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第一話 俺のジュース

  学生生活。それは学業に励むとともに、友好関係を築き、同時に恋愛を経験する人生のビッグイベントである。


  制服デートに憧れるもの。帰り道に公園で談笑しながら、いちゃいちゃするもの。学祭で、カップルで回るもの。


  うむ、俺的には学生生活は学業に励み、友好関係を築くだけでいい。


  恋愛は邪魔だ。全ての学生たちに良くない影響を与えるものであると考える。


  まぁ、なんでこのような考えになってしまったかは話せば長い。


  そんなことより今、俺はイラついてる。


 ――――


「俺、 お前のことが好きだ! 付き合ってくれ!」

  「ごめん、 気持ちは嬉しいけど私には好きな人がいるの」

  「!? そ、そうか。 いや、 思いを伝えることができてよかった。 お前も好きな人に告白頑張れよ」

  「あ、 ありがとう」


  「ちっ、 何だよあれ」


  俺は告白が嫌いだ。告白とは、好きな人に思いを伝える素晴らしい行為。いや、違うな。自分をさらけ出すみっともない行為だ。


  なぜ、そんな批判的なのかって? 告白には成功と失敗があるだろう? 成功すればその思いが実り、カップルになる。しかし、失敗すればお互いにフォローし合うくせに、次の日から気まずい雰囲気になる。

 

  なんなら、女はすぐにクラスの仲間に言いふらして、告白した男を晒し者にする。


  だから、嫌いなんだ。


  「おい、 元気出せって」

  「おう、 ありがとな」

  「まだチャンスはあるかもしれないから、諦めないで待とうぜ!」

  「あぁ、 そうだな!」


  うわぁ、嫌だ嫌だ。あんな励まし気持ち悪いっての。どうせ、そんなこと言って自分も狙ってるに決まってる。内心喜んでるに違いない。


  てか、フラれたのにすぐ立ち直って相手を応援するメンタル何?たくさん、フラれて耐性でもついたんですか?


  と、このように俺はすでに腐りきっているのだ。


  恋愛感情というものはもう持ち合わせていない。恋愛は全てを台無しにする負のものだ。俺は知っている。


  「ねぇ、 なんで田中くんの告白断ったの?」

  「え、 私の好みじゃないんだもん」

  「うわぁ、 田中くん可愛そう」


  絶対そんなこと思ってないだろ。女、怖すぎる。せっかく、勇気を出して告白した田中くんの気持ちを考えろ。


  俺にとっては、その田中くんもこの女とさほど変わらないがな。


  「ま、 私が求めているのはあんな平凡な男じゃなくてもっとイケメンがいいわ」

  「美希、 理想高すぎだって」

  「はぁ、 私の王子様現れないかな」


  現れないっての。てか、この女どこまでゲス野郎なんだよ。俺、もうちびりそうなんですけど。なんてもの見せられてるんだよ。


  「ピッ、 ゴトンッ」


  ジュースを買いに来たらこのザマだ。知らない男女の告白劇を見せられるなんて。更に、女怖くなっちゃったよ。


  「プシュッ」

  「パシッ、 ゴクゴクゴク」

  「おい、 それ俺のジュース……」

  「誰があんたのって決めたわけ?」

  「ちっ」


  まったくイライラする。あの男女といい、目の前にいるこの女に。俺のジュースを勝手に飲みやがって。知らない人だったら、怖くて俺逃げちゃうよ。


  「何よ、 文句あるわけ?」

  「へいへい、 ないですないです」


  下手に文句言うと、また怒るからな。この女は。


  「ゴンッ!」

  「ぐはぁっ!」

  「……」

  「てめぇ、 いきなり何するんだよ!」

  「いや、 なんかムカついたから殴った」

  「理不尽すぎるだろ!」

  「うるさい、 黙れオタク」

  「ちっ」

  「ほら、 授業始まるから行くよ」

  「へいへい」


  俺は殴られたお腹を手でさすりながら、次の授業がある教室へと向かっていった。振られた男を横目に見ながらな。

 

この度は読んでいただきありがとうございます。趣味の延長上で始めたのですが、マイペースに更新していこうと思っております。よろしくお願いいたします。

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