表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
父と息子の異世界漂流  作者: 佐藤 学
66/103

第66話 拷問に耐える

私はこのベルクマンという男は、会った時から密偵だと思った。質問をしたが、おかしな所はなかった。が、最初から尋問で分からないなら、拷問をするつもりだった。

「お前は何者だ。活動家軍か?」

相手は答えない。さらにナイフで傷口を広げていく。

「お前は何者だ。活動家軍か?」

悲鳴を上げるが、まだ答えない。こいつ粘るな。ナイフでさらに傷口を広げ、次は、指を切り落とそうかと考えていた。

「すみません!言いますので、もう・・・勘弁を」

「そうか。本当の事を言え。次は、指を切り落とすぞ。」

ベルクマンの手の甲に刺したナイフを抜く。

「分かりました。私は・・・ボラナ帝国から来た密偵です。あの死んだ奴隷も、ボラナ帝国から連れてきました。」

何?ボラナ帝国の密偵?

シュミール国は、北にリンデン国、南はボラナ帝国に挟まれており、ボラナ帝国とは、国境付近の小競り合いで収まっていたが。

ベルクマンは、これまでの事を話した。

自分の家族が人質にされ、密偵になった事。

奴隷の日本人は、ボラナ帝国に亡命してきたが、捨て駒として利用していた事。

奴隷に利用価値がなくなったので、イノシシに突き飛ばされた時、まだ息をしていたので止めを刺した事。

止めを刺した事がばれるといけない為、リンジの花を利用して遺体の証拠隠滅を図った事。

様々な事を吐露した。奴隷の中に石、金属があった事を聞いたが、それは知らないと言っていた。

小指にナイフを突き刺し、切り落とした。

「んぐぅぅぅぅぅぅぅ」

「嘘は言ってないな。」

ベルクマンは首を縦にふる。

「他に仲間は?」

「いません!」

「嘘か?」

「本当にいません!」

ベルクマンの必死な目を見た。

「分かった。拷問は終了だ。」


ここまで何とか予定通りに進んだ。

他の仲間に危険が及ばない様、目を逸らす必要があった為、関係のないボラナ帝国からの密偵という設定をでっち上げた。何とか信じさせる事が出来た様だ。申し訳なかったのが、ボラナ帝国の密偵という設定を柿沼かきぬまにも被ってもらった事だ。自分はもうすぐ殺される。あの世で柿沼かきぬまに謝ろう。

「最後にお前は死ぬが、何かやりたい事はあるか?」

「いいですか?」

「なんだ?」

「それなら・・・俺、元ソロー出身なので、街が見える所に埋めてもらえませんか?」

墓から、奴隷が解放される所が見たく、そう願った。

「分かった。首だけだが、約束しよう。」

「ありがとうございます。」

背後に居た護衛が、俺の首にナイフを当てた。


ラナール様、今までお仕え出来て、本当に良かったです。あなたの事を心からお慕い申し上げておりました。あの世から、あなたの幸せを願っております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ