表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
父と息子の異世界漂流  作者: 佐藤 学
83/103

第83話 ローガーの軍

活動家軍基地の指令室、ローガーに付き添いのレナ、フレデリクセンが座っていた。


指令室の部屋と言っても、質素であり、贅沢な調度品はない。自分も質素倹約を心に決めており、好感が持てる部屋だった。

「ローガー様、この様な部屋で大変申し訳ございません。」

「いや、そんな事はないぞ。」


二人でお茶を飲んでいるが、レナはいつでも動ける様に座らず、自分のそばで立ち、護衛をしてくれている。自分の様な、継承権を剥奪された者に・・・有難い事だ。

「フレデリクセン殿、それでは今後の事を話したいのだが。」

「すみませんローガー様、その前に一ついいですか?」

「何かな。」

「このたびは、お越し頂き、誠に、あり難き幸せにございます。そして、今回の決断、有難うございます。」

「何、貴殿から話しがあった時から、この日まで、心待ちにしてたよ。」

「ローガー様、お願いしたい事があります。」

「ああ。」

「私共をローガー様の軍に加えて頂けませんでしょうか?」

「・・・」

「活動家軍に所属する者、全てがローガー様の元で戦える事を希望しております。」


彼らは、軍の中心となる柱として、自分を希望しているのだろう。王家の血筋、境遇、考え方など、悪く言えば、都合が良い存在なのだ。ただ、差別が蔓延をしているあの国を今のまま放っておいて、いい訳がない。


覚悟を決める必要があるのだろう・・・が、覚悟はあの日から決まっている。


「分かった。フレデリクセン、頼りにしているぞ。」

「有難うございます。一同、お世話になります。」

「うん。」

「お願いしたい事が、もう一つありまして・・・すみませんが、ラース殿を呼んできますので、失礼します。」

フレデリクセンが部屋から出ていった。

その様子をレナが目で追う。フレデリクセンが外に出るとレナは自分に話しかけた。

「ローガー様、失礼ながら、担ぎ上げられたという事は分かっておられますか?」

「分かってるよ。でも・・・覚悟は前から決まってたんだから、いいんじゃないかな。戦う力も手に入ったからね。」

「でも、活動家軍に、シュミール国を打倒する程の力は・・・。」

「真正面から戦えばね。この軍が優れているのは、どこだと思う?」

「うーん、何でしょうか?攪乱が得意という所以外は・・・。」

「まぁ、半分正解かな。この軍が優れているのは、密偵部隊と情報伝達の速さが、シュミール国と比べ、はるかに優れている所だね。だから、攪乱も上手くいくんだ。」

「それが優れている点ですか?」

「そういう力は、簡単には手に入らないからね。っと、戻ってきたかな。」


フレデリクセンがラースとエルフの従者を連れてきた。ラースは杖をつき、足を引きずりながら歩いていた。顔半分は、布で隠しており、半身に大きな怪我をしたと思われる。自分の前に来ると、頭を下げた。

「エルフのおさ、ラースと申します。他種族連合軍のリーダーも務めさせて頂いております。」

「いや、ご高名なラース殿にお会いでき、こちらこそ光栄です。ローガーと申します。それよりも、お座りになって下さい。」

「申し訳ございません、こんな身体で。失礼します。」

「いや、気にしないで下さい。」

ラース殿とフレデリクセンは席につき、従者は横に立つ。レナは、ラース、従者から目を離さない。それはそうだ、二人からとんでもない威圧感を感じる。いや、強者の雰囲気というか。


ラースが話しを切りだした。

「フレデリクセン殿から話しは聞いています。単刀直入で申し訳ございませんが、私共、他種族連合軍も加えて頂ければと。」

「・・・あなた方は、様々な種族が在籍されており、考え方も違うと思います。納得しない者もいるでしょう。」

「いえ、他種族にも話しは通ってあります。問題ございません。皆、喜んで従うでしょう。」

「・・・そうですか。・・・分かった。すまんが、力を貸してくれ。」

「有難うございます。何分、この身体ですので、エルフ族に関しては、ここに居る私の副官を務めるピケが代理を、他種族連合軍の統括は、リザートマンのクリシア女王にお願いしてあります。改めまして、一同、宜しくお願い申し上げます。ローガー様。」

「ああ、こちらこそ、頼む。」


中と外の中核が軍に加わった。後は、どれだけ戦力を増やせるか、だな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ