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父と息子の異世界漂流  作者: 佐藤 学
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第53話 ムサとガイウスの一騎討ち

2人は向かい合う。その周りでは、オーガ、シュミール人、共に戦闘を中断し、闘いの行く末を見守っていた。


シュミール人の割に、ここまで武の才能があると思っていなかった。ただ、ここまで戦えているのは、あの者が持っている剣によるものだろう。とんでもない代物だ。ムサは、ガイウスから何度も繰り出された剣からの波動を渾身の力で、切り裂く。


ガイウスは、肩で息をする。何度も波動を放ち、かなりの魔力を消費しているが、オーガに防がれる。ここまでの敵は、リザードマンのメス以来だった。


肩で息をした一瞬の間、ムサが距離詰め、横に薙ぎ払う。ガイウスは、地面に剣を突き立て、盾の様に防御した。また、吹き飛ばされない様、足でも剣を抑えた。


剣と剣がぶつかり、大きな音がなる。


ムサは、相手の剣を切れると信じ、振りぬいたが、切れなかった。尋常ではない硬さの剣であり、自分の剣の方が負けていた。振りぬいた先には、シュミール人の左腕があり、切り裂く。


ガイウスは防御したが、完全には防げず、骨折していた左腕が切れて吹き飛んだ。使えなくなった左腕なので、問題はない。右腕で剣を引き抜き、そのまま、オーガに振り下ろす。


相手は剣を引き抜く動作、右腕のみ、こちらの防御は間に合う。シュミール人の振り下ろされた剣を、自分の剣で受け止める。相手の剣は光っていた。


オーガが受け止めるのは、予想出来ていた。こちらの剣から波動が出て、相手の右足を切り落とした。


右足は無くなったが、まだ戦える。シュミール人は、力尽きたのか、両膝をついたまま、動いていない。

死ね!

左足に力を籠め、剣を振りかぶろうとした時、急に右目が見えなくなった。

なんだ?・・・何があった?

そう思ったら、身体中の至る所に何かが突き刺さる。

身体を支える事が出来ず、倒れた。


予想外の幕切れだった。息子ムサの身体中に、矢が突き刺さっており、事切れていた。シュミール人の兵士達を睨みつける。

「一騎討ちを汚す、下等な生物共が!全員殺してやる。」

「「があああぁぁぁぁぁ」」

怒りが頂点に達したオーガ達の侵攻が再開される。


オーガ達は寡兵であり、おさという柱も失った。それでも、怒りに身を任せ、必死に戦ったが、また一人、また一人と倒れていく。元のおさとして、将を打ち取りたかったが。腹部には、何本もの槍が刺さり、事切れた。周りに、動いているオーガはいなくなった。


カイルはベルケルを睨みつける。

「お前!」

「カイル様、オーガとの一騎討ちなど、誇りにすらなりませんよ。」

「・・・」

「今回の戦いはこれで終わり。後は殲滅のみです。・・・カイル様、気づいていますか?これは、味方の被害が少ない大勝であり、あなたはその指揮官です。最強種と言われたオーガ相手に、ここまでの大勝利。歴史に名が残りますぞ。」

自分からオーガに戦争をしかけた事が始まりだったが、正直、まともにぶつかれば、負けをも覚悟しなければならないほどの戦争だった。結果は、大勝であり、その戦争の指揮官は自分だった。正直、悪くない気分だった。

「ガイウスは?」

「ガイウス様ですが、治療により、命は取り留めたとの事です。また、左腕ですが、処置に間に合い、無事繋がったそうです。今は、気を失われ、野営地でお休みされています。」

「そうか」

「オーガの殲滅は、すでに指示しておりますので。カイル様、少々、野営地でお休みください。私の部下に安眠出来る魔法を使える者がおりますので、後で野営地に向かわせます。」

「・・・分かった、何かあったら、起こせよ。」

「かしこまりました。」

カイルは野営地に向かう。


マーカスと精神操作の魔法が使えるウィリーがベルケルの前に来た。

「マーカス、良くやってくれた。」

「いえ、労いのお言葉ありがとうございます。」

「ウィリー、カイル様は野営地でお休みになられている。カイル様の所へ行ってくれ、手筈通りにな。」

「かしこまりました。」

「マーカス、ウィリーが戻ったら、カイル様の所へ、奴隷の若い男を」

「分かりました、その様に手配します。」


その日の夜、カイルは野営地で、久しぶりに男と一緒に過ごした。魔法の効果が効いた様で、とても良い気分で過ごせた。

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