第41話 一方、幸樹達は?
幸樹達は、森に車を乗り捨て、隠れていた。シュミール人の捜索もあり、思う様に動けずにいた。四六時中追い詰められている状況で、精神的にも疲れは出始め、健一と香織はピークを迎えつつあると感じていた。それに公彦の事もあったしな。
公彦が無事にリンデン国を行っているなら、何とかはなっていると思う。
何とかしなければ。
「健一と香織は、今、自由にしていいって言ったら何をしたい?」
只の気休めの会話だった。
「私は、幸樹さんの魔法を覚えたい・・・かな」
「それ、俺も!車ン中ですげー便利だったもん。」
それを言われて、確かに他の人間が使えると、やり取りできると思った。でも、洋介に教えたけど、出来なかった。あいつは頭わりーからな。足もくせーし。
「二人は真面目だし、頭も良さそうだから、出来るかも・・な。足も臭くなさそうだし。」
「足臭いは、私も含めてます?女子ですよ。」
「そうよ、幸樹。足が臭いのと魔法が出来るのって関係ある?」
「あーすまん。今度、二人に教えるわ。健一、それまでに足洗っとけよ。」
「いや・・・臭くないですよ!ねぇ香織そうでしょ。」
健一は、香織の方を振り返るが、香織は複雑そうな顔をしている。
「・・・そうだね。」
「いや、何?その間。」
「しょうがないじゃん、お風呂入ってないし。」
空元気かもしれないが、まだ、大丈夫そうだな。
何日か経つと、兵士が全く来なくなった。なんだ、何かあったのか?
「幸樹、兵士の気配が全然しなくなったわ。」
「だな。何かあったか?」
でも、これはチャンスかも知れない。
皆で車の方に戻った。
車の所に行くと、二人の日本人が立っていた。洋介と、とわだった。
「おー、洋介、とわ、ご苦労さん」
「ご苦労さんじゃねえよ。幸ちゃん、中々こねぇーから探したぜ。」
とわが、こっちの方を向いて
「あれ、佐藤さん何処?」
洋介達に事情を説明し、今後どうするか話し合った。その結果、洋介、とわで公彦の探索。幸樹達は、このまま活動家軍の基地に向かう事になった。洋介達はバイクで来ており、車に積んであった燃料を補給し、リンデン国方面へ探索しながら向かう。それにしても、軽トラに燃料を積んでなかったので、助かった。俺のビールやつまみ類は焼け死んだけど。くそー、もったいねー。
「洋介、とわ、気を付けていけよ。何かあったっぽいし。」
「んー、なんだろうな、まぁ気を付けるわ。」
「それじゃ」
バイクで行く二人を見送った。
「俺らも行くか!」




