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父と息子の異世界漂流  作者: 佐藤 学
102/103

第102話 公彦とディーの再戦

再び、公彦きみひことディーの試合が始まり、お互いに武器を構えた。


前回の試合と同じ様に、ディーは力任せの上段からの振り下ろす攻撃を繰り出してきたが、受け流す。ディーは、前回と同じ様に、体勢が崩れると思っていたが、力強さが明らかに違う。「面白くなりそうね。」と言って、ディーはニヤッと笑った。


そこからは、互角の戦いだった。


槍を突き出すと、ディーが穂先を躱し、槍を掴んで、俺を引き込む。だが、ぐっと力を入れて、引き込む力に対抗する。多分、グランザッパの蜜も効いている様だ。力に関して、互角ぐらいまで上がっている感じがする。ディーは、簡単には引き込めないと、剣を持った腕を伸ばし、なぎ払ってきた。俺は、前に出て、ディーと触れあう距離まで近づき、剣が当たらない位置まで来た。ディーはそのまま、剣の柄で自分の脇腹を攻撃しようとしてきたので、剣を持った右腕を押さえた。ディーは、咄嗟に自分を突き飛ばそうとして、槍から手を離した。


チャンス!


槍で足を払うとディーがバランスを崩したので、槍から手を離し、剣を持った手を掴んで、組み伏せた。プロレスの脇固めという奴だ。


ディーは、見た事もない技を喰らい、身動きが取れなくなった。


「ワキ臭い!離れてよ!」


俺は殴られる以上の言葉によるダメージを受けた。こんな女子高生みたいな子に言われるなんて・・・キツイな。いや、顔は幼いが、身体はプロレスラーみたいだし、こんな女子高生はいない。そんな事を考えていると、ディーの口撃がひどくなってきた。

「変態!ジジイ!」

さすがに、急いで離れようとしたが、離れ際に、尻を蹴られ、頭から突き飛ばされた。


酷くない?


ディーは起き上がって、右腕をブンブンと振り回していた。腕は痛めていない様だ。

「変な技、使ったわね。それに、中々離れようとしないし・・・もう、おっちゃんには手加減しない。」

さっきまで、公彦きみひこと名前で呼んでくれていたのに、今では、おっちゃん呼ばわりになっていた。切ないな。


って、待ってくれ・・・手加減していたのか?


ディーから只ならぬオーラの様なものを感じる。これはヤバイ、怒らせた様だ。俺は、とっさに頭を打って痛めたという演技をする為、横になって「うーん、頭が」と言ったが、強制的に立たされた。


本気を出したディーの力は、太刀打ちできる様なものではなかった。オーガの強さを改めて、思い知らされた。

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