表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
父と息子の異世界漂流  作者: 佐藤 学
56/103

第56話 フォージ=ナインズ

フォージ家当主ナインズは、書斎に座り、考えていた。息子のカイル、ガイウスがオーガと戦う事になった。周囲には、さぞ立派な戦果を挙げている息子に見えるが、本性はガイウスと同じ様なクソガキだ。まぁ、ガイウスよりはマシだが。なので、幼い頃から優秀で目をかけていたナードを副官に置いていた。ナードは、カイルを上手くコントロールしていたが、死んでしまったのは残念だ。恐らく、そこが原因で暴走し、オーガと戦争になったのだろう。


自分が愛用している剣を見る。悪くはないが、当主が持つフォージ家の家宝である「当主の剣」に比べると、どうしても見劣りしてしまう。


戦う事が困難になり、カイルに授与したが・・・当主の自覚を持つのは、しばらくかかりそうであり、まだ自分が当主に居なければ、上手くはいかないと思われる。今回、二人をコントロールさせる為、自分の副官であるベルケルを派遣したが、カイルとガイウスには、劇薬となりかねない。どうなる事か。


義足になった右足をさする。もう少し、マシな義足はない物か。棒が出ているだけの義足に不満があり、義足と生身の足の間に痛みがある。雨が降ると、痛みはより一層強くなる気がする。ラースとの戦いを思い出していた。


昔、首都ココで奴隷解放が行われた。奴隷解放の裏で、エルフの族長ラースは、少数を率いて王宮に忍び込んでいた。何をしに来たかは分からないが、王宮で見つけ、戦闘になった。「英知の魔法使い」と言われている相手、戦いは熾烈を極めた。相手は全身火だるまとなり、息絶えたと思うが、引き換えが自分の右足と魔力枯渇症だった。


そんな事を思い出していると、部下が報告に来た。何でも、奴隷達が魔獣の討伐に行ったが、巨大なイノシシの魔獣が出て、死者が出たとの事。普通はそんな些細な事で報告には来ないのだが、ここソローで何か嫌な事が起こりそうな予感があり、逐一、部下に報告させている。

魔獣に殺された。その事は特に引っかかる感じはなかったが、その後の報告には引っかかった。

死んだ日本人の死体を早めに燃やしたいと、他の兵士から提案があったらしい。何故かを聞くと、その日本人の死体に毒を持った虫が群がっていたので、気味が悪く、早めに処分したいとの事。


報告を聞いて考える。

兵士がそういう対応しそうだとは思うが、何か・・・


「処分をするのは止めろ。検分する。」

「はっ」

兵士が出ていくのを止める。

「聞き忘れていたが、その奴隷の名前は分かるか?」

「はいっ、確か・・・かき・・柿沼心かきぬましんだったかと。」


柿沼心かきぬましん・・・か。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ