第59話 奴隷解放に向けての話し合い
アリーサは幸樹が2階の司令室から戻るのを階段の所で待っていた。幸樹は話し合いが終わり、戻ってきたが、思い詰めた顔をしていた。何かあったとは思うが、幸樹が言い出すまで、待った。
「アリーサ」
幸樹が抱き着いてきたので、受け入れる。幸樹が落ち着くまで、背中をさすった。
基地にある私の部屋、幸樹と一緒にベッドに座っている。
「アリーサ、心の代わりにソローに行ってこようと思う。」
「そう・・・私は?」
「潜入任務だと思うから、待ってて欲しいかな。」
「・・・分かった。」
「浮気すんなよ。」
幸樹の肩を軽く殴る。
「そっちこそ。」
私は、幸樹に抱き着き、キスをした。
「幸樹、帰ってきてね。」
幸樹は、心の代わりに任務へつかせて欲しい旨を司令に伝えた。
司令室では、ソローの今後の対応について、話し合う事になった。
アリーサや幸樹等活動家軍の他にも、他種族連合軍から、様々な各種族が参加し、円卓の席に座っている。中央には、活動家軍フレデリクセン司令とラナール副司令が座っており、その反対側には、エルフの長であるラースの変わりに、リザードマンの女王、クリシアが座って居た。
フレデリクセン司令が、皆を見回し、話しを切り出す。
「皆、集まってもらい感謝する。今回は、ソローでの出来事があり、今後の作戦にも影響する可能性がある為、緊急な話し合いの場を設けさせてもらった。」
ソローで起こった事について、改めて皆に話す。ただ、基地でも噂になっており、誰もが分かっている事だった。
「それで、これからの作戦について、変更を含め、検討したいと思う。」
幸樹が手を挙げる。
「その前に私からの提案、いいですか?」
幸樹は、円卓に座っている皆を見回す。
「ソローには、フォージ家当主が居る様です。奴が首都のココではなく、ソローに居座っている自体、おかしい事だと思っています。何か気づいているかも知れません。そこで提案です。逆に相手が気づく前に、ソローを解放しませんか?」
周りの皆は、何も言わず聞いている。
クリシアがすっと手を挙げた。
「私もその提案に賛成です。他の都市で待っている者達には申し訳ない話しですが・・・」
他の参加者もすっと手を挙げ、賛成の意思を示す。
ラナールは、自分の息子がソローに居る事もあり、そうしたいと言いたいが、他の都市で待っている者達を考えると、言い出せなかった。それは、フレデリクセンも同様だった。
幸樹は、ラナールに向けて
「ラナール副司令!いいんですよ、息子を優先して。母親なんだから。あなたは、俺達日本人を必死に助けてくれたでしょ。溜まっている恩を返させて下さいよ。」
「・・・」
クリシアがラナールに優しく話す。
「ラナール。こういう時は、息子を助けて、でいいのよ。」
ラナールは何とか、口を開く。
「・・けて。息子を助けて。」
円卓に座っていた皆が席を立つ。
「やるぞ!」
「ソロー解放だ!」
「準備を急ぐぞ!」
ソローの奴隷解放に向け、動き出した。