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父と息子の異世界漂流  作者: 佐藤 学
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第43話 まずは格闘訓練が始まる

オーガとシュミール人の開戦が始まりそうではあるが、リンデン国は静観を決めた。正直、自分が出来る事はない。

幸田こうださんの案内で、軍の地下に連れてこられた。ここは、昔、貯蔵庫として使われていたそうで、広さもあり、秘密の訓練場として申し分なかった。そこに、一人の人物が立っており、訓練教官の様だ。

「初めまして、佐藤公彦さとうきみひこさん、ルーカンと申します。」

まだ、20代といった印象だが、この世界、若々しい人が多いからな。幸田こうださんとかコーム領主様とか。

「こちらこそ、無理を行ってすみません。宜しくお願い致します。」

「まずは、今の実力を見させて頂きます。武器は何を使いますか?」

今まで槍とボウガンしか使った事がない。

「それじゃ、槍で」

ルーカンは、長めの棒を二本持ってきて、一本を自分に渡す。それと、補充分の魔石も渡された。この人は、自分が魔法を使える事を知っている。

「全力で来てください。」

魔法も使っていいという事だな。上を脱ぎ、身体に魔力を行き渡らせる。どんと勢いよく飛び出すと、その勢いに幸田こうださんがびっくりする。幸田こうださんはどの様に魔法を使うのか、確認する為に見学している。その為に上を脱いだ。こちらの攻撃に関して、流れる様な動きで避けて、こちらの足を棒で突く攻撃が来た。それを自分は義足で踏みつけて止める。

「いい動きですね。」

そう言って、ルーカンは、自分の顔にめがけ、攻撃をして来る。予想以上に速い攻撃だった為、避けるのに必死だ。

「脇が留守ですよ。」

腰めがけて、棒で突く攻撃来る。自分は躱しながら前に進み、前蹴りをする。ルーカンは横にそれて躱し、空いている脇腹にパンチを当てる。

「ぐぅぅ」

脇腹一発のパンチで、膝をついた。凝縮した一撃だった。

ルーカンが手を差し出したので、手を取り、立ち上がる。

「中々動けていますね。今後は、格闘と魔法の操作の練習を交互にして行きましょう。格闘は私が担当します。魔法は、また別の者が担当しますので」

ルーカンは、また距離を取り、棒を向ける。


今日は一日、格闘の稽古をみっちりと行い、終わると若い女性が入ってきた。治癒魔法をかけにきたとの事。身体中に痛みがあり、有難い。思わず、拝んでしまい、何?という顔された。それを見て幸田こうださんは笑っていた。


幸田こうださんのお宅のダイニングルームで、ルーカンの事を聞いた。実は、久美くみちゃんの冒険者仲間だそうだ。これは久美くみちゃんからの提案らしく、身近な人間の方が良いだろうと、コーム領主様も了承したそうだ。魔法の訓練教官も久美くみちゃんの仲間らしく「めちゃ可愛いので楽しみにして下さい。」との事だった。

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