余命の見える少女
生命の魔神ラフィーネがデストロの元へとやってきた。
「デストロ様ご相談があります、娘のエナのことなのですが」
「ほう、なんであるか?」
「実は⋯⋯」
ラフィーネの相談を聞いたデストロは、エナを連れてまた翌日来るように言った。
翌日。
「こんにちはデストロ様!」
「お、エナ元気だな!」
「うん、私はいつも元気!」
「ところでエナ、お母さんから聞いたのだが、エナは人間の『余命』が見えるらしいではないか」
「そうなの!」
「それを人におしえたいらしいな?」
「うん、いつまで生きられるかわかったほうが、それまで頑張ろう! って思えるでしょ?」
「なるほどなぁ」
「でも、お母さんが『そんなことしちゃダメ」って言うの。なんでだろ?」
「お母さんは理由は言ったであるか?」
「ううん、『そんなことしちゃダメ』しか言わないよ」
「そうかそうか。ところでエナ、明日も来てお話ししてくれるか? 明日来てくれたら美味しいお菓子を準備しておくである」
「え? ホント!? うん、来る来る!」
デストロとエナは明日も会う約束をした。
翌日。
「パクパク、美味しい! デストロ様お菓子ありがとう!」
「喜んで貰えてよかったである。明日も来れるか? 明日は可愛いお人形をプレゼントしよう」
「本当に!? でもお菓子も食べたいなぁ」
「ヌハハハハ、わかった。お菓子も用意するである」
「ありがとうデストロ様!」
さらに翌日。
「可愛いお人形!」
「ヌハハハハ、余が世話してる人形師の新作なのである」
「すごい!」
「さてエナ、明日も来れるか?」
「うん、明日は何を貰えるの?」
「ヌハハハハ、明日は今までで一番良いものをあげよう、その代わり何をあげるかは明日のお楽しみだ」
「えっ、本当に! わーい、すごいすごい!」
さらに翌日。
「デストロ様、来ました!」
「おお、エナ。では今日はこれをあげよう」
デストロは一輪の花をエナにプレゼントした。
「⋯⋯ありがとうございます」
「おや、あまり嬉しそうではないな。花は好きじゃなかったかな?」
「ううん、お花は大好きだよ、綺麗だし、でも⋯⋯」
「でも?」
「お菓子やお人形の方が好きかな、今までで一番いいものって言われたからすごく期待しちゃった」
「ヌハハハハ、そうか、これは失敗したな、人の一番なんて我が決めるものじゃなかったな」
「しょうがないよ、私が何が好きかなんて、私にしかわからないんだもん⋯⋯あっ」
「どうしたであるか?」
「そうか、だからお母さんはいつ死ぬか人に言っちゃダメって言ったのね、相手が喜ぶかどうか、わからないもんね」
「そうかも知れんなぁ。あとエナ、いろいろプレゼントを用意したが、前の日に一番楽しみだったのはいつだったであるか?」
「それは昨日の夜だよ! 一番いいものってなんだろう、って色々考えたから」
「そうか。もしかしたら何が起こるかわからないときに、良いことを色々想像するのが一番楽しいのかもしれないであるな、そしたらいつ死ぬかも知らないほうが、色々考えて楽しめるのかも知れぬであるな」
「そうかも! デストロ様ありがとう! いいこと教えて貰っちゃった! お礼に良いものプレゼントしてあげる!」
「ほう、何かな」
「もちろんナイショだよ! その方がデストロ様も楽しみにできるでしょ?」
「ヌハハハハ、これは一本取られたであるな」