『地獄のバイト』
今日は、倍率10倍とも20倍とも言われている。
地獄のバイトの面接に来ている。
鬼との面接か…こ、怖い。
前の面接の人が口を押さえて出てきた。
「?」
すると、面接会場から身震いする声が聞こえた。
「次の方、どうぞ」
私は、震える体に気合いを入れて、扉を開け一礼して面接室へと入った。
「失礼します!」
そこには、大柄な赤鬼と青鬼が、よく見る事務用の会議机に肘をつき両手を祈るように握りビジネス眼鏡をかけて座っていた。スーツは着てない。鬼パンだ。そして、赤鬼と青鬼の後ろには、大型モニターで閻魔大王と思える見るからに恐ろしい者が映っていた。
「はい、どうぞ、座って下さい」と青鬼が優しい口調で言った。
「ありがとうございます。失礼します。」
私は、広い面接室の、いや鬼には普通の大きさなのだろう。中央に置かれた人間用のパイプ椅子に腰掛けた。
「えっと、名前は、今羽 正人 ね」
「いえ、正人です」
「正人?」青鬼は少しムッとした表情になっていた。
「はい」震えが、止まらない。
「なんで、地獄でのバイトを希望したの? 正直に答えないと舌抜くぞ。」赤鬼が睨みを聞かせて言う。
「は、はい。時給が2,590円と、高額だからです。」
「ほう、正直だな」
「ありがとうございます」
「時給だけか?鬼キツいぞ、地獄の仕事は覚悟はあるのか?」青鬼が聞いてきた。
「はい、ほぼ何もしなくても時給1,059円の天国での仕事より、体を動かした方が私にはあっておりますし、家族を養わないといけないので」
「人間界の仕事じゃ、ダメなのか?」赤鬼が退屈そうに聞いてきた。
「わ、私は何故か、に、人間界の職場では、力が強すぎて、物を壊してばかりで、不器用で触っただけで人を傷つけてしまいます。天界でも歩いただけで大理石の床を割ってしまいクビにされました」
「わはははは、面白いな!お前」鬼たちは笑ったが、後ろの閻魔は表情が変わらなかった。
「力が強いことは、この地獄で働くには都合が、いいな。なぁ、青鬼?」
「そうですね。俺たち鬼の力には敵わないだろうがな。採用しますか? 赤鬼先輩」
「まて、青鬼 もう一つ大事なことがあるじゃないか」
「おぉ、そうですね。前世を調べないといけませんね。」
「前世ですか?」私は自分のこの力が前世からなのかもしれないと思っていたからだ。
「おうよ。人間、ここで働くには前世を調べなくてはならない。」
「そうなんですね」
「おう、人間よ、そこの鏡、浄玻璃鏡の前に立ってみよ」赤鬼が指示を出した。
私は、言われるままに鏡の前に立った。
すると浄玻璃鏡は私の現世の活動を遡り前世の人間の姿を写し出した。
普通の人間のように見えた。
しかし、赤鬼は、ガタガタっと震え始めたのだ。
「お、お前の前世…」
「どうしたのですか?赤鬼先輩」
「お前、鬼越 太郎だったのか!」
赤鬼が、机を放り投げて、私に突進してきた、巨体が迫る。こ、殺される。
赤鬼は、私を両手で抱えると高く上に持ち上げた。
「はははは! 久しいな、会いたかったぞ。そうか、50年ぶりか、その姿に輪廻転生したのだな」
「赤鬼先輩、この人間が何なのですか?」青鬼が聞いた。私も何がなんだか解らなかった。
「おう、青鬼 お前は、地獄の使いになってまだ、40年だったな。だが、聞いたことあるだろう『鬼越え』の存在を…」ニヤリと赤鬼が笑った。
「ま、まさか、この人間が、あの伝説の『鬼越え』なのですか?」青鬼が目を輝かせた。
「あぁ、まさに伝説の亡者だ。人間界で産まれた赤子から荒れ狂い暴力を使い、物心つく頃に人の心を巧みにあやつり、政界、極道、表、裏、どちらの世界にも君臨し、唯一無二の人間だった男、こいつが死んだ時、人間どもは、 喜びに喜び、アリーナと呼ばれる場所で、49日間 宴をしたほどだ、俺たち鬼どもも、こいつが地獄にきたら、可愛がってやろうと意気込んでいたほどだ」
「まさか、私に…」
「わははは、ここにいたら思い出すだろう。また、楽しい地獄巡りをしようではないか!鬼越え」
「い、いや、私は、今羽正人です。ただの人間です 」
「いや、お前は鬼越 太郎だ。わははは」
「か、勘弁してくれ」
「おい、人間!これだけ赤鬼先輩が『鬼越え』って言っているのだから、そうしろ!」
「む、むちゃ言わないでください。私が前世の記憶は鏡で見ました。地獄で何をしたとこ言うにのですか?」
両手で抱えられたまま、赤鬼は言った。
「わははは、教えてやろう。お前が地獄に居たときは、毎日が祭りにのようで楽しかったぞ」
「祭り?」
「いいか、人間 青鬼の俺が知ってるだけでもお前の伝説はな、閻魔大王の謁見の際 お前はいきなり閻魔大王を殴りつけて、大喧嘩 その後、汗をかいたからといって、煮えたぎった釜風呂に入っては、大声で般若心経を歌い、鬼の棍棒で背中をかき、針の山をツボマッサージに使って、血の池を発酵させて酒を作って宴会を開いたって聞いてるぞ!
それからな…」
「ちょっと、待ってください。それって前世のしかも地獄の記憶ですよね。」
「そうだが…」
「お、覚えているわけないじゃないですか!」
「だから、ここにいたら思い出すって、鬼越え、わははは」赤鬼はさらに笑った。
「や、やっぱり止めます!このバイト!」
赤鬼は、ビックリして私を下に落とした。
「な、なぜだ!鬼越え」赤鬼が泣きながら聞いた。
「なぜも、なにも、私は、いまはただの人 ですよ。」
「?」
「知ってるぞ。今羽 正人だろう」
「ちょと、ちがーう!」
しばらく押し問答が続いた。
「閻魔さま、どうしますか?」青鬼が聞いた。
「閻魔さま」赤鬼がスクリーンを見る。
「あのー、閻魔大王は、さっきから動きませんが画像止まってます?」
「閻魔さま? か、固まってる…」青鬼が青ざめた。
「あ!しまった!」赤鬼が大声を出した!
「どうしました!赤鬼先輩」
「閻魔大王は、『鬼越え』がいた間、ノイローゼになって うつ病だったんだ! ここ50年、その事忘れてた!」
「えー!」私は、余計に恐ろしくなった。
死後、天国に行けるように強く思うのだが、あー、天国から地獄に落とされるのは目に見えていた。
読んで頂き誠にありがとうございます。
今日のTwitterトレンド『地獄のバイト』です。
ちょっと、許せないですね。犯人
トラウマになるって被害者や電車に乗ってた人
海外のように私服警官の乗車を増やすようになるのでしょうか?
しかし、人のせいにするな!職場のせいにするな!働いている人は、ホワイトもブラックも両方感じて仕事してるんだ!(なにが、銃刀法違反で捕まったらムダみたいな事言いやがって)
パン職だってそうだろう、誰でも簡単に安く美味しく出来たらパン屋なんて商売は成り立たない。皆が、手間がかかると思うから お金を出して買うんだろ!それが対価だろが!
地獄バイト? こっちとら、血反吐出して働いて飯食っているんだ!
そのなかで、このように小説書いて、お酒飲んで、ゲームして、マンガ読んで、Twitterして現実からのリッセトをしてるんじゃ!ボケ!
いろいろ書きまして申し訳ありません。
私は、トレンドやニュースの時事ネタで短編小説書いてますが、自分にルールを持ってます。個人名のタイトルは書かない。死亡事故などの事件は極力書かない。 辛い事件などは、ギャグや、違う描写にする。(それなりの雰囲気は入れます)です。
…えっと、また、次回読んでください。m(._.)m