第24話 アリーサの父親の話
「もうちょい飲むか・・」そう言って、ビールの追加を持ってきた。幸樹から受け取ると一気にあおった。くそっアイツの顔を思い出すたび、足が痛む。
「幸樹、そんなやつらとよく戦えているな。」
「あぁ、他種族連合軍はエルフとリザートマンが主力でなんとか戦えているというのが現状だなぁ。」
「エルフというと、アリーサの親父さんが全体の軍を率いているんだよな。」
「親父さんかぁ・・・残念だけど、親父さんは動けない状態でな、副官のピケさんが率いている。」
え・・・動けないって。そういう顔をしていた自分を見て、幸樹が話しを続ける。
「俺が奴隷として捕まってた都市って、ココっていう所でな、あいつらの首都なんよ。最初に奴隷解放した場所が一番でかい所ってすげえよな。でも、親父さんは相当無茶したらしく、体半分以上燃やされて、何とか命は保ったという話しらしい。だから、普段は寝たきりで・・・でもな、皆を鼓舞する時は、頑張って立ち上がって必死で声をかけてくれるんだよ。その・・・スマン」
幸樹が流れる涙を隠す。
「とにかくすげえ親父さんだよ!」
幸樹はぐっとビールを飲む。
「それとな、リザートマンには、最強の女王がいるからな。多分、狂犬とガチで張り合えるのは、あの人ぐらいだろう。」
「へー、そんな人もいるんだな。」
「あぁ、クリシア女王という人でな・・・お前!リザードマンの女王って言われて、どんな感じに思った?」
あーどうなんだろう?多分、爬虫類の顔がついた人間?でも、胸がついている様な。頭の悪い妄想が駆け巡る。飲みすぎだ。
「多分、お前の妄想は違うぞ!、めちゃくちゃキレイで、簡単に言えば、外国人のスーパーモデルみたいな感じ。鱗は気になるけどな。」
なるほど、ちょっと人間に寄った感じになるのか。
「今度、アリーサに話しとくわ、軍に戻ったら会える様にセッティングしておく。あいつ、仲良いんだよ。」
「ああ、ありがとな。」
空を眺めながら、飲み会は続く。
予定通り、四日後、皆で軍に向かった。




