがやいのやいのしている横で、カナタさんは物思いにふけっているようだった。気になって声をかける。


「大丈夫ですか?」

「ん? ああ、全然。ちょっと話聞いてて気になったんだぁ。カナタみたいな死体って灰でバケモノになるのなーって」


「なるほど、灰が生物を乗っ取るようなものだとしたら――どうなんでしょう?」

「ねー?」


 そもそも骸骨人族という種族自体意味が分からない。カナタさん以外にその種族に会ったことがないから手がかりの欠けらも無い。彼女は死者扱いなのか、それとも動いているから生物なのか。

 この世界の生物の定義とは。

 いたずらするから捕まってるだけで、骸骨が動くというだけで忌避されているようでもないのが謎を加速させている。


「まっ、いっかー」

「あ、はい。いいならいいですけど」



 カナタさんが飽きたのか思考を放棄したので僕も考えるのやめた。そんな一幕もありつつも、ついに物語が動き出す。一人の衛兵が外で声を張っていたのだ。


「ヒビキ殿! お手紙が届いたぞー! 」


 こないだの革命差し押さえの際にハツハさんの親御さんに手紙を寄越すように言った件だろう。

 来たら急ぎで教えてくださいと伝えておいたから親切にもレオさんあたりから居場所を聞いて届けにきたらしい。


 ――雲が晴れない空を眺めながら、僕は手紙を受け取りに向かう。




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