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⒃『復権の作業』
⒃『復権の作業』
㈠
有意義なる無意味、無意味なる有意義、問題は難問にして、しかし、簡易でもある。復権の作業のことだ。物事を簡単に気楽に進めるということは、それを常態化することによって、幾分理解したつもりではあるのである。
㈡
しかし、この楽しい作業も、有意義かどうか、と問われれば、忽ち、暗雲が立ち込めるという訳である。そもそもが、何のために、小説を書いているか、という問題に帰着するのであるから、我々は、物事を、慎重に進めなければ、と俺は、我々のような俺に向かって、言うのである。
㈢
何、馬鹿らしいことだよ、と人は言うかもしれない。いや、神でさえ、言うかもしれない。しかし、それで良いのである。俺はどう思われても、俺が俺だという範疇から、逃れられないことを、暗黙に知っている。つまり、復権の作業なのである。




