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厩の少女②
厩。
「どうだミーシャ、仕事には慣れたか」
「あっ、デストロ様」
ヒヒーン。
「おお、馬もよく懐いておる。ミーシャの優しさが馬にも伝わるのだな」
「ありがとうございます、あのデストロ様」
「なんだ?」
「あの、これ良かったら」
ミーシャは手袋を差し出した。
「これは?」
「はい、もしかしたら手袋をすれば、手綱の時のように別々と判定され、両手で物が持てるかも知れないと思いまして」
「おお、なるほど! ではさっそく着けてみようかの」
ビリビリ。
「あ、いかん、手袋は着けるときに両手をつかうな、ヌハハハハ」
「もう、デストロ様。また作り直します。次は私が着けて差し上げます」
「すまんすまん、しかし⋯⋯」
「何でしょう」
「ミーシャに優しくして貰えるなら、余の、すぐ物を壊すという欠点も、愛すべき利点かもしれんな」
「それも、デストロ様のお人柄があってこそですよ」
「ヌハハハハ、そう言われるとちと面映ゆいな」