疫病騒ぎ②
「あ、デストロ様⋯⋯」
「おお、ポイゾナよ大丈夫か?」
「ご心配おかけしてすみません、私は村を出て行こうと思います」
「なぜだ? 病気はお主のせいではなかろう」
「はい、誓って私の仕業ではございません、しかし私が村に残ると、村人たちが争います、私はそれがつらいのです」
「気持ちはわかるが、しばし待て」
「デストロ様がおっしゃるなら」
しばらくして、医者が村にやってきた。
「どうだ、医者よ」
「デストロ様、村人を診察した結果、どうやらこれはネズミが運ぶ病気です」
医者の言葉に、村人のひとりが声を上げた。
「何だって、そういえば最近前よりネズミを見かけることが増えたぞ」
「そうだ、きっとネズミを餌にするモンスターが減ったことでネズミが増えたのだ」
「なんということだ、ポイゾナ様に謝らないと」
それまでポイゾナを責めていた村人たちは、ポイゾナの住まいへと謝罪に向かった。
「ポイゾナ様、大変申し訳ありませんでした」
「良いのです、話は聞きました、これをどうぞ」
ポイゾナは小瓶を差し出した。
「ポイゾナ様、これは?」
「はい、ネズミにだけ効く毒です。人には無害なので、これで毒餌を作ればネズミを駆除できるでしょう」
村人とポイゾナのやりとりを聞いていた医者が驚いて声を上げた。
「なんと、あなたは選んだ生き物だけに効く毒を作れるのですか」
「は、はい」




