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運営の選定会議

 

 暗い会議室の円卓。

 そこには6人のスーツを着た者達が手元のタブレットを触っていた。


「ふむ……」

「ふっ、面白い」

「くだらんな」

「あり、なし、なし――」

「もうルーレットで決めよっかな」

「ははは――」



 真っ暗な会議室の扉を一人の女性が蹴破った。


「――大事なプレイヤー選定会議で! なーに部屋を真っ暗にしてるんだバカ共が!」

「いえいえ課長、雰囲気というものがですね――」


「仕事しろ」

「「「「「「はい……」」」」」」



 電気をつけられしゅんとしたまま普通に仕事に戻っていく。そして課長と呼ばれた女性は席について自身のタブレットを操作し始めた。


 ここはフルダイブ型VRMMORPGのソフト制作を手がける――いわゆるゲーム会社である。斬新なゲームデザインゆえ運営の管理から逸脱し過ぎないようにプレイヤーの数を調整するため、今この場が設けられているのである。

 課長と呼ばれた女性含めて計7名、全員がそれぞれサーバーの担当を受け持ち、プレイヤーの選別を行っている。


「む」

「か、課長? 何か問題でもありしたか?」


「いや、つまらない者を弾くために一般枠にはAIにある程度弾いてもらったのだが――優秀なAI様でも判断に困る人物がいたようでね」


 公募の一般枠とコネの推薦枠のうち、一般枠で申請してきた人物で唯一ふるいの装置ごとぶっ壊した人物がいたようで彼女は面白そうな人物の申請書を読む。



 ========

 氏名:明堂(めいどう) (ひびき)

 生年月日:西暦2175年7月7日生(満20歳)

 性別:男

 現住所:〒3□▽-34○●群馬県✕✕✕

 メールアドレス:7inakdzumi7@pmail.com

 電話番号:0✕△-7141-662■

 性癖:すみません。よくわかりません。


 学歴・職歴:

 2194.3.私立貴峰高等学校卒業


 免許・資格:

 2180.12.漢〇準1級 合格

 2180.12.英〇1級 合格

 2181.12.〇商簿記1級 合格

 2194.9.普通自動二輪車免許 取得


 申し込み動機:

 拝啓

 夏至の候、日の長さが嬉しく感じられる季節が到来いたしました。貴社におかれましてはいよいよご発展のことと存じます。

 この度は、日頃ゲームに関してオセロしかいたしません私ではごさいますが、友人の誘いで興味を持ち、申請させていただきました。

 貴社の制作なされたゲームの“自由気ままに思い描く理想の自分を”という文言を拝見して大変感銘を受けました。家柄で難しいメイドという自分を貴社の描く世界で堪能したいと心から思った次第でございます。

 今後もご縁がございましたら嬉しく思います。

 敬具

 2195年6月25日  明堂響

 株式会社Fine-VR様


 希望オリジナルスキル効果:

 メイドとして仕える者以外からいかなる影響を受けない効果


 希望オリジナル装備効果:

 友人と遊ぶときに遅れをとらないような素人でも扱える戦闘用の効果



 ※オリジナルスキル・装備は見合ったデメリット効果も付きます。その方向性の希望もあれば自由にご記入ください。

 ========




「明堂響――いや待て5歳で漢検に英検の準1級と1級? というか色々とぶっ飛んでるな。詐称の可能性は」


 〈ありません。素性を調査したところ四方家の一つ、明東(めいどう)家の分家出身の人物でした〉


 女性の疑問に、彼女のタブレットにインストールされたAIが返答した。



「いいとこのお坊ちゃんか。私は詳しくないが、こういうVRゲーム初心者を入れるのも悪くない。どの道弾いたら上から何か言われそうだしな」



 そうして課長と呼ばれる女性が担当する第一サーバーに、ゲーム内随一の問題児が認可フォルダへ入れられたのであった。






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