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毒の魔神②
東の村。
「おお、ポイゾナ」
「あっ、デストロ様」
「元気か? 村人にはよくして貰っておるか?」
「は、はい。とても良くして貰っています、とても⋯⋯」
「それにしては、浮かない顔をしておるな」
「はい、実は村を襲うモンスターが減っておりまして」
「良いことではないか」
「はい、でも⋯⋯モンスターがいなくなったら、私はまた恐れられ、ひとりになってしまうのではないかと」
「ふむ、なるほど。ポイゾナよ、村人は大事か」
「はい、とても大事です」
「ならば、大事な人々が、モンスターに襲われなくなり、幸せに暮らしているところを想像して過ごせば、多少の孤独は癒やされるやもしれんな」
ポイゾナはデストロに言われた通り、安全に暮らす村人達を想像してみた。
「本当です、少し寂しさが収まりました」
「そうであろう、悪い想像は、次々と悪い想像を生み出すのじゃ。自分が孤独になることなどより、幸せに暮らす人々を想像する方がずっと良い。ただ、それでも寂しい時は余の城に顔を出すといい、話し相手くらいにはなれるであろう」
「は、はい」
「ヌハハハハ、ではな」