第十話
『お前が、欲しい―――――』
蓮が切なげに僕を見て、懇願するように言った。
でもその瞳には、強い意志が秘められていて、きっと嫌だと言っても止めてくれないような気がする。
もの凄く嫌がって抵抗すれば止めてくれるかもしれないけれど、そうしたらきっと蓮は自分から
離れてしまうような気がして嫌だった。
「―――いいよ」
そんなこと聞くなよ、と照れを隠すために俯いて答える。
どうすればいいのか分からなかったけど、蓮が自分を欲しがってくれてる。
それだけで、僕は嬉しかった。
蓮が喜んでくれるなら。
そう想いを込めて蓮の首に腕を回して抱きついた。
「斗真…本当にいいのか? 今ならまだ止めてやれるが…途中でヤダって言われても、お前がどんなに嫌がっても止められないぞ」
ぎゅっと僕を抱きしめて囁く。
ばか…我慢してるくせに。
無理してそんなこと言うなよな。
だったら最初からそんなコト言わないで。
僕だって、もっと蓮を感じたいと思ってるんだから…。
「いいよ―――蓮の、ものにして」
蓮の首筋に顔を埋めて、そっと囁いた。
もの凄く恥ずかしかったけど、蓮がそれを望むなら。
「斗真…」
本当にいいんだな? と確かめるように見つめてくる。
もう、そんなに心配しなくても、ちゃんと現実だって分かってるのに。
僕は想いが本当であることを証明するために、初めて自分からキスをした。
「わっ」
すると突然蓮が僕を抱き上げた。
そのままベッドに運ぶと、ゆっくりと僕を下ろした。
***
「蓮…好き、だよ―――」
意識を失う瞬間、斗真はそれだけは伝えようと力を振り絞って口にした。
一つになれた幸福感と、激しい行為による疲労で斗真はコトリと意識を手放した。
「―――愛してる、斗真」
やっと想い人を手に入れた蓮は、計り知れない幸せを感じていた。
「おやすみ」
腕の中で眠る愛しい恋人へ、優しく口付けた。




