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父と息子の異世界漂流  作者: 佐藤 学
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第5話 現状把握

<地震発生から6時間後>

公彦きみひこは、村長の佐藤茂さとうしげる(75)、村にいる駐在所の警察官、渡辺豊わたなべゆたか(38)、鈴木建築社長、鈴木達夫すずきたつお喜平きへいのおっちゃん事、佐藤巌さとういわお、小学校のPTA役員、佐藤静子さとうしずこ(30)と一緒に公会堂の一室に集まっていた。


「皆さん、非常時にお集まり頂きまして、ありがとうございます。えー現状、色々と分かった事、皆さんと共有出来ればと・・・また、今後の事も検討できればと思っております。」

これからの事を考え、村長にはまとめ役を。駐在さん、達夫たつおさん、今は各家に回っており、不在にしている藤医院の先生、藤康ふじやすし(63)には、相談役を。喜平きへいのおっちゃんには、農家や高齢者への情報発信をお願いしたいと思っている。達夫たつおさんの息子である鈴木建築の専務の達臣たつおみ君(鈴木達臣すずきたつおみ(29))には、若い子達のまとめ役になってもらいたかったが、今、職員総出で、現場に回っているので、達臣たつおみ君の勧めもあり、静子しずこさんに来て頂いた。自分は、司会進行や現場の調査をしていく予定だ。


皆、深刻の表情で、軽く頭を下げたのを見て、公彦きみひこが、ポケットから一枚の紙を取り出した。

「手書きで申し訳ございませんが、現在の状況を簡単に地図として書いてきましたので。」

皆が一枚の手書き地図をのぞき込む。

挿絵(By みてみん)

「今日の朝、・・・おそらく7時30分頃だと思いますが、地震が発生しました。地震後、どういうわけか・・・まったく説明は出来ませんが、多分、半径4~5キロ辺り以降、見た事のない土地が出現しています。」

皆が「何が起こっている」「どうして・・・」「戻りたい・・・」等、口にしている。自分も同じ感想だが、話しが進まないので、なんとか進行していく。

「円になっていると思われる。もしかしたら、円がつぶれているかも知れませんが、今回はしっかりとした円で説明させてもらいます。えー、その事が分かったのは、周囲を辿っていって分かっ・・・すみません」色々な感情が溢れだし、涙・吐き気等、色々なものが出そうになるのを、ぐっとこらえる。今、居る人達も同様な感情が溢れていると思う。

「すみません・・・えー、地図を見てください。白い枠で書いてある箇所が、住宅等があります。それで、赤い枠で書かれている箇所は円上の境目にある土地、・・・」

抑えていた、涙が溢れだす。

「被害・・・のあった土地になります。」

鈴木建築の左側地域の4件。円上の内側には、家が残っていたが、外側は無くなっていた。円に沿って削れているといった方が正しいかも知れない。そこに住んでいた住人の内、三人は内側にいた。ただ、家が3分の1ほど残っていたが、倒壊も起こしており、一人は下敷きになって亡くなっている。他の二人は、地震時、家の外におり無事だった。また他の地域でも、円上にある家は、同じ様な事態が起こっている。ふじ先生・達臣たつおみ君は、その対応に追われており、今回、話し合いに参加が出来なかった。その他の赤い箇所で、小学校は校舎が無くなり、グラウンドのみが残った。村の離れにある牛舎は、円の外側に出ている部分があり、牛一頭が輪切りになって死んでいる状態で発見された。

そんな状況は、人間でも起こっていた。公会堂下側地域の住宅で一人、両足が切られた状態になっており、出血多量で亡くなっていた。吾郎ごろうさんも、家で下半身がない状態で発見された。



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