第20話 妻は、生きているのか?
「・・・どういう・・・」
「本当の事よ。」
アリーサが席を外し、戻ってくるとインスタントカメラで撮られた写真を持ってきた。見ると紘子の様に見える。でも画質の悪い写真では・・・
「彼女は父親と一緒に活動している。前に話したの覚えてないか、シュヒールヒ=ビフォーの息子っていう活動家の話し・・・」
シュミール人の有名な魔導士の子孫とか言っていたな。幸樹に頷く。
「リーダーの娘で、活動家軍のNo.2なんだよ、彼女は。」
「・・・」
全然、話しが入ってこないが、本当に紘子なのか?それなら、妻は、シュミール人で、日本に転移してきた?それで、俺と結婚して、渉を生んだ?
正直、頭が混乱する。
「おい!大丈夫か!」
「ああ」と言葉にならないつぶやきをして、水を飲む。
アリーサと幸樹は俺の方を向いて話している。
「急いだ方がいいんじゃない?」
「だな。そっちはどうだ。」
「彼女は大丈夫よ。これから通信鳩も飛ばすわ。」
「よし!正直良く分からん状況だとつらいよな!これからの予定を話すぞ。」
「・・・」
「俺とお前と拾ってきた男で」
「あの男、健一でしょ」
「ああ、俺とお前と健一でこれから、村の探索に行く。村人はまだ居るか分からんが、その他、必要な物、足を探しに行くぞ。アリーサはここに残って、あの女を」
「香織」
「さっきから、うるせえなぁ香織の面倒を見てやってくれ。それと、他の連中にも、村に来てもらってくれ。話した方が早い。」
「分かった、そっちにも連絡送るわ。」
「頼む。」
村に行くのは分かったが、他の連中とは。
「・・他の連中って」
「ああ、俺達以外にも、もう二グループが村近くにいて、村人を見つけたら保護してる。」
という事は、健一君達以外にも助かった村の人が!
幸樹が俺の肩を叩き、
「数人だが保護している。・・・それで、村の探索が一段落したら、あんたの女房に会いに行こうか。」
「・・・分かった。」
村への移動中に聞いた話しだと、幸樹達のグループともう一グループが村を探索し、残りの一グループが保護・軍への送迎をしているらしい。そして、救助された村人は8人。その中に喜平のおっちゃんも混ざっている様だった。捜索は、シュミール人に見つからない様、注意しながら行っており、残すは、健一君達が居た公会堂・図書館のある地域との事。これからその一帯を捜索する。なお、健一君は、今まで溜まった疲労でダウンしており、家で寝込んでいる。
「分かってると思うが、危ないと思ったら、身を隠せよ。」
「・・・ああ。」
喜平のおっちゃんから拝借した軽トラで村に向かう。




