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父と息子の異世界漂流  作者: 佐藤 学
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第2話 ライフライン

信号を見ると・・・あれっ青になっていない?いや、消えている。


「父ちゃん、戻らねぇ?家、心配」

「・・・あぁ」

Uターンをして、家に引き返してきた。


周りを見ると近所の人達が外に出て、騒いでいる。

自分達が車から出てくるを見て、喜平きへいのおっちゃんが声をかけてきた。ちなみに喜平きへいは屋号の方で、本名は佐藤巌さとういわお(72)。近所は佐藤が多いから、屋号で呼び合う事がある。

「きみちゃん!大丈夫だったか?わたるも大丈夫そうだな。」

自分の部屋が心配な渉は、一足先に家へ入っていく。

わたるを駅に送る途中だったんだけど、それに信号止まってて。・・周りの人達どう、大丈夫?」

「あー、うちの婆さんとか、大丈夫だ。家ん中のタンスとか倒れてないから、震度そこまでじゃなかったんだろ。」

近所の人達に怪我はなさそうで、一安心だ。

「きみちゃん、家入ったら、まず電気、水、ガスを確認してみてくれ。」

嫌な予感のする言葉だ。

「・・・まさか、おっちゃん、ライフラインが・・・」

「どうやら、うちだけじゃなさそうだ。」

急いで家に入るが、あまり倒れた物はなさそうだ。おっちゃんの言う通り、そこまでの揺れではなかったのかも。仏壇に置いた父・母・妻の写真が倒れていたので、立て直し、わたるに呼びかける。

わたる!電気つくか!」

自分の部屋がある2階から「つかない!」と大声で返す。

水は・・・出ない、コンロにガスは・・・つかない。やばい!

わたる!役場の方に行ってくるから。もしかして、避難勧告が出るかもだぞ!えーそれと、落ち着いたら吾郎ごろうさんの様子見に行ってくれ」

2階から「分かった!」と声を聞き、車に飛び乗る。


ライフライン停止。想像以上に最悪な状況だ。急いで、役場に行き、現状把握・対策をしないと!


家から飛び出ると喜平きへいのおっちゃんが待っていた。

「きみちゃん、どうだ!」

「おっちゃんの言う通りだった。これから役場に行ってくる。避難勧告も出るかも。」

「そうか!皆に話ししてくるわ!」


家からは職場の役場まで距離、約5キロ。車で10分かからない距離。駅は役場を通り過ぎ、2~3分ほどで着く。朝と行先は同じだ。


車で4分ほど走った一時停止のT字路の前、何故か皆が役場の方に歩いていってる。一時停止前に車も止まっており、歩かないと先に行けない様だ。

シルバーカーを押して歩いている老人に「何があったんですか!」と窓を開けて話しかける。

「道がなくなってるって。聞いてもよー分からん。だから、見に行ってる。」

わけが分からない。車を降りて、歩く。

一時停止のT字路を左に曲がった先、後は直線で役場だが、曲がった先で景色がまったく変わっていた。

道路が途中で無くなり、草原になっていた。視線の先に役場もなかった。


人々と一緒に、私も立ち尽くしていた。

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