第7話 侵略
車内にいた全員が車から降り、集団を睨みつける。
なんだ、これは・・・奴隷狩りか?・・・やばい!
これは、交渉ではなく、降伏の為に呼ばれたのか。
間違いなく鎧を着ているのは、狩る側だろう。それによく見ると、あの汚い恰好をした人間は日本人に見える。
ひと際派手な鎧を着た人間?が、奴隷の見た目の人間に指示を与えている様子だ。
「*********(おい奴隷、あの兵隊みたいな恰好したのはなんだ。)」
「*********(あれは、自警団を示す制服を着た人間です。)」
「*********(ふんっ、奴隷風情が!殺せ)」
「*********(では、私が)」
他の鎧を着た人間が手をこちらに向け、何かを唱えている。
「×××××××××」
嫌な予感がする。
「皆!車の中に!早く」
パトカーに戻ろうとしたが、相手の手から火炎が出てこちらに向かってくる。
やばい!魔法・・・なのか?
火は駐在さんを狙っており、近くで走っていた達夫さんも火に巻き込まれた。
「おじさん!」
全身が火に包まれて、「うーーー」と転げまわっている達夫さんに近づこうとする真司君の腰を掴んで抑える。
駐在さんは、黒ずみになり動かない。おそらく即死だと思われる。達夫さんも正直、助からないかも知れない。すぐに達夫さんの動きが止まり、焼かれ続けている。
真司君は、ショックで足の力が抜け、崩れ落ちる。自分も立っていられず、しりもちをつく。・・・体が震えて止まらない。真司君もガクガクと震えている。
奴隷の男が、二人に近づいてきた。
「おいっ!殺されたくなかったら、おとなしくしてろよ。」
日本語・・だ。やっぱり日本人なのか?
「・・なんで・・こんな事・・」
ショックやら恐怖やら、色々な感情が入り混じって、声が続かない。
相手も苦虫をかみつぶした顔で「しょうがねぇだろ」と集団に戻っていく。
集団は、村人を捕まえる作業を再開し始める。それを何も言えない状況で、その光景を見ている二人。
捕まっている集団を眺めていると・・・奴隷に引きずられる、気を失った・・・渉が・・いる!
その瞬間、公彦は走りだした。
渉を返せ!触んじゃねぇよ!
「かえぇぇぇせぇぇぇ!」
派手な鎧の人間は冷めた様子で公彦を見る。
「*********(虫が向かってくるぞ。)」
「*********(私が行きます。)」
「*********(いや、下がれ。)」
渉に向かって走り出した公彦に対して、腰に下げていた剣を抜く。剣から波動の様なものが出て、公彦を襲う。
・・・あれっ・・・両足が・・・なくなった。・・・でも、血は出て・・・いない?
満足気な様子で剣を収める。
「*********(虫!一生這いつくばってろ)」
関係ない!足がなければ、腕で進めばいいだけだ!
でも少しずつ、意識が遠のいていく。
渉・・・返してくれ・・・行かないでくれよ。