第22話 村での探索は終了した
今回の探索で、二、三日かかったが、一通りの物資を車に詰め込めた。洋介達、は2tトラックとジープに乗ってきており、こちらは、乗ってきた軽トラと宅配サービスに使われていた1.5tのトラックを村で確保していた。物資は、食物、衣服、医療品、燃料など多岐にわたる。アリーサは、その他、医療に関する本を希望しており、とりあえず詰めるだけ乗せた。幸樹希望の楽器だが、香織ちゃん宅でギター、ベースを見つけている。香織ちゃんは、高校時代にバンドを組んでいた。その頃から、耳にピアスがどんどん増えてきて、近所の奥様方が噂していたのを聞いていたから知っていた。
楽器の交換部品も香織ちゃん宅にたくさんあり、ホクホク顔の幸樹に疑問に思った事を聞く。
「なんでこんなに色んな物資が残っているんだ?あいつらは持っていかないのか?」
「あー・・・あいつらにとって、日本人の文化は奴隷の文化って認識でな、現代人と原始人ぐらいの感覚で日本人を下に見てんだろ。だから、不浄の物って言われて、やつらはほとんど手にしない。移動に生物使ってる、あいつらの方が原始人なのにな!」
話しを聞いていた洋介が「だな!」と幸樹に賛同している。とわが、その話しに補足する。
「車は私達日本人を載せ、必要なくなったら溶かして武器にしてるから、何台かは徴収しているわ。」
なるほど、事情は分かった。
洋介と、とわは「それじゃ、このまま軍の方に戻る。」と車で向かっていった。
「それじゃ、俺らもアリーサの所に戻るか。」
お互い、車に乗ってアリーサの家に戻った。
家につくと、アリーサが出迎えてくれた。
「お帰り、森抜けられたね。」
「ああ、お前が作ってくれた道具も無事、動いてくれた。」
アリーサの作った道具を使用すると、移動時、森が避けてくれた。アリーサが魔法を使うみたいに。只、この道具は一回使用したら、また、アリーサが魔法の補充をしないといけないらしい。
「そう、良かった。それより、時間かかったわね。」
「おう!本もごっそり持ってきたぞ。」
「ありがと、さっそく確認したいけれど、その前に香織が気づいたから、顔見に行かない?」
良かった、目を覚まして。良かったな、健一君。お菓子も確保できたし、手土産を持って、香織ちゃんの見舞いに行こう。
香織ちゃんは、ベッドで横になっていた。目を覚まし、隣に座っている健一君と話しをしている。顔色も以前に比べ、良くなっている。左腕は残念ながら、肘の上までで、その下は無くなっていた。健一君がこちらに気づき、頭を下げる。
「すみません!渉のお父さん、一緒に行けなくて。」
香織ちゃんもベッドから体を起こしている。
「ああ、香織ちゃん、無理しないで。」
「公彦おじさん・・・ありがとう。それと、アリーサさんから色々と聞いていて・・・」
多分、香織ちゃんは自分の事、村の事、色々な感情が混ぜ合わせって、複雑な顔をしている。それを心配そうに見守る健一君。二人の頭に手を乗せ、撫でる。子供扱いする歳ではないのは分かっているが、許して欲しい。三人で泣いた。